【ピッツァ】聖林館

(東京都/目黒区)

1995年、中目黒駅近くの商店街にオープンしたピッツェリア『中目黒サヴォイ』。本場ナポリの味とスタイルにこだわり、それまでアメリカ風の“ピザ”しか知らなかった日本人に、ナポリの“ピッツァ”の美味しさを教えてくれた伝説のお店です。オーナーシェフの柿沼進さんは、その後『中目黒サヴォイ』を手放しましたが、2007年に『聖林館』にリニューアル。今も『中目黒サヴォイ』時代と変わらぬスタイルで、こだわりぬいたナポリピッツァを提供しています。今回はそんな『聖林館』のピッツァの美味しさの秘密をご紹介します。

クローズアップメニュー
マルゲリータ 1,500円(税込)
たっぷりのオリーブオイルにトマトとモッツァレッラチーズが溶け出し、バジルの香りが食欲をそそる。コルニチョーネ(額縁)と呼ばれる周辺の縁の部分は、ぷっくり膨らんで焼き立てパンのようにふわふわ&もっちり。小麦粉の美味しさも十分に感じられる。一方、極限まで薄く伸ばされた中央部分は、熱で溶けた具材が染み込んでしっとり。皿にこぼれたソースまで拭き取って食べたいほどの美味しさだ。
生地の味の決め手は小麦粉。こちらでは小麦粉そのものの味にこだわり、新鮮な挽きたて国産小麦粉(強力粉)を使用。平日用は70枚、休日用は110~120枚ほどを、毎朝仕込んでいる。
ナポリピッツァを代表するマルゲリータだが、この店にとっても中目黒サヴォイ時代から変わらぬ看板メニュー。舌を火傷しないよう注意しながら、熱々を頬張りたい。
技のポイント1
ゆっくり長時間こね、じっくり寝かせるのが美味しい生地のコツ
専用の機械に小麦粉を入れ、軽く撹拌して塊りをほぐしてから、水で溶いた生イーストと水を一気に入れる。5分くらい混ぜたら塩を入れ、そのままゆっくりとこね続ける。こね終わった生地は1枚分ずつの大きさに分割し、専用の生地庫で寝かせる。写真は寝かせた後のものでおよそ倍くらいの大きさに膨らんでいる。
技のポイント2
 
 
具がのる部分は薄く、縁は厚みが残るよう伸ばす
1枚分の塊りを取り出し、全体に小麦粉をまぶしてから手で伸ばす。焼くと膨らんで縮むので、仕上がりのサイズより少し大きめに。中央部分はできるだけ薄く伸ばすが、縁の部分には触らないようにする。この部分を潰してしまうと、ぷっくり膨らんだきれいな縁が生まれない。

技のポイント3

熱で溶け広がるので、具は中央部分に置く
缶から出してざっと潰しただけのトマトソースを中央に広げ、フレッシュバジルを置き、モッツァレッラチーズを散らす。焼くとオイルやチーズが溶けて広がるので、できるだけ中央に、均一の厚さで散りばめるのがポイント。塩をつけた指を弾くようにして全体に塩を振ってから、具の部分にたっぷりオリーブオイルを振りかける。

技のポイント4

炎の状態を見ながら、1枚1枚をきちんと焼き上げる
木製のパーラ(ピザをのせることができる大きなヘラ)に載せて薪窯に入れる。全体がまんべんなく焼けるよう鉄製のパーラを使って回転させながら焼き上げる。1枚が焼ける時間は1分20秒ほど。窯の大きさからすると一度に3~4枚を焼くことも可能だが、1枚1枚の状態を見極めながらきちんと焼き上げるため、どんなに忙しくても窯に入れるのは一度に2枚までとしている。

