【ビストロ】ビストロ喜楽亭

(東京都/世田谷区)

オープンは1986年。美濃焼の手鍋で1人前ずつ調理して提供される「壺焼きカレー」が看板商品で、オープンから30年を超える今も同品を目当てにしたお客様が平日300人、週末には600人が訪れる〝超〟人気店だ。ラインナップするカレーメニューは定番26品に季節限定メニュー1品と非常にバラエティ豊か。「チキンかれー」1,026円(税込)、「ビーフかれー」1,026円(税込)といったオーソドックスなものから、「フルーツかれー」1,134円(税込)や「鯨かれー」4,104円(税込)といったユニークなアイテムもある。 人気の秘密はチーズフォンデュ用の鍋をヒントに特注した手鍋を使ってアツアツの状態で提供するスタイルと、ブイヨンに3日間、あめ色の玉ネギづくりに5日間をかけてじっくり旨みを引き出した手づくりの味。 遠方から訪れるカレーファンのみならず、親、子、孫の三世代にわたって利用する地元の常連客も多く、7割がリピーター客なのもうなずける。
 
クローズアップメニュー


チキンかれー 1,026円(税込)
「ビーフかれー」や「ハンバーグかれー」とならぶ人気商品のひとつ。〝スパイスの女王〟とも呼ばれる華やかな香りを放つ「カルダモン」をふんだんに使用した香り豊かな味が鶏肉の旨みを引き立てる。小麦粉や油をできるかぎり抑えてつくるカレーは、とてもコク深い味わいながらも胃にもたれない食後感で子供や年輩のお客様にもファンが多い。毎日でも食べられる味をめざしたことが、高い常連客率につながっている。 ターメリックライスは220gとボリュームもしっかり。つけ合わせはフライドオニオンと干しぶどう。干しぶどうはブランデーではなく赤ワインを水で割ったものでやわらかくもどしてあり、子供でもアルコールを気にせず食べられる配慮をしている。

技のポイント1



3日間かけてブイヨンをとる 

60リットルの寸胴に対して牛スネ骨6キロを使用。200度のオーブンで40分間熱して焼き色をつけた後にフライパンに移し、ブランデーをかけながらフランベする。これにタマネギ、ニンジンなどの香味野菜、と9種類のスパイスとともに沸騰直前の温度を保ちながら3日間炊いてしっかりと旨みを引き出していく。スパイスは左奥からトウガラシ、シナモン、ブラックペッパー、スターアニス、ローリエ、クミンシード、カルダモン、クローブ、コリアンダー。できあがったブイヨンは残っているブイヨンに継ぎ足して味の安定化を図っている。  
技のポイント2
 

 

チキンカレーベースをつくる 
1度に仕込む鶏肉の量は10kgで、およそ100食分を週に2~3回のペースで仕込む。30g前後の大きさにカットした鶏ムネ肉はグラニュー糖やカレー粉などをしっかりもみ込む。そこに水とすりおろしたニンニクとショウガを入れて30分ほど煮込む。ある程度水分が飛んだところでカルダモンとクローブを煮立てたマリネ液を入れ煮込みながら、カレー粉、シナモンパウダー、カルダモンパウダーを加えていく。仕上げに5日間炒めた玉ねぎペーストを加え、冷めたら冷蔵庫で寝かし味を染み込ませる。25品を超えるメニューのカレーベースは、それぞれに異なるレシピで仕込むこだわり。たとえばビーフカレーベースではスパイスにナツメグやブラックペッパー主体にして赤ワインで4時間かけて煮込む。
技のポイント3
 

