【中国料理】味坊鉄鍋荘

(東京都/台東区)

ある国の特定の地域の料理を専門的に提供する飲食店には、料理そのものの味はもちろん、初めての食材や調理法に触れる楽しみもあります。2016年1月、東京・湯島にグランドオープンした「味坊鉄鍋荘」もそんなお店の1つ。主に扱うのは中国黒龍江省チチハルの家庭料理で、鶏ガラスープでラム肉を、羊スープで魚を煮るなど独特の組み合わせが新鮮な鉄鍋煮込み料理のコースを主体に、現地の味を紹介しています。

クローズアップメニュー
魚羊鍋(ユーヤンゴウ/白身魚と羊の煮込み) 1人前1,680円(2人前〜)
※料理はすべてコースの一部/価格は単品で追加した場合で税抜/写真は4人前

 羊の肉と骨でとったスープで鯉や草魚など白身の淡水魚を野菜と一緒に煮込む中国東北地方の料理。この店では青森県産のソイやスズキなども用いる。今回はマダイを使用。野菜はダイコン、ニンジン、ヤマイモ、青才菜(山形名物おみ漬けの材料となる辛味のある青菜)。ラムスープは、鍋で沸かしたお湯に下茹でして臭みを抜いた肩肉と足の骨、スペアリブなどを入れ、最初強火で煮立ててあくを取り除き、その後はにごらないよう弱火でじっくり煮込んでつくる。具を茹でた鍋にこのスープを入れ、鶏ガラスープ、塩を加えて調味。つけダレなどは不要で、スープの味だけで食べられる。
技のポイント1
魚を高温で揚げることで煮崩れを防ぎ、食感を高める
魚は予め高温で揚げる。するとほかの具材と一緒にスープで煮ても煮崩れしにくくなり、同時に皮がカリカリして煮た後の食感も良くなる。
技のポイント2
魚の中まで火を通しながら丁寧にあくを取り除
揚げた魚は鍋で沸かしたお湯に入れて中までしっかり火を通す。このとき丁寧にあくをすくうのがおいしく仕上げるコツ。鯛からのうま味も美味しさを支えている。

技のポイント3

ラムスープを適量入れて調味
ラムスープはとても濃いので、魚を茹でたお湯に適量加えて使う。このとき、ダシをとるために使った肩肉やスペアリブも鍋の具として加える。煮ながらさらにあくを取る。

オススメメニュー1
老虎菜(ラオコォツァイ/パクチーと青トウガラシのサラダ) 780円(税抜)
老虎適当な長さに切ったシャンツァイ(パクチー)、細切りにしたキュウリ、青トウガラシ、白ネギ、彩りのための赤トウガラシ少々を、ごま油や塩、そして黒酢と醤油ベースの自家製調味料で和えた一品。
オススメメニュー2
口香鶏(コーシャンジー/ヨダレ鶏) 780円(税抜)
皿に蒸したナスを敷き詰め、白ネギ、キュウリ、シャンツァイなどを重ね、その上に蒸した鶏肉(モモ、ムネ)を並べて、刻みネギ、ピーナツ、白ごまをトッピング。そこに醤油ダレとラー油をかけて提供。食べる前に全体を和えるのがおすすめだ。見た目ほど辛くなく食べやすい。醤油ダレは麻辣味の料理に使うもので、醤油、黒酢、砂糖、トウガラシとサンショウを炒めた粉、ショウガとネギの茹で汁、ごま油、ラー油を混ぜたものに、細かく刻んだシャンツァイの茎、ネギ、ショウガ、ニンニクを加えたオリジナル。
オススメメニュー3
塩水鴨(イエンシュイヤー/塩茹で鴨の冷菜) 980円(税抜)
ハッカク、シナモン、サンショウなど十数種のスパイスを加えた塩水で鴨肉を茹で、火が通ったらそのまま冷まし、塩味とスパイスの風味を肉に染み込ませれば出来上がり。そのままでも十分味があるが、薬味のシャンツァイや赤トウガラシと合わせてもおいしい。フワッと鼻に抜ける柑橘系の香りがさわやかだ。
オススメメニュー4
水餃子 5個600円(税抜)
豚肉、2mm角に切ってさっと茹でたダイコン、刻んだネギを練り合わせ、醤油と塩で調味した餡を、小麦粉と塩と水だけでつくった自家製の皮でくるみ、熱湯で茹でた一口サイズの餃子。何もつけなくても十分味があるが、卓上の黒酢をつけるとまた違った味を楽しめる。
  • お店紹介
    厨房で腕を振るう張子謙さんと馬延平さん
    「味坊鉄鍋荘」のオーナーは、梁宝璋(リョウホウショウ)さんと小林淳一さん。梁さんは17年前、東京・神田に「味坊」を開業し繁盛店に成長させた料理人だ。編集者でもある小林さんは取材をきっかけに梁さんと出会い、「何か面白いことを一緒にやろう」と意気投合。梁さんの故郷である中国東北地方のチチハルの家庭料理をワインと合わせて提供するお店を出すことで話がまとまり、共同出資で会社を設立。この会社で経営する最初のお店として「味坊鉄鍋荘」をオープンさせた。
    「私は編集者として食関係の情報発信をすることが多いのですが、食の情報というのは、伝え切ったという実感が得られにくいものです。もっとダイレクトに伝えたい。それにはお店を出すのが一番だと考えました」と小林さんが思いを語る。まずは2015年11月にプレオープン。その後メニューのチューニングなどを経て、2016年1月、グランドオープンに至った。中国東北地方の方式にならい厨房は2名体制。北京のホテルで経験を積んだ料理担当の張子謙(チョウシケン)さんと、麺担当の馬延平(マエンペイ)さんが腕を振るう。
    小林さんは日本各地の食材のプロモーションに携わることも多く、地方の隠れた食材にもくわしい。そうした食材を上手にチチハル料理に取り入れているのも同店の魅力だ。中国からの輸入に頼っていた酸菜(スヮンツァイ:乳酸発酵させて酸味とうま味を帯びた白菜漬けの一種)を、チチハル出身で日本の農家に嫁いでいる女性に漬けてもらえるようにしたり、オーストラリア産を使っていたラム肉を国産に切り替えるべく牧場を開拓したりと精力的に活動。世界遺産・白神山地の水がダイレクトに流れ込む青森県の日本海沿岸で獲れた白身魚なども取り入れている。
  • 基本情報
    店名 味坊鉄鍋荘
    住所 東京都台東区上野1-12-9
    電話 03-5826-4945
    営業時間 18:00~23:30
    (21:00まではコース料理のみ、以降はアラカルトにも対応)
    定休日

    無休

    席数

    20席

    主な客層

    30代以上の女性

    1日の客数 約20人
    予算の目安 コースは3,500円または5,000円
    開業 2016年1月25日
  • 掲載内容は取材時点での情報であり、記事内容、連絡先、営業時間などが変更になる場合があります。