和食の基礎調味料の1つである「みりん」は、和食の味を作るために欠かすことができません。醤油、みりん、清酒、出汁は和食の基本の調味料でこれらの合わせる比率を変えることで様々な味を作り出しています。特に「みりん」はめんつゆ、たれ、照り焼きなどに上品な甘味や厚みをつける大事な役割を持っています。
(図1)みりんの製造工程
みりん | |
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アルコール分 v/v % | 14.0 |
全糖 w/v % | 45.0 |
還元糖 w/v % | 40.0 |
全窒素量 mg % | 87.0 |
滴定酸度 ml | 0.5 |
pH | 5.6 |
食塩分 w/v % | ‐ |
(表1)みりんの組成(分析例)
業種 | 食品名 | 標準使用量 |
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タレ・つゆ類 | そばつゆ | 10~20%(対醤油) |
おでんつゆ | 40~50%(対醤油) | |
てんつゆ | 醤油と同量 | |
焼肉のタレ | 10~15%(対製品) | |
焼鳥のタレ | 醤油と同量 | |
蒲焼のタレ | ||
照り焼のタレ | ||
水産練製品 | ちくわ、かまぼこ、揚げもの | 3~4%(対魚肉) |
漬物類 | 福神漬 | 3~4%(対調味液) |
千枚漬 | ||
醤油漬 | 2~3%(対調味液) | |
べったら漬 | 3~4%(対粕漬大根) | |
佃煮 | ‐ | 4~6%(対調味液) |
米菓類 | せんべい、あられ | 2~3%(対醤油) |
冷凍食品、惣菜類 | ギョウザ、シュウマイ、ハンバーグ | 5~8%(対挽き肉) |
(表2)みりんの用途
みりんの起源ははっきりしませんが、戦国時代に中国から「蜜淋(ミイリン)」という甘い酒が伝わったという説や、「練酒」「白酒」に腐敗防止のため焼酎が加えられて本みりんになったという日本誕生説などがあります。
いずれにおいても焼酎の製造技術が伝来した戦国時代には既に作られてきたといわれています。
当時は甘味料が乏しいこともあり、甘い貴重な飲み物で多くの人に好まれていたと言われています。
また、みりんを作るときに出てくるみりん粕は、江戸時代には「こぼれ梅」と呼ばれる甘いお菓子として食べられていました。
みりんは上方で発展してきたお酒ですが、江戸時代後期には、江戸の米の集積地の一つである流山(現在、千葉県流山市)で醸造業を営んでいた第五代秋元三左衛門が関東でもみりんを作り始めました。
秋元三左衛門が開発した「白みりん」は、それまでの上方から来ていた褐色の濃いみりんと異なり、淡い色と淡白な風味で飲み物として多くの人に好まれ、江戸のお土産になるくらい人気の商品になっていました。
この時代は世の中が安定することで食文化も発展し、みりんも次第に調理の味づけに使われるようになり、タレ、つゆの味付けに、みりんは欠かせない調味料として活躍するようになってきました。
みりんは、その独特の上品でまろやかな甘味により、飲用より調理用として発達してきた日本独特の酒類調味料です。