(東京都/中央区)
国際パエジャコンクール優勝など、華々しい受賞歴が物語る確かな技術と飾らないサービスで、幅広い客層に支持され続けている「銀座エスペロ」。中でもバレンシア地方の米料理、パエジャ(パエリア)には力を入れており、米の固さ、こげ具合、出来上がりの色、味つけと、4拍子揃った他にない一皿を求めて、連日多くの人が訪れています。
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クローズアップメニュー
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魚介類のパエジャ 1,700円/1人前(税抜:2人前より提供、写真は2人前)
来店者の約8割が選ぶというほどの人気を誇る看板メニュー。パエリア鍋にオリーブオイルを熱し、有頭エビを入れて両面を焼く。こうして油にエビのうま味を含ませる。エビが焼けたらいったん取り出し、カットしたシーフード(アンコウ、イカ、小エビ)を炒める。そこにタマネギのみじん切り、ニンニクのみじん切りとパプリカをミックスした合わせ調味料を入れ、パプリカパウダー、スペインから取り寄せたパエジャ用のサフランパウダー、塩を振り入れ、擦った完熟トマトを加える。トマトが煮詰まったら米を入れてさっと炒め、ブイヨンを加える。煮立ったら、先に焼いた有頭エビ、予め茹でて殻をきれいに開かせておいたアサリ、ムール貝を均等な間隔で並べ、火を調節しながら20分炊いて出来上がり。レモン汁やガーリックマヨネーズをつけるとまた違った味が楽しめる。
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技のポイント1
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ブイヨンの出来がパエジャの味を左右する
「おいしい鍋の後のスープにご飯を入れるとおいしいおじやができるのと同じで、おいしいブイヨンができればパエジャはおいしくできます」と総料理長。そのブイヨンの詳細は企業秘密だが、素材としてはエビ、カニ、アンコウの皮、具として使うアサリやムール貝の茹で汁、香味野菜などが使われている。
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技のポイント2
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トマトはしっかり煮詰めて水分と酸味を飛ばす
トマトを入れたらよく煮詰める。この作業を怠ると水分が残ってご飯の固さに影響するうえ、酸味が残ってほかの素材の味をじゃまするので注意。
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技のポイント3
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日本産の短粒米を研がすに使う。
比較的あっさりした味つけのシーフード系のパエジャの場合は日本産の短粒米が合うという。ここでは「はえぬき」を使用。米が水を含んだり割れたりすると出来上がりがべちゃっとしてしまうので、研がずに使う。
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技のポイント4
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トロミが出てきたら弱火でゆっくり炊き上げる
すべての具を入れ、水分が減ってご飯にとろみが出て来たら、弱火にしてじっくりと炊く。こうしてほど良いこげ目をつける。ガス台でつくるとよりふっくら仕上がるが、弱火にしてからはオーブンで代用することもできる。
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オススメメニュー1
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イカ墨入りパスタのパエジャ 1,700円/1人前(税抜:写真は2人前)
珍しいイカ墨のパエジャは、食感の良いスミイカ、うま味の強いヒイカ、見て楽しいミミイカの3種のイカが入った濃厚な一品。パエリア鍋でイカを炒めたらタマネギ、パプリカなどの調味料を加えてさらに炒め、長さ3cmほどのパスタ、イカ墨の順に入れて軽く炒める。最後にブイヨンを加えて炊く。炊き上がりにパスタが立つのがおいしくできた証だ。ガーリックマヨネーズをつけるとおいしさが増す。
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オススメメニュー2
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若鶏とポルチーニ茸のエスパニョーラソース煮 1,600円(税抜)
オリーブオイルでニンニク、パプリカパウダー、小麦粉を炒めたところに焼いた鶏肉、ポルチーニ茸、ジャガイモを入れ、エスパニョーラソース(スペイン版フォンドボー)で煮て塩などで調味したシンプルな一品。エスパニョーラソースは毎週1回、約12時間かけて仕込む。
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オススメメニュー3
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ヤリイカの詰め物 ウニソース(2本) 1,800円(税抜)
刺身でも食べられるヤリイカの中に、ゲソ、エビ、ホタテ、ソテーしたタマネギを白ワインで煮詰めたものを詰め、アメリケーヌ・ソースにウニを加えたソースで煮た。本場ではイカ墨ソースが一般的というが、「銀座エスペロ」ではよりスペイン人にも日本人にも好まれるウニを使っているのが特徴だ。
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お店紹介
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弟がシェフ、兄が店長としてお店を守り続ける葉山馨一総料理長(後列向かって右から2番目)と葉山勝三代表(同3番目)
「50年前にこのビルができたときに喫茶店として開業し、35年前に本格的なスペイン料理店に生まれ変わりました。手をかけたおいしいスペイン料理をできるだけリーズナブルな価格で提供しており、小さなお子さまから現地の味を知り尽くした食通やスペイン人の方々まで、幅広いお客さまにご利用いただいています」
開業から約50年、「銀座エスペロ」を守り続ける葉山勝三店長がお店のコンセプトや多くの人に愛される様子をこう語る。店長は、ガス灯通り店、みゆき通り店の2店舗を経営する株式会社銀座ソルの代表取締役でもある。
厨房を統括するのは店長の弟の葉山馨一総料理長だ。2人は長年助け合ってお店を盛り立てながら、人材の育成なども行ってきた。この間、総料理長は1990年代半ばからスペイン料理の国際大会に出場するようになり、食材や蒔などすべてが指定され屋外で行われる国際パエジャコンクールでは、肉のパエジャ部門で優勝4回、魚介類のパスタのパエジャ部門で優勝5回、アラカルト部門でも優勝・入賞多数といった輝かしい成績を残している。この実績を評価され、2015年にはスペイン人が大半を占める同コンクールの審査員に名を連ねた。これを機に選手を卒業したが、もちろんその後も腕を磨き続けている。
葉山総料理長の信条は、「日本人に合わせてアレンジするのではなく現地のレシピを活かすこと」。「パスタのパエジャはバレンシア地方の漁船の料理人が米を積み忘れ、パスタを米代わりにつくったパエジャが漁師たちの間で評判を呼んだのが始まり」など、歴史まで知ったうえでスペイン料理と向き合っている。
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基本情報
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店名 |
銀座エスペロ |
住所 |
みゆき通り店 東京都中央区銀座5-6-10-B1F
ガス灯通り店 東京都中央区銀座3-4-4-2F
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電話 |
みゆき通り店 03-3573-5071
ガス灯通り店 03-5250-2571
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営業時間 |
月~金
11:30~15:00(L.O 14:00)
17:00~23:00(L.O 22:00)
土曜
12:00~16:00(L.O 14:45)
17:00~23:00(L.O 22:00)
日祝
12:00~16:00(L.O 14:45)
17:00~22:00(L.O 21:00)
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定休日 |
年中無休
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席数 |
2店舗ともMAX60席
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主な客層 |
老若男女幅広い スペイン人
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1日の客数 |
ランチ 100人 ディナー 50人 |
予算の目安 |
ランチ 月~金 1,100円(土日祝はデザートつき1,510円)
ディナー 6,000〜7,000円
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開業 |
1967年頃 |
HP |
http://www.ginza-espero.com/ |
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