干し柿はなぜ渋柿から作られるか?

秋といえば多彩な果物が旬を迎えますが、柿もその1つです。柿はビタミンCや食物繊維が豊富で「柿が赤くなれば医者が青くなる」ということわざがあるほど栄養価が高いことで知られています。
次郎柿や富有柿などその種類も多いのですが、主に果実が成熟しても渋くて食べられない渋柿と渋味が抜け食べられる甘柿とに大別されます。
そんな柿の皮をむき天日で干し乾燥させた日本の伝統的な保存食干し柿は、糖度が概ね50度以上と濃厚な甘さが特徴で最近は高級和菓子としても人気となっています。しかしこの干し柿、渋柿を原料として作られると聞きますが、なぜ甘柿ではなく渋柿が使われるのでしょうか?
解説
実は渋味に隠れていますが、渋柿は甘柿よりも一般的に糖度が高く、果肉の品質も優れたものが多いと言われています。一方で渋柿に含まれる渋味の原因物質、タンニンの濃度も3%~10%と多いのが特徴です。渋味が特徴の赤ワインでもタンニンの濃度は0.1~0.2%程度ですので、渋柿のタンニンはかなりの高濃度と言えます。このタンニンは可溶性(水溶性)のため、渋柿をそのまま口にすると唾液に溶け、強烈な渋味を感じとても食べることができません。しかし干し柿を作る工程で、皮をむき干すことにより表面に皮膜が出来、嫌気的条件におかれた渋柿が実の中でアセトアルデヒドを発生させます。それがタンニンと結合することにより、タンニンの性質が可溶性から不溶性に変わるため、食べても渋味を感じず、甘さだけを感じることができるようになるのです。
こうした柿のタンニンの性質を変え食べやすくする方法を「渋抜き」と言い、干す以外にもアルコールやお湯に漬けるなど様々な方法があります。一方で甘柿も干せば干し柿になりますが、渋柿より糖度が上がらず肉質も向いていないため、おいしいものができないと言われています。
つまり、糖度の高さや果肉の品質から、干し柿の原料に渋柿が使用されることが多いようです。ちなみに干柿の表面の白い粉は、柿からにじみ出た果糖やブドウ糖が表面に出て結晶化したもので、「柿霜(しそう)」と言います。柿霜がたくさん吹いていることは、おいしくて甘い干し柿の証明でもあるのです。
その歴史は古く、奈良時代から作られていたと言われている干し柿。渋柿の渋さを克服し、その先にある甘味を発見し貴重な保存食として利用してきた先人の知恵は偉大ですね。食物繊維やカリウムを豊富に含んだ日本の伝統的なドライフルーツ、干し柿を食べてこの冬も元気に過ごしましょう!

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参考文献
  1. 「柿づくし」 濵崎 貞弘 一般社団法人 農村漁村文化協会
  2. 「柿」 今井 敬潤 一般社団法人 法政大学出版局
  3. 「世界大百科事典」 平凡社

豆知識

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