【和食】千客万来 芝濱

(東京都/中央区)

女性向け総合情報誌が企画した「銀座ランチランキング」和食部門で1位に選出されるなど、いま、大人の女性を中心に人気を集めているのが開業5周年を迎える和食店、「千客万来 芝濱」です。東京・銀座とはいえ新橋に近い8丁目の路地地下。それでも、鯛をさまざまなかたちで楽しめる名物「鯛づくし膳」など独創的なメニューを求め、連日多くの人が足を運んでいます。

クローズアップメニュー
鯛天茶漬け 「鯛づくし膳」(茶碗蒸し付き2,000円)の一部
「鯛づくし膳」は、お造りからお茶漬けまで4品、オプションの茶碗蒸し(200円)を含めると5品が、一品一品丁寧に提供される、まさに鯛の魅力が凝縮されたランチメニュー。中でも「鯛天茶漬け」はこのメニューのメインであり、同店の名物料理でもある。ご飯を茶碗に盛ったら、鯛天、特製クルミダレ、生ワサビなど薬味を乗せ、75℃くらいに調整した鯛のだしと香の物を添えて提供。板長のおすすめは全体にだしをたっぷりかけて混ぜる食べ方だが、だしをかける前に珍しい鯛天をそのまま味わってみる人も多い。お米は粘り気があってお茶漬けに合う「つや姫」を使用。カウンター席の目の前に置いた釜で炊く様子や、ふたを開けたときに立ち上る湯気が、限られたランチタイムを豊かに演出している。
技のポイント1
 

刺身用の鯛に薄い衣をつけて高温で揚げる
鯛は刺身くらいの大きさに切って衣をつけて揚げる。衣液は一般的な小麦粉と鶏卵と水でつくるが、かなり薄めなのが特徴。揚げ油にはまろやかな風味とコクを持つ綿実油を使い、180℃を超える高温でからりと揚げる。
技のポイント2
揚げた鯛をさらに炭火で炙る
揚げた鯛は炭火で炙り、余分な油を落とす。このとき炭の真上で焼くと落ちた油が燃えて、鯛の風味が落ちてしまうので、必ず少しずらした場所に置く。この炙る作業には、天ぷらの風味を長持ちさせる効果もある。

技のポイント3

特製クルミダレで個性を追求
鯛茶漬けといえばゴマダレを合わせるのが主流だが、天ぷらにした鯛にはゴマダレは合わないことに気づいた板長が、クルミ100%のタレを考案。信州産のクルミをフードプロセッサーでペースト状にし、たまり醤油を加えて火にかけ伸ばして濃厚に仕上げている。

技のポイント4


鯛の中骨とコンブでとった鯛のだしをかける
ご飯にかけるのは鯛の中骨とコンブでとっただし。毎朝、鯛3〜4尾分の中骨をスチームコンベクションできつね色より濃くなる程度までじっくり焼き、臭みを取り除く。それをコンブ(利尻コンブまたは真コンブ)と一緒に約10ℓの容量の寸胴鍋で1時間ほど炊く。炊き上がっただしは火を止めた状態で保管。鯛天茶漬け以外でもさまざまなメニューで使われるこの基本のだしを「鯛のだし」と呼ぶ。

 

