「菱田屋」店主が作る~「糠絞りS」を使った"豚肉生姜焼き"~

仕込みから手間暇をかけた和洋中30品以上の豊富なメニューを、ボリューム満点に盛りつけ、連日行列が絶えない東京・駒場東大前の定食店「菱田屋」。
創業120年を数える老舗ののれんを守る五代目の菱田 享(ひしだ あきら)さんは、中国料理のエッセンスを隠し味にするなどの工夫で定番の定食料理をアップデートさせています。

今回は糠漬け風味の発酵エキス「糠絞りS」に含まれる香気成分である「ラクトン類」の特長を活かした畜肉のマスキング効果や旨み向上効果を実際に試していただきました。

※ラクトン類とは
食品ではアンズやモモといった果物や生クリームなどの乳製品など多様なものに含まれている香気成分。ラクトン類を抽出したものは、食品・香水などの着香料として利用されています。食品への使用では、油脂感、旨み、コクの増強効果、生臭さのマスキング効果も発揮します。

糠漬け風味の発酵エキス「糠絞りS」の菱田 享店主評価
食材の質を補完する魔法の調味液

ごく少量で肉の臭みがなくなり、旨みが増したのには驚きしかありませんね。今回は色々な肉を試してみて実際にレシピに取り入れたのは牛、豚、鶏でしたが、豚肉がいちばん効果を感じました。羊肉にも使ってみたところ、味の変化をはっきりと感じました。
特に冷凍肉など独特の臭みを持ち、旨みが減退してパサつきやすいものに使用すると、より効果を発揮しました。魚だと養殖もののハマチなどの臭み消しなどに使えると思います。

食材に直接塗布する方法以外にも調味料をまろやかにして、作り込んだ熟成感が加わります。たとえば当店では熟成度の異なる豆板醤数種を使用していますが、熟成度の浅い豆板醤に1滴たらしてみたところ、辛みのカドがとれて長期熟成の豆板醤に味が近づきました。安価な発酵調味料の味のグレードアップにも使えます。
それだけでなく調味ダレの材料となるニラ、ニンニク、玉ネギといった香味野菜の苦みやエグみもとってくれます。餃子や肉焼売のタネに少量加えると材料のまとまりが良くなって、後味がすっきりした仕上がりになりました。いくらでもおかわりできそうだなと思ったくらいです。

日本の伝統発酵食である「糠漬け」から生まれた発酵調味液というイメージも良いですよね。化学的な調味料に抵抗感のある料理人も採用しやすいですし、消費者に対する印象もポジティブに働くと思います。
 

糠漬け風味の発酵エキス「糠絞りS」を使うメリット
  • 畜肉臭のマスキング効果。ごく少量を加えるだけで豚肉や羊肉などの畜肉臭をマスキング。養殖物のハマチなど青魚の臭みとりにも効果を発揮します。
  • 肉の脂の旨みを増強。豚肉がもっとも効果的でおすすめです。
  • タレなどの調味液をまろやかに。タレの材料となるニラ、ニンニク、玉ネギといった香味野菜の苦みやエグみをなくし、旨みが増強。また安価な調味料の熟成感(味の深み)を補完する役割も。
  • 液体タイプで食材に馴染みやすく、余計な色や味をつけるなどの素材の持ち味を損ねてしまうことがなく、本来の旨みを引き立てます。
豚肉生姜焼き
調味ダレの熟成感が増し、豚の旨みを底上げします
  • 食材
    1人前
    材料 分量
    豚肩ロース 3mmスライス 250g
    玉ネギ 30g
    サラダ油 適量
    香味醤油タレ 1人前
    材料 分量
    醤油 大さじ2と1/2
    砂糖 大さじ1
    ショウガ 1片
    ニンニク 1片
    糠絞りS 1g
  • 作り方
    1. タレを作る。醤油、砂糖、すりおろしたショウガとニンニク、糠絞りSを合わせ、ひと晩寝かせてなじませる。
    2. 玉ネギはくし切りにする。
    3. よく熱したフライパンにサラダ油を入れ、豚肩ロースを焼く。片面を中火で3分ほど熱したら裏返し、「1」のタレと「2」の玉ネギを入れて和えながら炒める。肉全体に火が通り、表面に照りが出てきたところで火を止める。
    4. 皿にせん切りキャベツ、マカロニサラダ、ミニトマト(すべて分量外)をのせ、「3」を盛りつける。
料理紹介
看板商品でもある「豚肉生姜焼き」で使用しました。当店は3mmスライスの豚肉の片面をしっかり焼いて、裏返したときにタレを絡める調理スタイル。焼く前にタレ漬けするより、豚肉がふんわり焼きあがり素材の味が活きるのです。
豚肉と「糠絞りS」を使用したタレを合わせる調理法でも、豚肉の脂身の旨みとコクを底上げでき、畜肉臭のマスキング効果をしっかり果たしてくれました。

