【割烹料理】幹東

(東京都/世田谷区)

東京・自由が丘の「幹東」は、コースメニューを主体に提供する割烹料理店。「仕入れが一番得意」と言う店主がこまめに産地や市場に足を運び、イキの良い素材を仕入れて、その素材のうま味を最大限に引き出す手法で調理し提供しています。テキパキとした料理人の身のこなし、煮る、焼く、揚げるといった作業に伴う音や香りを、カウンター越しに感じることができるのも魅力です。

クローズアップメニュー
ノドグロ煮漬け(コースの一部)
冬場が旬の高級魚、ノドグロを、たまり醤油、上白糖、赤酒、みりんで絶妙に味つけた店主自慢の一品。しょっぱさ、甘さは控えめながらコクがあり、ノドグロのおいしさを存分に味わうことができる。ノドグロは仕入れてから氷の中で長期間寝かせてから使う、料理酒として赤酒を用いる、といった工夫により、身が固くならず、とろとろに仕上がるのが大きな特徴。特に皮はプルプルのゼラチン状で酒の香りがよく残っている。これを陶芸作家ものの皿に盛りつけ、緑鮮やかなナバナと木の芽で彩った。
技のポイント1
 
水揚げから日が経ち細胞の壊れたノドグロが煮付けにぴったり
ノドグロは氷の中で1週間〜10日間程度寝かせてから用いる。こうすると細胞が壊れ、煮たときにトロリと仕上がる。まずは内臓を取り除き、人数に合わせてカットする。ここでは4分の1尾(およそ2人前)を使う。
技のポイント2
 
霜降りをしてから流水にさらし、しっかりとぬめりをとる
余分な脂、血合い、ぬめりなどを取り除くためたっぷりの熱湯を使って霜降りを行う。その後、流水でさらにぬめりを取る。この作業を怠ると臭みが残ってしまうのでていねいに。
技のポイント3
 
赤酒で臭みをとりすっきりした甘味と照りを出す
酒:水を3:2の量で鍋に入れて火にかける。火は鍋の脇からはみ出ないくらいの強火を維持する。薄く色づく程度に赤酒を入れ、砂糖を加えて煮立ってきたらノドグロを入れる。赤酒には肉や魚を固くしない、臭みを取る、甘味がすっきりしている、食材に照りを与えるなどの特徴がある。
技のポイント4
煮汁をおたまですくいかけながら均等に煮る
ときどきおたまで煮汁をすくい、ノドグロにかけることで均等に味をつける。アクが出れば取り除き、その後、本醸造醤油を使う量の3分の1程度入れ、下味をつける。落としぶたはせず、鍋を傾けたり煮汁をすくいかけたりすることで、味を魚の表面全体に行き渡らせる。
技のポイント5
 
