【うどん】讃岐うどん かいと

東京都/町田市

讃岐うどんがまだ香川のローカルうどんだった2000年代初期から店内製麺の讃岐うどんを提供している東京・町田の「讃岐うどん かいと」。今ではユニークな創作うどんを数多くラインアップしており、個性的な讃岐うどん専門店として独自の地位を獲得しています。巷では、近年複数のチェーン店が急速に店舗を増やしていますが、同店のオリジナル商品を目当てに平日200人、休日400人が訪れ、不動の人気を誇ります。
 
クローズアップメニュー


黒かいと 960円(税抜)
提供開始から10年以上経った今も平日40食、週末60食を売る看板商品。黒酢のコク深い酸味を生かした「酸辣湯麺」のうどん版で、白菜やキクラゲなどたっぷりの野菜をたっぷりととることができるヘルシー感も人気の秘密です。なめらかなとろみをつけたつゆはうどんつゆと同じ魚介だしベースですが、黒酢との相性もよく中華スープとは違った個性を感じさせます。優しい酸味に仕上げ、黒酢を添えて提供して、お客様が好みの味に調整できるようにしています。うどんは1人前300gとボリュームも満点で、伸びやかでコシの強い讃岐うどんらしい食感がおいしさを引き立てます。
技のポイント1

「足踏み」で鍛えた生地を一晩熟成させて独特な弾力を生み出します

うどんの製麺作業は朝6時から始まり営業開始前の11時まで5時間かけて平日30kg、週末60kgのうどんを打ちます。店内に設置した製麺スペースでうどんを打ちますが、初日に練り上げた生地を熟成庫で丸1日熟成させ、翌朝にのして切って仕上げます。小麦粉は国産の中力粉を使用し、加水率47%、塩度15%の比率で練った生地を「足踏み」して「鍛えて」いきます。生地の中心にかかとから踏んだ後は、生地の端を回るようにかかとで踏んでいきます。こうすることにより讃岐うどん独特の噛みごたえのある弾力が生まれるのです。足踏みの時間は実に45〜60分。気温や湿度、または踏む人の力加減によって時間が異なり、最適な弾力を生み出します。足踏みを終えた生地は、18℃に保たれた熟成庫で一晩熟成させます。また、麺の太さは開業当時こそ本場の讃岐うどんと同じ太めにしていましたが、現在は年輩客や子ども客が食べやすいよう少し細めにカットしています。
技のポイント2
 

16℃の流水でしっかりすすぎ、ほどよい噛み応えに仕上げます

うどんゆで時間は12分で、一度に2〜3玉(10〜15食ぶん)を茹でます。大釜の中で麺を踊らせることで均質なゆで加減になります。ゆで上がった麺はタモ網ですくいとって冷水ですすぎます。すすぎの工程は流水をかけながら手のひらで揉むようにして表面のぬめりを落としていきます。すすぎ水はチラーを設置して通年で16℃をキープ。すすぎ水が冷たすぎると麺が硬く締まりすぎて噛み切りづらくなってしまい、ぬるいとゆで上げ時の熱がとれずに麺がのびてしまいます。
技のポイント3

 

利尻昆布と5種類の節で濃厚な旨みのだしをとります

つゆのベースとなるだしは24リットル寸胴で平日3本、週末は6本も使用します。利尻昆布を一晩漬けてから火にかけ、沸騰する直前で取り出します。その後に鰹節や煮干しなど5種類の節を独自配合しただしパック2袋を投入して弱火で14分間煮込んでだしをとります。かえしはざる用とかけ用の2種類を用意。材料はどちらも醤油、みりん、三温糖ですが、それぞれ異なるタイプの醤油を使用し、みりん、三温糖の配合を変えています。ざる用のかえしは濃厚でやや甘めな仕上がりで、かけ用は塩度が高めながらみりんのコクもしっかり出ています。「黒かいと」ではかけ用のかえしと合わせたつゆを使用し、黒酢、ラー油、コショウを加えて酸味と辛みをつけます。
技のポイント4

1食ぶんずつつゆをつくってできたての味を提供します

かけ用のつゆに黒酢、ラー油、コショウを加え、エノキ、キクラゲ、ニンジン、エビを入れて火にかけます。つゆが煮立ったところで豚バラ肉を加えてさらに煮ていき、肉に火が通ったら水溶き片栗粉を加えてとろみをつけます。とろみがついたところで長めの斜め切りにしたわけぎを入れ、溶き卵をゆっくり注ぎ入れます。溶き卵がふんわりと固まったら火を止め、うどんを盛りつけたどんぶりに注ぎ入れます。
オススメメニュー1

