自然の力を上手に引き出し、独特の香り、味、そして豊かな風味を醸し出す──発酵種は、おいしいパンに仕上げるためには欠かせない原料です。
パンは酵母が発酵することで膨らみ、生地中に風味物質を生成します。その源となる酵母菌は、使われる粉や大気中に無数に存在しています。だからこそ、パンがつくられる風土や環境、作り手の技量によって多彩な味わいが生まれ、その出来も大きく左右されます。自然界に存在する野生の酵母を取り入れながら粉と水を捏ね、パンづくりに有用な酵母菌だけをいかに上手に育てるか。発酵種製造のポイントは、時間と温度とpH管理です。では、その製造過程を見てみましょう。