オススメメニュー1
茶碗蒸し 「鯛づくし膳」の一部
鯛のだしと大分産シャモの卵を混ぜ合わせ、器に入れて蒸しただけのシンプルな茶碗蒸しだが、だし、卵ともにコクがあり、味わい深い。卵の色が濃いこともあり、醤油風味の餡をかけた様子はプリンを思わせる。最後に飾ったネギはとても細かく上品。
オススメメニュー2
お造り 「鯛づくし膳」の一部
生で提供する鯛についての一番のこだわりは朝ジメであること。板長が毎朝築地市場に出向き、自分の目で見て選んだ鯛を使用している。良い鯛を見分けるポイントは、ほかの魚同様尾びれの付け根の太り具合。ここがむっちりと張っているものを選ぶ。朝まで泳いでいた鯛の身はかみにくいほど弾力があるため、皿に盛る前に庖丁で細かな切れ目を入れている。刺身を盛った上には湯引きして小さく切った皮をちょこんと飾った。小皿に用意したのは薄口醤油を鯛の出汁でバランスよく割った「鯛醤油」。塩気が抑えられだしが効いているのでそのまま飲んでもおいしい醤油だ。薬味は甘みのある御殿場産の生ワサビとすだち。
オススメメニュー3
あら汁 「鯛づくし膳」の一部
鯛のあらと旬の野菜一品を組み合わせた味噌仕立てのあら汁。西日本で主流の麦味噌を使っており、湯気とともに広がる甘い香りと、まろやかかつ深い風味が特徴。あらを大量に使うことで十分なうま味が得られるため、だしとして用いるのはコンブだしのみ。下ごしらえも鯛のあらの霜降りのみでOK。あとは組み合わせる野菜によって一手間加える。たとえば寒い季節によく使うサトイモは、予め蒸して揚げることでコクを強めてから用いる。
オススメメニュー4
塩焼き 「鯛づくし膳」の一部
鯛の切り身にまろやかな味わいの淡路の塩をふり、炭火でふっくらと焼き上げた。付け合わせはコンブの佃煮、スライスレモン、鬼おろし。
  • お店紹介
    「食材は自分の目で確かめて仕入れ、その素材に最も適した味つけで提供しています」と語る板長の岡本徹さん
    「“秋のサンマ”に代表されるように、日本の食材にはいわゆる旬の時期がつきものです。でも私はあまりその時期にとらわれず、毎朝必ず築地市場に出向き、自分の目で見て新鮮でおいしそうな食材を仕入れ、仕入れてからメニューを考えます。こういうやり方をしていると料理のイメージが広がるし、お客さまにも驚いていただけます」
     「千客万来 芝濱」開業時から板長を務める岡村徹さんが、食材の調達方法や料理に対する自らの姿勢をこう語る。
     ただし豚肉のみは茨城県のブランド豚「キングポーク」にこだわっている。ある飲食店で食べた豚肉の美味しさに感動し、探し当てたのがキングポーク。その生産者が偶然、中学時代の同級生だったという縁も大切にしている。
     こんな岡村さんは、食材の保管方法にも一工夫している。たとえば鯛は、さばいた後、木箱にキッチンペーパーをしき、その上に重ならないように並べて木のふたをしてから冷蔵庫で保管している。金属製のバットだと冷え過ぎてしまう。木の温もりが鯛のおいしさを守ってくれるのだという。
     木の温もりは内装にも活かされている。エントランスや個室のドア、床、柱、カウンターテーブルなどに木を使用しており、店内は温かな雰囲気に包まれている。カウンター席と個室とで動線を分けているのも大きな特徴。客同士が顔を合わすことなく席につけるため、重要な会合などでも利用されている。厨房は完全オープン形式で、カウンター席に座れば調理の一部始終を見ることができる。
     今回はランチにスポットをあてたが、その日に仕入れたおいしい食材をより楽しめるのは、アレンジの余地の大きいディナーだ。ディナーメニューはコースのみで、メインの食材によってキングポーク(1万円)、牛ヒレ(1万2,000円)、フカヒレ(1万5,000円)の3コースを設定している。メイン以外は随時入れ替わる。金額や好みの食材に合わせることも可能という。
     数ある魚の中でも特に鯛に力を入れている同店では、ディナーコースの食事として「鯛の土鍋ご飯」を提供している。岡村さんが「氷見や明石など、その時期で一番美味しい鯛を使う当店の自慢料理です。ぜひ召し上がっていただきたい」と強調する一押しメニューだ。 
  • 基本情報



    店名 千客万来 芝濱
    住所 東京都中央区銀座8-12-5 B1
    電話 03-6278-0488
    営業時間 ランチ 12:00~13:30
    ディナー 18:00~22:00(L.O.)
    定休日

    日曜、祝日

    席数

    21席

    主な客層

    女性グループ、接待客など

    1日の客数 ランチ 20人 ディナー 15人
    予算の目安 ランチ1,800円〜 ディナー(コース) 1万円〜
    開業 2013年3月
    HP http://www.ginza-shibahama.jp/
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