アイスクリームの口当たりの違いの理由とは?

暑い夏になると食べたくなるアイスクリーム。その口当たりの良さから世代問わず人気のデザートです。アイスクリームは通常牛乳、水、クリーム、砂糖等でつくられますが、口に入れると舌の上でさっと消えるものもあれば、余韻が残るものなど、その口当たりや清涼感は様々です。
ほとんどのアイスクリームは同じような成分から作られているのに、なぜこのような違いが生まれるのでしょうか?
解説
アイスクリームの中で最も重要な成分は、氷、つまり水が結晶化した固体です。液体の水は0℃で固体になります。アイスクリームは通常-14℃~-10℃の温度帯で食べられるため、もしアイスクリームが水だけで出来ていれば全て氷になってしまい硬くて食べることができません。柔らかさを出すためには氷の量を調整し水の一部を液体状態のままにする必要があります。

水を部分的に凍結させるには水の凝固点を低下させる必要があります。水に砂糖のような小さな分子を溶かすことにより、凝固点は0℃未満になります。水は非水分子が多く存在すればするほど、凝固点が下がり凍りにくくなるため、アイスクリームには砂糖、水あめ、糖アルコール類が氷結晶の調整のため原料に加えられています。これらの成分により固体となる氷の量が決まり、その結果としてアイスクリームの硬さや口当たりが決まるのです。
また空気の存在も大きなポイントとなります。アイスクリームは製造時、フリーザーで冷やしながら撹拌する工程により空気が混合されます。この時形成される気泡の粒子と脂肪球、氷などが混ぜられることにより均一に分散するため、口に入れた時に冷たさを感じすぎず、特有のなめらかな食感が実現するのです。この空気の混合割合(オーバーラン)を調整することにより、ねっとりとした重みのあるものから、ふわっと軽いのものなど様々な口当たりのアイスクリームを作ることができるのです。
 
暑くなると氷菓で涼を求めたくなりますが、夏バテや疲れたときは乳成分を含んだアイスクリームが無性に食べたくなります。アイスクリームが紀元前に誕生した当時は、デザートではなく疲れた体を元気にする「健康食品」として食されていたとか。くれぐれも食べすぎには注意し、自分好みの口当たりのアイスクリームでエネルギー補給しながら、夏を元気に乗り切りましょう!

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参考文献
  1. 「The Kitchen as Laboratory  新しい「料理と科学」の世界」 Cesar Vega, Job Ubbink 他 講談社
  2. 社団法人 日本アイスクリーム協会HP

豆知識

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