【発酵種(パン種)の話-Vol.5】 発酵種の新しいかたち

生地膨張の主役は、 発酵種からイーストへ

紀元前よりパンを膨らませるために 発酵種が使われてきました。 発酵種中の酵母がパンを膨らませることを知らなかった当時のパン職人にとって、発酵種は不思議な力を持つものであり、神聖なものと考えられていたようです。実際に発酵種を作るのには、手間と時間がかかるだけでなく品質も不安定で、パン職人の腕は良い発酵種づくりに掛かっていました。時代は移り、約100年前にパン酵母(イースト)がパンを膨らませる主体であることが発見されると、発酵種に替わってイーストが製パンに使われるようになりました。

発酵風味料の登場

パンを膨らませることに長けたイーストは、現代の製パン工業の発展に大きく貢献しました。一方で、伝統的なパンづくりを支える発酵種の魅力も再発見されています。様々な微生物が織りなす複雑な風味や、食感改良、日持ち向上といった機能など、イーストだけでは出せない発酵種の持つ魅力が見直されています。現代では、生地膨張の主役はイーストが担い、パンのおいしさを引き立てる主役として発酵風味料の使用がパンづくりの主流となりつつあります。

発酵風味料のつくり方

発酵風味料は、伝統的な発酵種の製法に基づき、穀物や果実を選び抜いた微生物(酵母、乳酸菌、麹)で発酵させてつくります。発酵条件を管理し、製品によっては殺菌工程を加えるなどして、品質安定性や保存性を高めています。

発酵種には、サワー種や果実種、酒種など、様々な種類があるように、弊社では、使用する原料や微生物の種類を変えて、バリエーション豊かな製品づくりをしています。