【発酵種(パン種)の話-Vol.2】 世界で育った様々な発酵種

自然の風味が生きている、おいしいパンづくりの素

世界にはその気候風土によって実に多種多彩な野生酵母が存在し、地域性を活かして各地で特色ある発酵種が伝統的につくられてきました。ドイツではライ麦や小麦を使ったサワー種、フランスではぶどうやプラムを使った果実種、北欧ではホップ種、ロシアではカラマツの落ち葉から取ったドロジー種、中国では老麺・・・・・などなど。代表的な5つの発酵種を見てみましょう。

  • ホップス種
    (イギリス)
    ビールの原料としても知られるホップ。その受粉前の花から取った天然酵母に、ジャガイモなどのでんぷん質を加えることにより、パンがよく膨らむという性質を持つ。抗菌力と保存性に優れ、独特の風味が魅力の発酵種。
  • サンフランシスコサワー種(アメリカ)
    サンフランシスコ湾岸地方特有の天然酵母をジャガイモの煮汁で培養。酵母と植物性乳酸菌が共存する複合酵母により、保存性がよく酸味の強いパンに仕上がる。サワードゥーブレッドはサンフランシスコ名物でもある。
  • ライサワー種
    (ドイツ)
    ライ麦粉に水を加えて捏ねる際、粉や大気中の自然の酵母や乳酸菌、麹菌、酢酸菌を取り込み培養した元種(サワー種)に、さらにライ麦を加えてかけ継いだ発酵種。パンの風味や保存性を高め、独特の香りと酸味が特徴。
  • パネトーネ種
    (イタリア)
    イタリア北部・コモ湖周辺の伝統的な発酵種。酵母と乳酸菌が共存するめずらしい複合酵母で、生まれたての子牛が初乳を飲んだ後の腸内物質から取り出した菌を小麦粉と混合して作る。防腐・防菌性に優れ、長期保存も可能。
  • 酒種
    (日本)
    日本で生まれた発酵種で、主に麹菌(米麹)と日本酒用の酵母を発酵させて作られる。この酒酵母の働きによるほのかな甘い香りが特徴で、特にあんパンに用いられる。そのしっとりとした食感も魅力。
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