(東京都/千代田区)
古書店、スポーツ用品店、楽器店が軒を並べる東京神田。この街にはカレーを提供する300を超える店が点在しているという。そんなカレーの激戦区または聖地とも言われる地に店を構える「マンダラ」は、地下1階という一見不利な立地で看板も控えめな佇まい。しかし、本格インドカレーが食べられる名店と聞きつけ、その味を求める人の足が絶えない。人々を惹きつけてやまない味わいの秘密をクローズアップします。
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クローズアップメニュー
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チキンバターマサラ 1,296円(税込)
あらかじめ店内で調合されたオリジナルブレンドのスパイスや数種のペーストを使って仕上げるこのメニューは、カシューナッツのコクとトマトの爽やかな酸味によって、食べた後は清々しい満足感が味わえる。日本ではまだ知られていない頃から提供を始め、同店の看板メニューになっている。
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こだわりのペースト類と、自家製のガラムマサラを使う
味の決め手となるのは、数種のペーストとスパイス。(写真左上から)ニンニクと生姜のペースト、カシューナッツのペースト、トマトペーストで、この3つのペーストは全て店内での手作り。トマトペーストはホールトマトだけでなく生のトマトも加え、濃厚さとフレッシュな酸味のバランスを絶妙な加減で調えている。カシューナッツペーストは水に浸しておいたカシューナッツをミキサーでペースト状にしたもの。(中段左から)パプリカ、カイエンペッパー、ブレンド済みのホールスパイス。(手前左から)カスリメティー、ターメリック、ガラムマサラ。このガラムマサラはシェフが約20種類のスパイスを配合して作るマンダラオリジナルである。
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技のポイント2
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スパイスを炒め、カシューナッツペーストをたっぷりと使うことで、香り、コク、甘みを出す
カルダモン、クローブ、メース(ナツメグの表皮)、ローリエなどのホールスパイスは、じっくりと炒めて油に香りを移し、ニンニクと生姜のペースト、白いカシューナッツペーストを順に加えてさらに炒める。カシューナッツペーストを入れることにより、カレーのベースにコク、甘みが加わり、適度なとろみをつける効果もある。
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数段階に分けて加えるスパイスが、より複雑な味わいを作り出す
カイエンペッパー、パプリカ、ターメリックなどの粉末スパイス、トマトペーストも加えさらに煮込み、溶かしたバター、はちみつ、砂糖、塩などで味を調整する。最後に生クリームを加え、カスリメティ、ガラムマサラなどの特徴的な風味を大切にしたいスパイスやハーブを仕上げに加える。スパイスを数段階に分けて加えて重ねていくことにより、味や風味がより複雑となり、奥深い味わいのカレーに仕上がる。
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技のポイント4
鶏肉は下味をつけてから、タンドール釜で焼き上げる
鶏肉はニンニクと生姜のペースト、パプリカ、ガラムマサラ、カイエンペッパー、塩、酢、ヨーグルトマサラ(水切りヨーグルトにパプリカ、カイエンペッパー、ガラムマサラを混ぜたもの)にしっかりとマリネした後に、タンドール釜で焼く。焼き上がったチキンは一口サイズに切り、注文ごとにカレーとチキンをフライパンで火を通しながら合わせたものを提供する。この時、チキンを海老に替えればシュリンプバターマサラに、蟹にするとカニのバターマサラになどバリエーションを広げることができる。
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オススメメニュー1
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マトンカレー 1,458円(税込)
マトンはスパイスとともにソテーした後、タマネギなどの香味野菜とともに45分ほど下茹でをしておく。そうすることで、ゴロっと大きめであっても、ほろほろと口の中でほどけるような柔らかな食感になる。また、臭みが抜けてスパイスが効いたカレーの中にあっても、マトンの風味が程よく引き立つ。ひとつの器の中でもマトンや生姜、ホールスパイスなどによって、香りの変化を味わえる。
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オススメメニュー2
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ナン 356円(税込)
マンダラでは炭火のタンドール釜を使用し、焼き上がったばかりの熱々のナンを提供している。注文を受けてから焼くという。材料は小麦粉(カメリヤを使用)、水、塩、砂糖、卵、牛乳、重曹、ベーキングパウダー。捏ねて練った後、一枚分ずつに丸めて保存しておく。生地は厚めに伸ばし、焼き上がったナンは外側がパリっと、中はもっちりとした食感でほんのりとした甘みがある。他にガーリックチーズナンも人気。
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オススメメニュー3
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タンドールミックス 1,620円(税込)〜
下味をつけた材料を1mはありそうなシーク(タンドール釜用の長い串)に刺して、ナンと同じタンドール釜で焼き上げる。炭の量は混雑具合によって調整し、ランチタイムは多めに入れて火力を強める。写真は「S」の約2人前。(写真手前)シークカバブ。豚肉と鶏肉のミンチにスパイスを混ぜ、シークにタネを巻きつけて焼く。(写真右)マライティッカは鶏もも肉をカシューナッツペーストやニンニクと生姜のペーストに漬込み、スパイスやチーズを入れ、味をつけて焼いたもの。(写真中央左)前述の「クローズアップメニュー」と同じ要領で漬込んで焼いたタンドールチキン。他にタンドールプローン(海老)、ラムチョップ(子羊の背肉)などがある。
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お店紹介
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左がフロアマネージャーの中川浩行さん、右がチーフシェフ、ジャグモハン シンさん。
「本場の美味しい料理を上品に提供する」という同店のこだわりにあるように、料理だけでなく、店内は洗練されたモダンな空間づくりにも気を配っている。コンクリート打ちっぱなしの壁には色鮮やかなサリーをあしらった作品や曼荼羅。信楽焼の食器、軽快なジャズ、行き届いたサービスなど、訪れた人が心地よく過ごせるための配慮に抜かりがない。接客を取り仕切る中川浩行さんはシェフの作る料理に深い信頼を寄せている。チーフシェフのジャグモハン シンさんは本場インドの五つ星ホテル、タージマハールホテルで約11年間勤め、料理の技を磨いた。その技術や感覚で各工程を丁寧に調理している。本格的な味とサービスは信頼を集め、インドやイスラムの方のビジネスの接待に使われることも多いという。
神田カレーグランプリではグランプリ(2012年)、準グランプリ(2014年)、3位(2013年)をそれぞれ受賞した。カレーファンや多くの著名人に愛され、バラエティーや情報番組、雑誌などのメディアでも度々紹介されている。「特別なことはなく、シンプルに作っています」と謙遜する中川さん。しかし、ジャグさんがお店のあるビルの屋上で1日かけてスパイスを挽いて調合するこだわりのガラムマサラやトマトペーストが味の決め手となっていると話す。インドでは毎日のようにカレーを食べると聞くが、同店のカレーを食べてみると納得する。手作りならではの身体に優しい味わいがある。
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基本情報
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店名 |
マンダラ |
住所 |
東京都千代田区神田神保町2-17 集英社共同ビルB1 |
電話 |
03-3265-0498 |
営業時間 |
ランチ 11:00〜15:00 (L.O.14:45 ) ディナー 17:00〜23:00(L.O. 22:30 ) ※土日祝 22:00(L.O. 21:30 )まで |
定休日 |
年末年始
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席数 |
56席
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主な客層 |
ビジネスパーソン、学生、ファミリー、接待など
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予算の目安 |
ランチ 1,030円〜 ディナー2,000円〜 |
開業 |
1986年 |
HP |
http://westindia-group.com/mandala/ |
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