様々な食品に存在する「こく味」。加熱調理の際に生成する「こく味」とはどのようなものなのでしょうか。
加熱調理で生成する「こく味」
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食品を加熱すると糖とアミノ酸、タンパク質などが反応して好ましい風味が生成されます。この反応はメイラード反応として知られており、食品の香気生成に非常に重要な役割を果たします。右の図は肉を加熱調理したときの風味形成の例です。焼く、炒める、煮る等、加熱により構成成分が反応してピラジン類やフラン類、ラクトン類など香気成分が生成し、香ばしい風味を形成します。弊社の研究において、これらのミートフレーバーとして知られている種々の化合物の中でも特に特定のピラジン類が強く「こく味」に寄与することを見出しています。
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加熱調理における風味の生成
(肉を加熱調理したときの例)
加熱調理工程による糖とアミノ酸の反応(メイラード反応など)によって生成される香気成分がおいしさに関与

ピラジン類のこく味への関与
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シチューやカレーを煮込んだときには厚みが増し、こく味が強くなりますが、煮込み時間が長くなるとピラジン類の量が増え、官能的にも「煮込み感」が強くなります。右グラフはビーフシチューにおける煮込み時間によるピラジン類の変化と官能評価の関係を示したものです。0.5時間の煮込みでは味が淡白でカドが残っています。「こく味調味料HS-100」はピラジン類のもたらすこく味に着目して開発した製品ですが、これを煮込み時間0.5時間のビーフシチューに添加するとピラジン類の量が増え、相関して煮込み感が増し、6時間煮込みに味質が近づいているのが分かります。この結果は「こく味調味料HS-100」の添加によって、長時間煮込んだ場合と同様にピラジン等のフレーバー成分がもたらす煮込み感が付与されていることを示しています。
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ピラジン類の効果(ビーフシチューの煮込み感)
