弊社にて実施した減塩食品に関するアンケートおよびPOSデータの調査の結果から、今後求められる減塩食品について考察します。
健康日本21(第三次)始動~食塩摂取目標量は8gから7gに~
2013年から2023年にかけて適用された「健康日本21(第二次)」では、食塩の摂取目標は8gでしたが、2024年から2035年まで適用の「健康日本21(第三次)」では、食塩の摂取目標が7gに変更されました。一方で、日本人の食塩摂取量の平均値は10.1g(令和元年調べ)で、目標から遠いのが現状です。食塩の摂取目標の変更があったなか、現在の消費者の減塩に対する意識はどの程度でしょうか。
弊社では2024年6月に減塩に関するアンケート調査を実施しました(日本全国の20代~60代の男女それぞれ500名ずつの計1000名より回答)。その結果、健康日本21(第三次)が適用されたにも関わらず、塩分の摂り過ぎに気を付けている人の割合は6割程度の結果となりました。


■出典:厚生労働省 「令和元年 国民健康・栄養調査」※令和2,3年はコロナ影響により調査実施されず
厚生労働省 「第1回「食事摂取基準(2025年版)」 策定検討会 」資料
減塩食品の販売状況~商品数は2018年がピークも、売上は安定的に増加~
減塩食品に関するPOSデータによると(弊社調べ、2024年6月)、減塩食品の商品数は2018年をピークに年々減少傾向ですが、減塩食品の売り上げ金額は緩やかに伸長しています。このことから、減塩食品が一時的なブームとはならず、私たちの生活にゆっくりと浸透していることが推察できます。また、企業の取り組みとして減塩食品に対して減塩であることを謳わない「こっそり減塩」が実施されている例や、「適塩」を謳う商品の登場など、「減塩」の一言では減塩食品市場の規模を測れなくなっているのも、近年の特徴と言えるでしょう。

※KSP-POSから弊社にて集計
※KSP-POSは全国約1000店舗の食品スーパー(GMS、CVSは含まない)から収集した販売情報データであり、市場規模全体を表すものではありません
<減塩食品>
「減塩」「低塩」「塩分」「かるしお」「やさしお」「塩 控えめ」「うす塩」等を含むアイテムデータを抽出
※「塩分」は減塩製品でないものは除く
※「うす塩」はスナック・米菓除く
<無塩食品>
「塩 無添加」「塩 不使用」「塩 ゼロ」「無塩」等を含むアイテムを抽出
※無塩バター等は除く
減塩食品に対するイメージに変化?~今後売れそうなもの・買ってみたいと思う商品は?~
減塩食品に対するイメージについてアンケートを実施したところ、ネガティブイメージの「味がうすい」が1位となりましたが、ポジティブイメージの「身体に良い」「高血圧に良い」が2位と3位にランクインしました。また、買ってみたいと思う商品名については、「減塩」「塩分控えめ」等、分かりやすい表現で記載されている商品の方が「興味がある・購入してみたい」の回答が多い結果となりました。


スーパー、外食、加工食品、コンビニの味付けについて~濃いと感じる人は半数以上~
様々な取り組みが実施されている減塩市場ですが、自宅以外で食べる食品の味付けについては未だに味が濃いと感じる消費者が多いようです。今回のアンケートの結果では、「スーパーマーケット・デパ地下」「外食」「加工食品」「コンビニエンスストア」の全ての項目において、50%以上の人が味が「濃い」「やや濃い」と回答しました。特に「加工食品」と「コンビニエンスストア」の食品は、味付けが濃いと感じている人が多い傾向があり、今後改善の余地がありそうです。