注文ごとに特製の手鍋で調理してアツアツをそのまま提供 
注文ごとに特製の手鍋に全メニュー共通で使用するカレーペースト、ブイヨン、チキンカレーベースを合わせてひと煮立ちさせて仕上げる。 カレーペーストはスパイスと小麦粉を合わせ、牛脂などで溶いて作る。スパイスと小麦粉の配合比は8対2と、小麦粉の使用量を最小限に抑えることで食後に胃がもたれることの少ないカレーに仕上がっている。 特製の手鍋は、先代がチーズフォンデュ用の鍋をヒントに岐阜県にある美濃焼の窯元に特注したもの。1食分ずつ調理してそのまま提供できるうえ、保温性が高いことからお客様がおしゃべりしながらゆっくり食事をしても温かい状態を長く保つことができる。
オススメメニュー1
喜楽亭のビフカツ 1,900円(税込)  
 牛肉はサーロインの部位を100g使用してレアな揚げ加減に仕上げる。衣にはすりおろしたニンニクと刻んだパセリを加えてあり、牛肉の旨みを引き立てている。たっぷりかけられたソースは自家製のデミグラスソースに粒マスタードを混ぜて酸味を効かせたもので、洋食スタイルのビフカツを主張しながら、あっさりといただける。
オススメメニュー2
タンドリーチキン 972円(税込)
骨付きのモモ半身とウイング(手羽元)を塊のまま調理した様子はインパクト絶大だ。鶏肉はターメリック、クミン、ヨーグルト、ブラックペッパー、チリパウダー、カルダモン、カレー粉などでしっかりともみ込み、1日漬け込んで味を染み込ませる。トマトソースやパプリカパウダーを加えて本場インド・タンドール風に緋色に仕上げる。 注文を受けたら270度のオーブンで15分間加熱するが、骨までしっかり熱を入れながらも表面を焦がしすぎないようにするため、5分間加熱しては寝かす工程を3回繰り返して調理する。  
オススメメニュー3
サーモンとアボカドのタルタル風 880円(税込)
サーモンとアボカドを粗みじん切りにしたものをマヨネーズで和えて、セルクルを使って円形に型抜きする。隠し味にフランボワーズビネガーを少量加えることで、華やかな酸味をプラス。  
  • お店紹介
    写真右から3人目が二代目の大久保宏泰さん。手間ひまをかけて、おいしく毎日食べられるからだに優しいカレーを守り続ける
    「ビストロ喜楽亭」のオープンは1986年。大久保秀喜さんが東京・世田谷で焼き鳥店を開業した後にビストロに業態転換。ランチに提供するカレーが人気となったことをきっかけにカレーを主力商品に据えた営業スタイルに変えた。いまでは欧風カレーの名店として多数のメディアに登場するまでになり、平日300人、週末600人ものお客が訪れ、8割の方がカレーを注文する。 同店のカレーを象徴するのが、独特な形状の手鍋の中でぐつぐつと沸騰した状態で提供されるスタイルだ。秀喜さん自ら考案した手鍋は、岐阜の美濃焼きの窯元で特注されたもの。デザイン面に優れているうえ、直火調理してそのまま提供できるのでスピーディーに提供できる点も秀逸だ。お客の要望に応えながらレパートリーが増えていき、いまでは定番26品、季節メニュー1品にまで拡大。1品1品で適したスパイス配合のレシピとなっているが、これらは店舗の2階に設けた仕込み専用のキッチンで対応している。
    1992年にはカレーパンのテイクアウトをスタート。パン生地50gに対してカレーフィリングが100gとボリューム満点で、平日100個、週末には150個が売り切れる。
    現在お店は二代目の宏泰さんが看板を守る。「老若男女を問わずご利用くださっています。かつての常連客さまが遠方にお引っ越しされたあとにも、都内を訪れる機会にご利用くださる方もいらっしゃいますので、手間ひまを惜しまずに当店の味を守っていきます」。    
  • 基本情報

    店名 ビストロ喜楽亭
    住所 東京都世田谷区池尻3-30-5
    電話 03-3410-5289
    営業時間 11時~翌2時(1時30分L.O.)
    定休日

    不定休

    席数

    席数 30席(カウンター6席、テーブル24席)

    主な客層

    子連れファミリー、シニア夫婦、近隣会社員、目的客

    1日の客数 1日の客数 平日250~300人、週末400~600人 
    予算の目安 昼1200円、夜1500~1800円
    開業 1986年11月
  • 掲載内容は取材時点での情報であり、記事内容、連絡先、営業時間などが変更になる場合があります。