2023年末まで長年務めていた「分とく山」総料理長としての活躍はもちろん、多数の著書やテレビなどのメディアでも人気を博した和食界のレジェンド、野﨑洋光氏。料理人としての才能に加えて、調理科学や食文化にも深い造詣を持つ理論家としても知られています。
今回は野﨑氏に「天晴煮切り本みりん」「清酒 春桜 煮切り酒」について、活用のメリットと可能性について語っていただきました。

「天晴煮切り本みりん」「清酒 春桜 煮切り酒」の評価
従来のみりんや料理酒は煮切り作業が必要になります。アルコールを揮発させるので、厨房内にアルコールが広がってしまう。また液面に炎が立ち上がるので、火傷や火災のリスクもあります。これまでは「当たり前のこと」と考えていたわけですが、「天晴煮切り本みりん」「清酒 春桜 煮切り酒」の登場で、そうしたリスクを減らし、職場環境を向上させてくれることは大きい進歩だと思います。
「甘いはうまい(おいしい)」という言葉があります。砂糖のストレートな甘さとは異なる、発酵調味料ならではの甘さこそ「うまい(おいしい)」の素。しつこくなく、軽やかな甘味に仕上がり、食材本来の味を引き立たせてくれます。
従来のみりんや料理酒では、照り焼きや煮付けなどを作る際は、加熱しながらアルコールを飛ばすことができるため煮切らずに使うケースがあります。しかしアルコールを飛ばすことに意識が向いて、食材にとってベストなタイミングを超えて煮すぎてしまいがち。アルコール分の少ない「天晴煮切り本みりん」「清酒 春桜 煮切り酒」は調理に集中できるので、食材の風味や食感を引き出しやすく、しかも手早く済ませることができます。 生合わせできることも特徴で、ぽん酢やドレッシング作りなどで砂糖の代わりに使うなど、用途が広がります。
「天晴煮切り本みりん」を使うメリット
●雑味がなくアルコール分が少ない。加熱せずに調味料を調合する「生合わせ」が可能。繊細な味を活かしたい野菜などの持ち味を邪魔せずに風味とうま味を持ち上げることができます。
●刺身用鮮魚の臭み消しに効果を発揮。白身魚などの繊細な味わいを邪魔せずに風味とうま味を持ち上げることができます。
●真空包装やレトルトなどの密封調理時にアルコールの雑味なく臭みをマスキング。コクとうま味を付与します。
●仕込み時の「煮切り」作業を省くことができます。生産性や作業効率の向上、職場環境の安全性向上に貢献します。
●アルコール分が低いため、調理のあらゆるタイミングで甘味やコク出しの調整が可能になります。
「天晴煮切り本みりん」「清酒 春桜 煮切り酒」を使った 炊き込みご飯
最低限の調味でまとめる〝引き算〟の美学を実現

食材(分量4人前)
作り方
鶏もも肉 | 150g |
---|---|
しめじ | 60g |
椎茸 | 60g |
ニンジン | 60g |
ごぼう | 60g |
三つ葉 | 適量 |
米 | 3合 |
<A>(10:1:1:1) | |
水 | 450㏄ |
薄口醤油 | 45㏄ |
天晴煮切り本みりん | 45cc |
清酒 春桜 煮切り酒 | 45㏄ |
<作り方>
1.米は水で洗ったら水に15 分浸け、ザルに上げて15 分水気を切る。
2. ごぼうは皮をよく洗い、薄い小口切りにする。三つ葉は3 ㎝の長さに切る。
3. 鶏肉は小さめの一口大に切る。
4. しめじは小房に分ける。椎茸は軸を除き2~3 ㎜幅にスライスし、ニンジンは細切りにする。
5. 「4」のしめじ、椎茸、ニンジンをザルに入れ、沸騰した湯にザルごと入れて30秒ほどつけ、取り出して水気を切る。同じ湯で「3」の鶏肉を入れて色が白っぽくなったら水に取り、ザルに上げて水気を切る。
6. 鍋に<A>と「5」の野菜と鶏肉を入れて火にかけ、煮立ったら弱火にして2~3 分煮たら具材と汁を分ける。
7. 炊飯器に「2」のごぼう、「6」の煮汁を入れて早炊きモードで炊く。
8. 炊き上がったら「6」の具材を入れて蓋をして2~3分蒸らし、三つ葉を加えて全体をさっくりと混ぜて茶碗に盛る。
料理紹介
シンプルな炊き込みご飯ですが、素材の風味や食感を活かすための細やかな配慮があります。椎茸、ニンジン、鶏肉は調味液で煮た後にザルに取り分け、調味液のみ米、ごぼうと合わせて炊飯。香りと歯応えを楽しむ野菜のごぼうは煮込まずに、炊飯の段階で加えることで特徴を引き出すことができます。取り分けた具材は蒸らしのタイミングで合わせることで、ジューシーな鶏肉の味が活きた炊き上がりになります。
「天晴煮切り本みりん」「清酒 春桜 煮切り酒」の使用ポイント

調味液の比率は水10に対して薄口醤油、「天晴煮切り本みりん」、「清酒 春桜 煮切り酒」がそれぞれ1の割合。出汁ではなく水を合わせる理由はうま味の要素を最小限にするため。「うま味の要素は増やすほど、うま味が消える」と野﨑氏。素材ごとの味、風味を引き出す調味のコツは、調味の〝引き算〟にあるのです。「天晴煮切り本みりん」「清酒 春桜 煮切り酒」は、それを可能にする芯のあるうま味を持っています。
料理人の紹介
野﨑洋光(のざき ひろみつ)
1953年福島県生まれ。2023年末に「分とく山」総料理長勇退後も、日本料理界を代表する料理人として多方面に活躍しています。
武蔵野栄養専門学校を卒業し、東京グランドホテル、八芳園を経て80年に東京・西麻布のふぐ料理店「とく山」料理長に就任。89年に日本料理店「分とく山」の料理長に就任、その後グループ店も含め総料理長として統括。
04年のアテネオリンピックでは、野球日本代表チーム監督を務めた長嶋茂雄氏に請われてチーム専属料理人として帯同。21年の東京オリンピックでも選手村メニューアドバイザリー委員会のメンバーも務めました。
日本料理の啓蒙・発信にも長年尽力しており、著書の数は共著を含めて実に100冊超。技術面だけでなく、食文化や歴史的背景、調理科学、栄養学をふまえた多角的なアプローチで料理の魅力と奥深さを伝えています。 現在は和食料理人としてYouTubeをはじめとするSNSでの発信、郷里福島をはじめとする地域活性化など精力的に活躍しています。