「糠絞りS」の使用ポイント

  • 生姜焼きのタレに「糠絞りS」を加えると、香味野菜や香辛料のエグみや辛み、調味料の塩カドがとれてまろやかになり、タレの一体感が増します。
料理人の紹介

菱田 享(ひしだ あきら)店主
1975年、静岡県生まれ。高校卒業後は地元の味醂メーカーに就職したあとに料理人を目指し、東京・銀座の老舗寿司店に入ったあとに一念発起して中国料理に転向。1997年からヌーベルシノワ・ブームをけん引した東京・渋谷の「文琳」で5年間修業したあとに、当時「紅虎餃子房」など中国料理のヒット店を次々に手掛けていた際コーポレーションで料理長を経験するなどして腕を磨きました。
そして2002年に結婚し「菱田屋」に五代目として入店。それをきっかけに四代目とともに店をリニューアル、メニューの拡充、食材のグレードアップなどを敢行。鮮魚はまるごと一本を仕入れておろすところから、肉はブロックをひき肉やスライスにするところから店内で行ない、焼売も注文を受けてから1つ1つ手包みして蒸し上げ、手づくりの味を追求しています。
2017年にはレシピ本を発売するなど、活躍の場を広げています。

店の紹介

一人前300gものボリュームで盛りつける鶏唐揚げ、肉焼売、レアハンバーグなど、しっかりとした量と確かな美味しさの定食メニューでお客の胃袋を鷲掴みにしており、1日乗降客数およそ3万7,000人の駅で周囲は商店街の往来など地元の方がメインの立地ながら、26席の規模で1日300人を集客する大繁盛定食店です。

創業は120年を遡る明治時代で、帝国大学(現・東京大学)に弁当などを提供する仕出し料理店が始まりでした。やがておでんやラーメン、あんみつなどを店頭で提供するようになりましたが、定食店としての営業は第二次大戦後のこと。同店の看板商品である「豚肉生姜焼き定食」のタレは醤油、砂糖、ショウガ、ニンニクのみという昔ながらのレシピを守って当時の味つけを今に伝えています。一方で四代目が引き継いだあとは刺身料理を、五代目の菱田 享さんが店に入ってからは中国料理をといった具合に、後継者の得意料理も加わって現在ではトータルメニュー数は60にまで広がっています。

2002年に菱田さんが入店したことをきっかけにお店を全面改装。増床して席数を12から26まで拡大し、通りから店内の様子がわかるカフェ風の内装に変身させました。インパクト大なボリュームに加えて、仕入れる食材のグレードを上げて品質アップをはかったことで来店客が徐々に増えていき、料理専門誌やテレビなどのメディアにも紹介されるようになりました。
また当初は「毎日食べる定食の上限価格は1,000円まで」という定石に則っていましたが、「価格を理由に妥協したくない」と2014年ごろから「荒挽き牛100%レアハンバーグ1,350円」などの1,000円を超える商品も加わるようになり、平均客単価は1,600円にまで伸張。「レストラン並みの満足度を得られる定食店」という評価を得ています。

「菱田屋」の繁盛ぶりを受けて、徒歩1分ほど離れた場所に2021年7月に酒場業態の新店「菱田屋酒場」をオープン。定食店では表現できなかったオリジナルの酒肴メニューを揃える計画で、ますます注目が集まりそうです。

店名 菱田屋
住所 東京都目黒区駒場1-27-12
電話 03-3466-8371
営業時間 昼 11:30〜14:00(13:50L.O.)
夜 17:30〜22:00(21:50L.O.)
※通常営業時
定休日 日曜日、祝日
席数 26席
主な客層 20〜60代の男女、近隣住民、目的客
予算の目安 1,000~2,000円
開業 2002年(リニューアルオープン)
「菱田屋」店主が作る~「糠絞りS」を使ったレシピ~