食の安心・安全を確保するうえで、食中毒の危害を防止する取り組みは大変重要なことです。
第1回、第2回では食中毒の現状や特徴について解説してきました。第3回目のコラムでは、食中毒事故の防止対策について解説いたします。
下記に主な薬剤と抗菌スペクトルを示しました。
抗菌力 (○:強い、△:やや、×:なし) |
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一般細菌(多くの食中毒菌) | カビ・酵母 | 結核菌・ウイルス(インフルエンザ等) | ウイルス(ノロウイルス等) | 細胞芽胞(セレウス菌等) | |
エタノール | ○ | ○ | ○ | △ | × |
過酢酸 グルタラール |
○ | ○ | ○ | ○ | ○ |
次亜塩素酸ナトリウム 酸性電解水 |
○ | ○ | ○ | ○ | △ |
ベンザルコニウム塩化物(逆性石鹸) | ○ | △ | △ | × | × |
(表1)主な薬剤と抗菌力
主な用途 | 特徴 | |
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エタノール | 器具、食品、手指 |
短時間で効力発現 有機物存在下でも効力発揮 |
過酢酸 グルタラール |
器具 |
低濃度で高い効力 有機物存在下で有効 刺激臭、金属腐食性あり |
次亜塩素酸ナトリウム 酸性電解水 |
器具、食品、手指 |
幅広い菌に抗菌性あり 有機物存在下で効力低下 使用後は洗浄で除去する |
ベンザルコニウム塩化物(逆性石鹸) | 器具、手指 |
刺激性・臭気少なく扱い容易 十分な効力は期待できない |
(表2)主な薬剤と用途・特徴
薬剤を使用する際には、薬剤毎の微生物への効力や特長を十分に把握した上で使用目的に合った最適なものを選択することが大切です。
上記では、食中毒予防における様々な対策をご紹介しましたが、食品製造現場において直接食材に触れる調理器具・機器の衛生管理は特に対策として重要といえます。
そこで続いては、店舗、キッチン、食品工場などの衛生対策として広く活用されている「エタノール製剤」について解説いたします。
エタノール製剤は、エタノール(主剤)とその他成分(副剤)で構成されており、これらの相乗効果によって幅広い菌に対して高い除菌力を発揮します。食品添加物のため安全性が高い点や、速乾性に優れ取扱いが容易であることから古くより多くの食品取扱施設で使用されています。食品器具・機械への直接噴霧、器具・手袋等の浸漬、浸漬させたダスターによるふき取りなどが主な使用法となります。
(図1)エタノール製剤の主な使用例
弊社においても、お客様の使用用途に合わせた豊富なエタノール製剤製品を取り扱っております。
一般的な細菌性食中毒対策としては「メルフレッシュ」や汎用性のある「メイオール」シリーズ、これまで通常のエタノール製剤では効果が低かったウイルス性食中毒の対策としては「エークイック」シリーズを用意しております。
(図2)製品ラインナップ
以上、今回のコラムでは主に調理現場を対象とした食中毒防止策について解説してきました。しかしながら食品現場における衛生管理は食中毒防止に限らずとも食の安全・安心を確保する上で必要不可欠な取り組みとなります。そして、これらの対策は一時的に行うものではなく、日常的に継続して行うことが重要です。これから夏場となり、特に食中毒事故が発生しやすい時期を迎えます。日常の対策を一層強化することでこの時期を安全に乗り越えていきましょう。