【しゃも料理】やまき

(東京都/板橋区)

生のまま、あるいは焼くだけ、茹でるだけといったシンプルな料理ほど、素材そのものの味が際立つものです。焼鳥もその1つ。「やまき」では、寒暖差の激しい茨城県北部・久慈川沿いの地域で育った「奥久慈しゃも」を主に用い、その特徴である歯ごたえや強いうま味を生かした味つけを工夫しています。
クローズアップメニュー
しゃもなべ 1人前2,000円(税込)2人前〜
多種多様なしゃも料理が並ぶ「やまき」のメニューを代表する一品。丸鶏の状態で仕入れ、厨房で丁寧に解体し、部位ごとに切り出した新鮮なしゃも肉を、白菜、水菜、ゴボウ、長ネギ、シイタケ、豆腐、しらたきなどと一緒に生の状態で、地鶏鍋専用につくられた土鍋にセットし、自家製の鍋地をひたひたに入れて提供。これを卓上コンロでほどよく煮て、卵につけて食べる。しゃものうま味が活きるように鍋地の味つけは控えめだが、隠し味の味噌などによりコクが加わり、風味豊か。〆のものにはおじや(1人前200円)がおすすめだ。食事の仕上げに、ショウガを効かせ、塩、酒で味を整えたお椀入りの熱いしゃもガラスープがつく。写真は2人前。
技のポイント1
スープはしゃものガラとショウガ、長ネギでシンプルに炊く
スープは、肉を取ってきれいに洗ったしゃものガラを丸ごと鍋に入れ、ショウガ、長ネギと一緒に蓋をして約2時間半、じっくりと炊いてつくる。
技のポイント2
 

