和食に欠かせない調理法「煮切り」とは?

煮切り酒や煮切りみりんなど、和食の料理で昔から行われてきた「煮切り」とは、みりんや清酒に火を入れ煮詰める調理法を指しますが、そもそもなぜ「煮切り」作業が必要なのでしょうか?
解説
清酒や、かつては飲料用酒であったみりんは、十数%程度のアルコール分を含んでいます。お屠蘇のように酒の一種として飲む場合は別にして、和え物や漬物、タレなど加熱しない料理に使う場合、高濃度のアルコール臭が素材やだしの風味を邪魔し、料理の味を損なうことがあります。
そのため清酒やみりんを煮立たせて、沸点が78.3℃と低いアルコールを揮発させることによってアルコール臭を除き、またこのように煮切ることによって濃縮したうま味や甘味などの豊かな風味を料理に利用することができるのです。
一方、煮物など火を加える料理は調理中にアルコールが揮発するため、予め煮切りを行う必要はありませんが、食品工場などの加工現場で工場内にアルコールが充満することを避けるために、あるいは濃縮されたうま味、甘味を気に入って、煮切り酒や煮切りみりんを使用することもあります。
火を加えた後冷ます必要があったり、またアルコール分が抜けるため作り置きがしにくいなど、「煮切り」は少々手間がかかる調理法ではありますが、四季折々の旬の素材を活かした酢の物や和え物など、和食をワンランクアップさせるプロの技、ぜひ試してみてはいかがでしょうか?

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参考文献
  1. 「新装版 こつの科学」 杉田 浩一 著 柴田書店
  2. 「改訂 調理用語辞典」 社団法人 全国調理師養成施設協会 株式会社調理栄養教育公社

豆知識

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