「和味りん」店主が語る~「素だし」シリーズ使い分けのポイント~

神経締めされた高品質な鮮魚、彩りも華やかな京野菜を使った本格の日本料理を落ちついた雰囲気の空間で提供する割烹料理店が東京・新宿の「和味りん」。
店主の芳賀博康さんは独自の「だし」理論の持ち主で、今も研究に余念がない。シンプルでありながら、洗練された味を追求しつづける彼の姿勢に、幅広い層から支持されています。
そんな芳賀店主に、和風液体だし「素だし」シリーズの特徴を活かした料理を考案していただきました。

「素だし」シリーズの芳賀店主評

店の個性を表現できます

  • 料理人の立場から思う業務用だしの大きな難点は、どれも塩が加えられて味が固定してしまっているところ。どんな食材を使ってもどんな調理法を選んでも、結局ぜんぶ同じ味に仕上がってしまうんですね。それでは店の個性は出せませんし、お客さまも食事の途中で飽きてしまいます。
    その点、完全に無塩のまま商品化を実現された「素だし」シリーズは、料理人の味を表現しやすいうえに濃縮タイプだから好みの濃度に希釈して使えます。料理の個性は失いたくないが、労働負担の軽減にも取り組まなければならないといったジレンマを抱える料理人には待望の品ではないでしょうか。また惣菜や弁当業態でも「無添加」を主張できますから、消費者の安全安心志向に応えることができますね。

だしをとるストレスから解放

実のところ、毎日店で品質が安定しただしをとることが求められますが、かつお節や昆布といった素材を同じ業者から仕入れていても品質は個体ごとの差で大きく異なり、調整しないとだしの仕上がりは毎日違ってしまいやすいのです。
味を調えることを目的に、だしに調味料を加えてしまい安定化させることに対してお悩みの方もいらっしゃいますが、その点、「素だし」シリーズの安定感はじつに心強い。どんな割合で希釈してもうまみと香りのバランスを損ねません。これを調味料なしで実現した技術力に脱帽です。
保存性の面も評価に値します。店でとっただしは生きもののようなもので、刻一刻と変化してしまい、翌日にはもう使えなくなる場合もあります。一方で「素だし」シリーズは加熱殺菌のみでありながら、保存法しだいでは数日間は品質を維持してくれます。私は袋ごとタッパー容器で密閉して極力だしを空気に触れないようにしています。

「素だし」シリーズを使うメリット

  • だしをとる仕込み負担を削減。品質の安定化を実現。
  • 塩分、調味料等、添加物は不使用。お店ごとで狙い通りの味を作りやすい。
  • 多様なバリエーションを用意。地方・地域ごとの好みの違い、料理人の好みに合った"だし"が選べる

主要商品の特長紹介

特長の異なる商品バラエティも魅力です

  • 今回使用した「素だしJ-1N」「素だしJ-2N」「素だしかつお」の3品の感想をお話ししたいと思います。ただし、この3品はどんな料理にもオールマイティに使用可能で、その使い方は料理人の皆さんの感性次第。あくまで各商品の個性を表現しやすい料理の提案として、多くの料理人の方へ参考になれば幸いです。

「素だしJ-1N」

かつお節、さば節を使い、うまみのはっきりした関東風の仕上がり。かつおの香り、さばの甘みがバランスよく組み合わさって、素材、調理法を選ばず使えるだしと言えます。うまみの輪郭がはっきりしているので、薄口醤油や白醤油の塩分だけでも味を決めることができるほどです。
春野菜のフレッシュな苦み、白身魚といった食材の淡い持ち味を活かしつつ物足りなさを補うときなどに使うと「素だしJ-1N」の実力を感じます。また冷凍肉や冷凍魚の旨みを補完するときにも活躍します。
相性の良い食材:春野菜、白身魚、青魚、牛肉、貝類、冷凍肉、冷凍魚
だしの味が活きる調理法:煮付け、茶碗蒸し、しゃぶしゃぶなど

「素だしJ-2N」

原材料は煮干し、さば節、かつお節を組み合わせた関西風。うまみは濃厚ですが、味や香りの主張は控えめ。食材の繊細な味を引き立たせたいときに最適です。コクがあるのでてんさい糖を酒、みりんの代わりに使っても厚みのある仕上がりが実現します。また油との相性も良く、植物油を使用してハラル対応の和食を作るときなどに頼りになりそうです。
相性の良い食材:実野菜、白身魚、鶏肉、きのこ、オリーブオイルなど
だしの味が活きる調理法:お浸し、おすまし、おでんなど

「素だしかつお」

かつお節ならではの上品な香味があり、雑味の少ないすっきりしたうまみが特長です。この香りこそ「素だしかつお」の特長なので、香りを活かした利用法がお勧めですね。味噌や青魚、豚肉といったクセのある香りを持つ食材と組みあわせると、臭みをマスキングしながら香りの主張がよりはっきりと感じられるように仕上がります。
相性の良い食材:根野菜、青魚、牡蠣、豚肉など
だしの味が活きる調理法:煮付け、椀物、炊き込みご飯など

料理人の紹介

和味りん 店主 芳賀 博康さん
1973年、岩手県生まれ。和食一筋で料理の道を進み、中食・仕出し料理・寿司・割烹料理など、12年間にわたり日本料理をさまざまな角度から学んだ後、2005年9月「和味りん」を新宿に開業して独立。
開業当初から調味料不使用の「だし」の研究に邁進。一時期は料理ごとに10種ものだしを使い分けることもあったほどで、品質安定へのこだわりと美味しい料理にとってのだしとは何かを考える日々を過ごされました。現在は食材から出るうまみだけで料理を生みだす新たな調理法を確立。同時にベースとなるオリジナル調味料を開発するなど、独創性の高さに業界でも注目が集まっています。

店の紹介
  • "神経締め"にこだわり、しまなみ海道(愛媛)、三浦半島(神奈川)、陸奥湾(青森)、五島列島(長崎)など全国の漁港から直送で仕入れる鮮魚、採れたての京野菜を軸にする割烹料理店。
    無垢の木のカウンター席では熟練した技で注文ごとに調理する様子が間近に見ることができ、お一人でも気軽に入れる落ち着いた空間と経験に裏打ちされた料理は20代の男女から家族連れまで幅広い客層を魅了。厳選された食材を駆使した料理をランチでは1,000円台から楽しめるリーズナブルな価格設定も幅広い客層から支持を得ている理由です。
    塩を極力使わない、仕込みや調理時に出る食材のうま味を"だし"として使うなどの、食材のポテンシャルを最大化させるスタイルにも業界内外の注目を集めている。
  • 店名 和味りん
    住所 東京都新宿区新宿5-17-6 中田ビルB1階
    電話 03-3205-7252
    営業時間 11:30〜14:30(14:00L.O.)
    17:30〜22:30(22:00L.O.)
    定休日 日曜日
    席数 カウンター席9席、テーブル席4名席×2卓、個室1室(6席)
    主な客層 近隣会社員
    予算の目安 ランチ 1,000円
    ディナー 7,000円
    開業 2005年9月20日