数種類の調味料、しゃもガラスープを合わせて鍋地が完成する

自家製の鍋地は、すり鉢とすりこぎで数種類の調味料を混ぜ、最後に、しゃもガラスープを加えて完成する。調味料の一つに八丁味噌を使い、「やまき」ならではのしゃもなべの味に仕立てる。
技のポイント3
味と食感を楽しめるように5種類の肉を使用
肉は「奥久慈しゃも」のモモ、ムネ、皮、つくね、「あべどり(岩手県)」のレバーの5種類を使用するなど食感、味ともに飽きのこない内容としている。つくねは、モモ肉、ムネ肉を7〜8割程度包丁で細かくしたあと手動のミートミンサーで3mmにひき、しょうゆ、卵、ショウガ、サンショウで調味したもの。
オススメメニュー1
しゃも冷しゃぶ 1人前2,000円(税込)2人前〜
スライスしたしゃものモモ肉、ムネ肉を薄く味つけしたしゃもガラスープに入れ軽く火を通したあと、冷やだし(氷を浮かべたガラスープ)につけて冷まし、自家製のたれにつけて食べる。たれは、数種類の調味料にレモン汁を絞ったもの。冷たい料理ながら四季を通して人気があり、忘年会や新年会のメインメニューに選ぶグループも少なくない。野菜などの具材はほとんどしゃもなべと一緒だが、しらたきは使わない。代わりに、しゃも冷しゃぶのスープに合うようにくずきりを使う。レバーは「あべどり」を使用。あっさりしたスープは〆のうどん(奥久慈島田うどん、1人前400円)にぴったり。写真は2人前。
オススメメニュー2
やまきおまかせ4本 800円(税込)
肉、皮、内臓系をバランスよく選んで、その日のオススメを炭火で焼いて提供する。取材時は、ネギマ、皮、ササミ、背肝の4本。ネギマはネギにほどよく火が通るように、ササミは半生に仕上げる。皮は比較的脂肪分が少なめでより歯ごたえのあるオスを使用。背肝はしゃも3羽につき1本しか取れない希少部位のため、ほかの部位で代用することもある。味つけは岩塩を基本としているが、ササミはワサビ味、ウナギの肝に似た背肝は自家製のたれにつけサンショウを振る。自家製たれは、しょうゆ、味醂、中双糖、黒糖、にんにく、赤唐辛子などを煮詰めて作る。黒糖がたれにコクをだすポイント。
オススメメニュー3
月見つくね(2本) 500円(税込)
しゃもなべで使うつくねと同様に包丁で細かくしたあと手動のミートミンサーで3mmにひき、しょうゆ、卵、ショウガとともに田舎味噌、酒を加えてしっかりと下味をつけ、刻んだ青ネギを交ぜ込む。これを串に巻き、炭火で焼いたら自家製のたれをつけてさらに炙る。つくね2本に卵の黄身1つがつく。
オススメメニュー4
イタリアンサラダ(しゃも薫製入り) 750円(税込)
しゃものムネ肉をソミュール液に浸して12時間、冷蔵保存したあと、冷蔵庫で24時間乾燥させ、さらに1時間程度温熱乾燥させる。これをヒッコリーチップで2時間燻すが、このときウイスキーの香りづけなどに使われるピートパウダーを混ぜることでスモーキーさを強調している。こうしてつくったしゃも薫製と、しゃも皮薫製(下記参照)を刻んだものをレタス、水菜、トマトなどの野菜にトッピングし、自慢のイタリアンドレッシングをかけて出来上がり。ドレッシングはオリーブオイルがベースで、同じくオリーブオイルに2日間漬け込んだドライトマトと、塩、コショウ、ホワイトワインビネガー、バジル、オレガノ、おろしタマネギ、おろしセロリ、甘みやとろみづけの役割をするサンザシなどをミックスした手づくりで、とてもフレッシュ。
オススメメニュー5
しゃも皮の薫製(プロセスチーズを添えて) 580円(税込)
しゃも皮薫製を一口サイズにカットし、プロセスチーズの薫製と合わせたおつまみメニュー。焼鳥と同様にオスの皮を用い、ムネ肉の薫製と同様にじっくり燻すと生のぷるぷるした食感が残りやわらかく仕上がる。
  • お店紹介
    「毎日が勉強です」と謙虚に語る店長の三原弥之さんと女性スタッフ
    「やまき」は、居酒屋チェーンを母体とした企業などで約15年の経験を積んだ三原弥之さんが、「いつかは自分で商売をしたい」という子どもの頃からの夢をかなえて、生まれ育った東京・板橋区向原に開業した念願のお店。地下鉄有楽町線千川駅と小竹向原駅の間あたり、大通り沿いに立つ2階建ての物件は、住宅だった頃の内外装を活かした懐かしい雰囲気が魅力。毛筆タッチのひらがなが浮き出る看板も目を引く。
    しゃも料理専門店を開いた理由を三原さんは、「私は性格的に凝るほうです。だから幅広い食材を扱うよりも、何かに限定するほうが向いていると考えました」と説明する。同じしゃもでも奥久慈産に絞ったのは、より安全で、良質な肉を仕入れるため。「しゃもは筋肉質なので、慣れないうちはさばいているうちに腱鞘炎になることもありました」と苦笑いしながらも、丸鶏で仕入れて自分で解体することにこだわるのも、安全に、なるべくリーズナブルな価格で提供するためだ。
    開業にあたっては、社員時代にお世話になった先輩をはじめ、著名な精肉店や鶏料理店などを訪ねてはいろいろなことを勉強した。しゃもなべに使っている地鶏鍋専用の「土鍋」と焼鳥が冷めないように卓上にセットしたホットプレートに乗せている「陶板」は、ある地鶏専門精肉店と信楽焼の窯元が共同で特別開発したものを提供してもらった。しゃも料理のお供に欠かせない日本酒は、大谷酒造(鳥取県)の鷹勇を直接仕入れている。ある本で酒米「強力」に魅了され、大谷酒造の純米酒「強力」に出会ったことが、「やまき」で鷹勇を取り扱うきっかけとなった。あちこち探して理想のものを見つけたもので、こんなところにも“凝る性格”が出ている。
    これまでの3年間は焼鳥と鍋を中心にやってきたが、今後はしゃもを使った土鍋ご飯や唐揚げなどにも挑戦するつもりだ。「息の長いお店にするためにも、これからも勉強を怠らず、丁寧に手づくりしていきたい」と言う。
     
  • 基本情報
    店名 やまき
    住所 東京都板橋区向原1-5−4
    電話 03-3958-4805
    営業時間 17:00〜23:30(L.O 22:30)
    定休日

    月曜(祝日は営業、翌火曜休業)

    席数

    49席(1階カウンター4、テーブル12、座敷12、2階座敷22)

    主な客層

    平日 ビジネスパーソン、カップル 休日 家族連れ

    1日の客数 10〜13人
    予算の目安 3,500〜4,000円
    開業 2015年7月
    HP https://www.yakitori-yamaki.com/
  • 掲載内容は取材時点での情報であり、記事内容、連絡先、営業時間などが変更になる場合があります。