オススメメニュー1
マリナーラ 1,500円(税込)
トマトソースを使ったピッツァの原型であり、イタリアでは「ナポリピッツァと呼べるのはマルゲリータとマリナーラだけ」と言われるほど、マルゲリータと並んでナポリを代表するピッツァ。具はトマトソースとスライスしたニンニク、オリーブオイルだけ。シンプルだが、ぐつぐつと沸き立つオリーブオイルにトマトソースとニンニクが溶け出し、まるでできたて熱々のトマトソースをすくって食べているよう。周囲に振りかけたオレガノの香りも食欲をそそる。
オススメメニュー2
ブロッコリ 1,400円(税別)
鍋にたっぷりのオリーブオイルにスライスしたニンニク、赤トウガラシを入れ、ゆっくり熱して香りと味を移す。ニンニクがキツネ色になったら赤トウガラシとともに取り出し、火を止めておく。別の鍋で湯を沸かし、ブロッコリを塩茹でする。固めに茹で上がったら、すぐにオイルの鍋に入れ、余熱で混ぜ合わせ、塩で味を調える。最後にイタリアンパセリと、さきほどのニンニクチップをトッピング。ニンニクとトウガラシのピリ辛が刺激的で、ワインやビールにぴったりの一品。
オススメメニュー3
ポリポ 1,500円(税別)
大きめにぶつ切りにしたタコを、ニンニクのみじん切りと和え、塩とレモンで味を調えてから、オリーブオイルをたっぷり回しかける。レモンの酸味とイタリアンパセリの香りが爽やか。一種のマリネなので作り置きもできるが、食べる直前に作る方がフレッシュで美味しい。「ブロッコリ」と並んで、サヴォイ時代から人気の定番前菜。
  • お店紹介
    オーナーシェフの柿沼進さん(向かって左)とスタッフの齊藤哲平さん
     26歳のとき、イタリアを旅した際に本場のナポリピッツァと出会って衝撃を受け、独学でピッツァの製法を習得したオーナーシェフの柿沼進さん。その後、生まれ育った中目黒にピッツェリア『中目黒サヴォイ』をオープン。一番大切な小麦粉は、新鮮さと味にこだわった末に選んだ国産小麦、ゆえに「私が作っているのはピッツァ・ジャポネーゼ」と語るが、それ以外は「生地の材料は小麦粉と水、イースト菌と塩だけ」「薪窯で直焼き」「ピッツァの種類はマルゲリータとマリナーラだけ」と、ナポリの伝統にのっとったスタイル。もちろん味も本場に負けない美味しさと話題を呼んだ。
     後継店である『聖林館』においても、そのスタイルは変わらない。効率だけを考えるなら、一度に大量に生地を仕込み、窯に入るだけ焼くこともできるのだが、「それは給食のやり方。1枚1枚きちんと焼くのがうちのやり方」。マルゲリータとマリナーラという2種類にこだわるのも、それがナポリのスタイルだからというだけでなく、生地の美味しさが際立つ基本のピッツァだから。「サヴォイ時代から変わらない味」と評する人は多いが、実は「変わらないように見えて、常に変化し続けている」と言う柿沼シェフ。
     そんなシェフのスタイルと味に惹かれて、ここで働くようになったというスタッフの齊藤哲平さん。2年半ほど前からピッツァを焼くようになったが、「一番神経を使うのは寝かせている間の生地の管理。季節や外気温によって状態が変わるので、毎日必ずシェフがチェックしています」とのこと。
    生地を手で伸ばし、ソースやチーズをトッピングするのに約50秒。薪窯に入れ、焼き上がるのに1分20秒。そのわずかな時間に生まれる美味しさは、まさに炎の芸術品。「ぜひ1人1枚召し上がっていただけるようお勧めしています」(齋藤さん)
  • 基本情報


    店名 聖林館
    住所 東京都目黒区上目黒2-6-4
    電話 03-3714-5160
    営業時間 平日 
    11:30-14:00(13:30L.O.)、18:00-22:00(20:45L.O.)
    土日・祝日
    11:30-15:00(14:30L.O.)、17:00-22:00(20:45L.O.)
    定休日

    無休

    席数

    50席

    主な客層

    家族連れから学生、年配の方まで幅広い。男女比では女性が多い。

    1日の客数 平日は80人くらい。週末・休日は100人以上。
    予算の目安 ランチタイム2,000円くらい。ディナータイム4,000円くらい。
    開業 2007年6月

    ※ ディナータイムは完全予約制ではないが、満席のことも多いので、予約または電話確認してからお出かけください。
     
  • 掲載内容は取材時点での情報であり、記事内容、連絡先、営業時間などが変更になる場合があります。