【黒毛和牛たん専門店】たんや又兵衛 本店

東京都/港区

独特の歯ごたえやうま味の強さで人気の牛タン。調理法を工夫すればタン先からタン元(舌の付け根)、タン下(舌裏)まですべて使えますが、東京・六本木の「たんや又兵衛」では、あえて最もやわらかく脂の乗ったタン芯、それも黒毛和牛のタン芯に限定して提供しています。こうした素材へのこだわりと長い熟成時間がおいしさの秘密です。
 
クローズアップメニュー

牛たん(約100g) 3,900円(税別)

1カ月ほど熟成させた黒毛和牛のタンの中心部分(タン芯)を、遠赤外線効果を持ち安定した火力が得られる特注の串焼き器でじっくりと焼いて提供している人気ナンバーワンメニュー。表面はサクッとしてこうばしく、中はやわらか。うま味が強いので塩焼きのままがおすすめだが、すだちを搾ったり、卓上の柚子七味をつけたりしても美味。付け合わせのキュウリとの相性も抜群で、一緒に焼いたタマネギもおいしい。1本の牛タン(約2kg)から約300gしか取れない最上級部分だけを使っており、たいへん貴重。それでもより多くの人に楽しんでもらいたいと、赤字覚悟の価格で提供している。
技のポイント1
 

牛タンは冷蔵庫で約1カ月熟成させる

仕入れた牛タンは血抜き(太い血管をしごく)などの下処理をしてきれいにし、業務用冷蔵庫(2℃)にタン先が上になるようにつるして保管する。試行錯誤の末、導き出した最適の熟成期間は25〜30日間。この間に重量にして仕入れ時の約7割まで縮む(右写真:奥が入荷して2日目、手前が熟成した牛タン)。
技のポイント2
 

タン芯部分をスライスし周囲をカットする

熟成させたタンを中央あたりで切り、付け根に近い側を厚さ13mm程度にスライス。これを1枚1枚、周囲を丁寧にカットしていき、中央部分のみ残す。
技のポイント3
 

串に刺し、木目を使って均等に焼き塩をつける

きれいにカットしたタン芯を、オリジナルの串に刺していく。串の元にタマネギを刺し、タンは先に行くほど大きくなるように刺して形を整える。焼く際の味つけは自家製の焼き塩のみ。塩は振らずに、木目を利用して片面のみに叩きつけるように適量を均等につける。
技のポイント4

特注の串焼き器で中心まで火を通す

串に刺した牛タンを、特注の串焼き器に乗せ、ポイント3で塩をつけなかった面に追い塩をしながらじっくりと焼く。1カ月熟成させた牛タンのためレアはNG。中心まで火を通すのが基本だ。
オススメメニュー1

左から)さがり刺身 3,000円 たん刺身 3,900円 たん味噌漬け 2,000円(税別)

横隔膜の内側にあたる肉厚な希少部位の「さがり」は、口の中でほどけるような食感が魅力。「たん刺身」は「牛たん」同様、極上部分であるタン芯を使用。これら刺身は仕入れてすぐに下処理をし、1日熟成させたら短冊状にカットして冷凍。注文を受けたらスライスし、ルイベ状で提供している。「たん味噌漬け」は、予めボイルした牛タンを串打ちして味噌に丸一日漬け込んだもの。味噌の風味はほんのり感じる程度で、肉のうま味のほうが際立っている。身が締まっていて、白髪ネギとの相性が良く、かむほどに味わい深い。
 
オススメメニュー2
しもふり 4,300円(税別)
脂のおいしさで選んだ前沢牛のサーロインを使用。スライスして串に刺して串焼き器で焼くのは「牛たん」と同じだが、こちらは内側に生の部分を残すように焼いてジューシーに仕上げる。付け合わせはタルタルソースを乗せたサヤエンドウ、甘く煮たサツマイモ、湯むきしたプチトマト、キノコのしぐれ煮。つけダレは下ろした青森ニンニクを入れた醤油。
オススメメニュー3
テールスープ 1,100円(税別)
タマネギ、ニンジン、キャベツ、セロリ、パセリ、ニンニク、ショウガ、ローリエなどとともに輪切りにした牛テールを4日間煮込み、テールの髄を出し切った深みのあるスープ。調味料は塩・こしょうのみだが、野菜から出る甘味も効いてやさしい味に仕上がっている。具はテールのスジとタマネギ。仕上げに刻んだ青ネギを浮かせた。ファンが多く、「おじやにしてほしい」といったリクエストにもしばしば応じている。
  • お店紹介

    「30年以上、変わらぬ味を維持してきました。これからもずっとこのままお客さまを迎え続けたい」と話す店長の内田幸利さん
    中華料理のシェフだったオーナーが博多で牛タンを食べ、あまりのおいしさに衝撃を受けてそのお店に弟子入り。のちに初めてにして唯一ののれん分けのかたちで1987年にオープンしたのがここ、「たんや又兵衛 本店」だ。
     「当店のルーツである博多の又兵衛は黒毛和牛たん専門店。又兵衛を名乗らせてもらうためには、当時はいま以上に希少だった黒毛和牛のタンを安定して仕入れることができるルートの確保が絶対条件だったと聞いています」と話すのは、このお店の店長になって20年以上になる内田幸利さんだ。
     博多のお店はすでに閉店し、オーナーも亡くなったいま、秘伝の味やメニューをそのまま引き継いでいるのは同店のみ。黒毛和牛の人気が高まる半面、流通量が減るなど、経営環境は厳しくなってきているが、質の高さとリーズナブルな価格を維持しようと頑張っている。
     舌の肥えた人たちに楽しんでもらうべく、手に入りにくい珍しいアルコール類も、独自のルートを駆使して取り揃えている。「初めて飲んだと言って喜んでいただけるのがうれしい」と内田さんが言う。
     カウンター席では、ガラス扉の冷蔵庫に並ぶ牛タンや調理の行程を間近で見られて目にも楽しい。また、奥に備えた個室では周囲を気にせず食事ができる。常連客には外国人も多く、英語版メニューも用意している。
  • 基本情報


    店名 たんや又兵衛 本店
    住所 東京都港区六本木3-13-8-2F
    電話 03-3402-8220
    営業時間 月〜土 18:00~23:00 
    日祝 17:30~22:30
    定休日

    無休

    席数

    22席

    主な客層

    接待客、会社経営者が中心

    予算の目安 1万5,000円
    開業 1987年
  • 掲載内容は取材時点での情報であり、記事内容、連絡先、営業時間などが変更になる場合があります。