煮詰めながら味を微調整し、最後にみりんを加えてコクを出す
強火で煮詰めながら、本醸造醤油をさらに3分の1程度入れ、味を見ながら煮詰めていく。その後は3分の1弱の本醸造醤油、少量の砂糖を加え、さらにこれらを交互に加えながら微調整していく。最後にみりんを加えてコクを出す。
技のポイント6
お湯を足して同じ作業を繰り返し味に深みを出す
だいたいできたところで味見をし、深みが足りないと思えばお湯を足して、同じ作業を繰り返す。最終的にはたまり醤油は1滴単位、砂糖は耳かき1杯くらいの単位で調整する。最後に再びみりんを加えて出来上がり。
オススメメニュー1
前菜(コースの一部)
メインメニューを待つ時間をゆっくりと楽しめるように、最初に小鉢を数種類、テーブルに並べる。左手前から時計回りに、庄内アサツキやウルイと組み合わせた「あん肝ぬた」、脂の乗ったマカジキを本醸造醤油で漬けにした「マカジキと花ワサビの山かけ」、フキノトウの「きゃらぶき」、春先に最も脂の乗るタチウオの皮の甘さをニンニクとネギで引き締めながら味わう「タチウオの糸づくり」、メカブをホウレンソウと一緒に削りたての枕崎産本枯節と少量の醤油で食べる「メカブとホウレンソウ」。
オススメメニュー2
お造り(コースの一部)
旬の魚介を組み合わせて前菜の次に提供される。写真はナバナのコブじめの上にハタ、カブの甘酢漬けの上に〆サバ、中央に青森のウニを置いた彩り豊かな盛り合わせ。刺身に合わせる醤油は本醸造醤油。
オススメメニュー3
蓋物(シラウオの卵とじ/コースの一部)
ワラビ、ウドと一緒にシラウオを卵でとじ、ミツバを乗せて、木の芽(サンショウ)を散らした春の香りたっぷりの一品。だしは枕崎産のカツオ節。味つけは醤油とみりんのみで、醤油は白醤油と薄口醤油を1:1で使用している。薄めの味つけが、シラウオや山菜のうま味を引き立てる。
オススメメニュー4
焼き物(焼きマテ貝と焼きたけのこ/コースの一部)
春先が旬のマテ貝とタケノコを、九州の甘い醤油を少量つけながらじっくり焼いた。タケノコは、180℃に熱した揚げ物用の油の中に皮ごと入れて約30分、じっくり火を通す方法であく抜きし、茹でたての栗のような甘さとホクホク感を引き出した。付け合わせは赤カブ漬けと、レモン煮にした鳴門金時をクリームチーズと合わせたチーズきんとん。
オススメメニュー5
揚げ物(アオリイカと芽キャベツの天ぷらと辛子蓮根揚げたて/コースの一部
ねっとりしたアオリイカと、とろけるようにやわらかい芽キャベツを、コメ油とコーン油をブレンドした揚げ油でからりと揚げた。辛子蓮根は、同じく天ぷらにしたレンコンに、白味噌・みりん・茹で卵の黄身、カラシを混ぜてペースト状にしたものをたっぷり塗ったオリジナルで、甘い醤油を少量つけた。天ぷらには、焼いて細かくした塩と抹茶を1:1でブレンドした抹茶塩がつく。
オススメメニュー6
食事(トコブシと天豆の土鍋ごはん/コースの一部
アワビに似た食感を持つ巻貝、トコブシと、皮をむいた天豆(ソラマメ)をお米の上に並べ、土鍋で炊いた。昆布だしを使い、米は秋田県・大潟村の有機栽培あきたこまちを使用。
  • お店紹介
    「良い素材と出会うと料理のイメージが限りなく広がります」と語る店主の星野幹東さんと、2016年秋からともに働く弟子のマサさん
    「コンブは北海道の昆布漁師から、卵は都内の養鶏所から仕入れます。レンコンは佐賀、魚は各地。料理人仲間から食材の情報が入ったらすぐに現地に出かけて生産者と会う。そうやってより良いものを見つけてきました。築地市場にも毎週出かけ、気心知れた仲買人とやりとりしながらイキのいい食材を選ぶのは楽しいものです。その食材をどう料理するか、帰りの車の中で考えます」とにこやかに語るのは、「幹東」の店主、星野幹東さんだ。
     仕入れた素材の評価の仕方も独特で、たとえば卵なら、茹で卵にして食べ、10分後にどんな香りが上ってくるかで質を判断する。「良い卵はイヤな硫黄臭がしない。卵かけご飯よりはっきり違いがわかります」と星野さん。この方法でいろいろ試しているが、いまの卵を超えるものにはまだ出会っていないという。
     一方、調味料は、醤油は白、もろみ、甘口、たまりなど、甘味はみりん、赤酒、砂糖などを、特徴を熟知したうえで使い分けることで、素材のうま味を引き出している。
     星野さんは、高校時代に寿司店でアルバイトをするなど元々食べるものへの興味が強く、調理師専門学校に進んで優秀な成績で卒業。主に都心の加賀料理店で修行を重ね、約13年の経験を経て、「丁寧につくった料理をゆっくり味わってほしい」と、住宅街である東京・緑が丘に「幹東」を開業した。その後、ワインと和食のお店を経て、2012年に自由が丘に移転した。
     「素材を無駄なく使える分、その日最もおいしいものをリーズナブルに提供できます」という「おまかせコース」は6,000円、8,000円の2種類を用意。これらの違いは料理の数より素材の種類や部位で、たとえば6,000円のコースだとマテ貝を用いる焼き物が、8,000円のコースではシマアジの塩焼きに、アオリイカの耳を使う天ぷらが胴体部分に変わったりする。また、繰り返し訪れる常連さんのために、同じ価格でも内容は日々変化させている。
  • 基本情報
     
    店名 幹東
    住所 東京都世田谷区奥沢6-33-14-205
    電話 03-6809-8544
    営業時間 18:00~22:00(L.O)
    定休日

    木曜

    席数

    26席

    主な客層

    40〜60代中心。カップル、夫婦連れなど

    1日の客数 15人
    予算の目安 1万円
    開業 2004年(2012年7月に現在の場所に移転)
  • 掲載内容は取材時点での情報であり、記事内容、連絡先、営業時間などが変更になる場合があります。