【D-アミノ酸の話-Vol.4】D-アミノ酸の効果(2)

D-アミノ酸のお話し、第4回目です。Vol.3では、D-アミノ酸の基本5原味への効果を紹介しましたが、今回はD-アミノ酸を多く含ませた醸造調味料、「味まとめDJ」による食品の味の改善効果について紹介したいと思います。

D-アミノ酸を含む醸造調味料「味まとめDJ」
 前回ご紹介したように、D-アミノ酸には甘味やうま味を増強し、酸味、苦味、塩味を抑える効果があることがわかってきました。その効果を利用すると、食品の味に悪い影響を及ぼすいわゆる「カド」、たとえば「酢などの"ツーン"とした酸味(酢カド)」や「食品添加物由来の少し違和感のある味(苦味)」などを抑えてくれる効果が期待されます。そこで、私たちは乳酸菌による発酵によってD-アミノ酸を作らせた新しいタイプの醸造調味料、その名も「味まとめDJ」を開発し今年の5月から販売を開始しています。
「味まとめDJ」の食品での効果
「味まとめDJ」を様々な食品に加えてその効果について調べてみました。
  • 1)冷やし中華用たれの「酢カド」抑制効果
    冷やし中華のたれは酢を使うことによりさっぱりとした風味になり、暑い夏でも食べやすい味を演出しています。しかし、人によってはその刺激により逆に食べにくさを感じることがあります。「味まとめDJ」を1%加えると、酢による刺激が抑制され、たれとしての味がまとまります(図1)。
  • ※醸造酢を約9%含有した「冷やし中華のたれ」
    (図1)「冷やし中華のたれ」への「味まとめDJ」添加効果

  • 2)めんつゆの「アルコールの苦味」抑制効果
    市販のストレートタイプのめんつゆには、保存性を上げるためにアルコールを1~3%加えることが多くあります。しかしアルコールには独特の苦味があり、お酒を飲む人はほとんど感じないかもしれませんが、あまりお酒が得意でない人や子供たちは違和感を感じることが多いと思います。アルコールを含んだストレートタイプのめんつゆに「味まとめDJ」を1%加えると、アルコールによる苦味を感じにくくして味をまとめる(図2)と共に、醤油やだしの風味が活きてきます。
  • ※アルコールを約2%含有した「そばつゆ」
    (図2)「そばつゆ」への「味まとめDJ」添加効果

  • 3)減塩食品に使う「塩化カリウムの苦味」抑制効果
    昨今、高血圧対策として加工食品の中にはいわゆる「減塩」を謳った製品が多く見られるようになってきました。それらの多くにには食塩の替わりとして「塩化カリウム」を使うことがありますが、これは塩味に加えて苦味を持つことがわかっています。これが減塩食品はおいしくないと言われる原因の一つになっています。「味まとめDJ」はこの苦味を感じにくくして味をまとめ、減塩つゆをおいしくする効果があるのです(図3)。
  • ※塩化カリウムを3%含有した「減塩つゆ」
    (図3)「減塩つゆ」への「味まとめDJ」添加効果

以上のように「味まとめDJ」を使うと、その製品中に多く含まれるD-アミノ酸の効果によって食品の「カド」を感じにくくし、全体の味をまとめる効果が得られるのです。その他、ドレッシングの「塩カド」の抑制や、味噌ラーメンの「味噌の苦味」の抑制などの効果もあり、気になる「カド」がある時には、広く使用していただけるものになっています。

以上、4回シリーズでD-アミノ酸のお話しをさせていただきました。機会がありましたらぜひ「味まとめDJ」をお試しください。また、弊社にはD-アミノ酸の機能を活用し、まろやかなこく味を食品につけることができる「こく味調味料PD-400、MD-400」もあります。こちらもぜひよろしくお願いします。

参考文献
  • 原圭志:ジャパンフードサイエンス 2015年9月号