武蔵野肉うどん 910円(税抜)

麺は自家製の讃岐タイプですが、武蔵野うどんの定番である「肉汁うどん」スタイルもメニューに採用しています。たっぷり入っている具は豚バラ肉、ゴボウ、長ネギ、油揚げをザル用のつゆで煮付けています。うどんはザルか、茹で汁ごと丼に盛る温盛りを選べます。
オススメメニュー2
天ぷらぶっかけうどん 910円(税抜)
スタンダードな讃岐うどんも、もちろん人気です。天ぷらはすべて注文を受けてから揚げていて、カラっとした仕上がりです。天ぷらの内容はエビ、大葉、ナス、カボチャ、サツマイモで、とりわけエビのサイズは1,000円未満とは思えないほどの大きさで、お値打ち感があります。ざる用のつゆをかけるぶっかけスタイルで食べます。また天ぷらを盛り合わせたうどんはかけ、ざる、釜玉などお好みの食べ方が可能です。
オススメメニュー3
夏かいと 980円(税抜)
6〜9月に提供される夏季限定の人気商品で、高さ5センチほどもある大きなかき揚げがインパクト絶大です。かき揚げの材料はカボチャ、サツマイモ、ニンジン、ナスで、これも注文を受けてから成形して揚げます。揚げ時間は3分ほどで、箸ですき間を作って揚げ油がしみこみやすくすることで中まで均一に揚がるのです。うどんの上に細切りしたキュウリ、チャーシュー、ネギをたっぷり盛りつけています。自家製のタレは、ざる用のつゆをベースにゴマやクルミをたっぷり練り合わせたもので、香ばしい香りが広がります。
 
  • お店紹介

    「料理、空間、接客がすべて揃ってこそ本当のおいしさが伝わります。気配りのあるサービスも大切にしています」と店長代理の田原竜介さん(写真左)

     「讃岐うどん かいと」は、東京・町田市のほぼ中央に位置し「日本の歴史公園100選」にも選ばれている「薬師池公園」や「町田リス園」にもほど近い鎌倉街道沿いにお店を構えています。周囲は駅も商業施設もなく、とても条件に恵まれているとはいえない場所ながら、平日200人、週末400人が訪れるほどの繁盛店です。
     地元出身のオーナーが香川高松の讃岐うどん店で修行した後に、2003年3月に「讃岐うどん かいと」をオープンしました。当初はオーソドックスな讃岐うどんメニューを揃えていましたが、2006年ごろから創作うどんの開発に着手。そこで生まれた看板商品の「黒かいと」が注目され、メディアにも紹介されるようになるとこれを目当てに遠方からもお客さまが訪れるようになっていきました。
    創作うどんは「黒かいと」の他に、明太子と新潟の辛み調味料「かんずり」を溶かしたつゆが特徴の「白かいと」、豆板醤で辛みをつけた「紅かいと」、明太子を溶いたつゆに海鮮かき揚げを盛り付けた「海鮮かいと」、これに季節限定の創作うどんが加わって他のうどん店にはない個性を打ち出しています。ガラス張りの構造体の中に岩手県の民家に使われていた柱や梁で組んだハイブリッドな店舗デザインも印象的です。
     2012年6月には同店から15kmほど離れた場所に2店めとなる「うどん屋 開都」をオープン。築150年の農家を移築した趣のある店となっています。こちらでは座敷席も用意して、宴席向きのコース料理も提供するスタイルを採用。うどんも異なる麺を使用して、やや細打ちの上品な味を追求しています。
  • 基本情報

    店名 讃岐うどん かいと
    住所 東京都町田市野津田町2413-1
    電話 042-737-3310
    営業時間 11:00〜15:00(L.O.)、17:00〜22:00(21:00L.O.
    定休日

    年末年始

    席数

    56席(カウンター8席、テーブル48席)

    主な客層 近隣住民、会社員、週末は目的客
    予算の目安 1,000円
    1日の客数 平日200人、週末400人
  • 掲載内容は取材時点での情報であり、記事内容、連絡先、営業時間などが変更になる場合があります。
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