ごく少量で肉の臭みがなくなり、旨みが増したのには驚きしかありませんね。今回は色々な肉を試してみて実際にレシピに取り入れたのは牛、豚、鶏でしたが、豚肉がいちばん効果を感じました。羊肉にも使ってみたところ、味の変化をはっきりと感じました。
特に冷凍肉など独特の臭みを持ち、旨みが減退してパサつきやすいものに使用すると、より効果を発揮しました。魚だと養殖もののハマチなどの臭み消しなどに使えると思います。
食材に直接塗布する方法以外にも調味料をまろやかにして、作り込んだ熟成感が加わります。たとえば当店では熟成度の異なる豆板醤数種を使用していますが、熟成度の浅い豆板醤に1滴たらしてみたところ、辛みのカドがとれて長期熟成の豆板醤に味が近づきました。安価な発酵調味料の味のグレードアップにも使えます。
それだけでなく調味ダレの材料となるニラ、ニンニク、玉ネギといった香味野菜の苦みやエグみもとってくれます。餃子や肉焼売のタネに少量加えると材料のまとまりが良くなって、後味がすっきりした仕上がりになりました。いくらでもおかわりできそうだなと思ったくらいです。
日本の伝統発酵食である「糠漬け」から生まれた発酵調味液というイメージも良いですよね。化学的な調味料に抵抗感のある料理人も採用しやすいですし、消費者に対する印象もポジティブに働くと思います。
材料 | 分量 |
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鶏もも肉 | 300g |
材料 | 分量 |
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すりおろしニンニク | 1/2片分 |
すりおろしショウガ | 1/2片分 |
酒 | 大さじ1 |
薄口醤油 | 大さじ1 |
塩 | 小さじ1 |
豆板醤 | 小さじ1/2 |
コショウ | 少々 |
糠絞りS | 1.5g |
一人前300gものボリュームで盛りつける鶏唐揚げ、肉焼売、レアハンバーグなど、しっかりとした量と確かな美味しさの定食メニューでお客の胃袋を鷲掴みにしており、1日乗降客数およそ3万7,000人の駅で周囲は商店街の往来など地元の方がメインの立地ながら、26席の規模で1日300人を集客する大繁盛定食店です。
創業は120年を遡る明治時代で、帝国大学(現・東京大学)に弁当などを提供する仕出し料理店が始まりでした。やがておでんやラーメン、あんみつなどを店頭で提供するようになりましたが、定食店としての営業は第二次大戦後のこと。同店の看板商品である「豚肉生姜焼き定食」のタレは醤油、砂糖、ショウガ、ニンニクのみという昔ながらのレシピを守って当時の味つけを今に伝えています。一方で四代目が引き継いだあとは刺身料理を、五代目の菱田 享さんが店に入ってからは中国料理をといった具合に、後継者の得意料理も加わって現在ではトータルメニュー数は60にまで広がっています。
2002年に菱田さんが入店したことをきっかけにお店を全面改装。増床して席数を12から26まで拡大し、通りから店内の様子がわかるカフェ風の内装に変身させました。インパクト大なボリュームに加えて、仕入れる食材のグレードを上げて品質アップをはかったことで来店客が徐々に増えていき、料理専門誌やテレビなどのメディアにも紹介されるようになりました。
また当初は「毎日食べる定食の上限価格は1,000円まで」という定石に則っていましたが、「価格を理由に妥協したくない」と2014年ごろから「荒挽き牛100%レアハンバーグ1,350円」などの1,000円を超える商品も加わるようになり、平均客単価は1,600円にまで伸張。「レストラン並みの満足度を得られる定食店」という評価を得ています。
「菱田屋」の繁盛ぶりを受けて、徒歩1分ほど離れた場所に2021年7月に酒場業態の新店「菱田屋酒場」をオープン。定食店では表現できなかったオリジナルの酒肴メニューを揃える計画で、ますます注目が集まりそうです。
店名 | 菱田屋 |
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住所 | 東京都目黒区駒場1-27-12 |
電話 | 03-3466-8371 |
営業時間 |
昼 11:30〜14:00(13:50L.O.) 夜 17:30〜22:00(21:50L.O.) ※通常営業時 |
定休日 | 日曜日、祝日 |
席数 | 26席 |
主な客層 | 20〜60代の男女、近隣住民、目的客 |
予算の目安 | 1,000~2,000円 |
開業 | 2002年(リニューアルオープン) |