【お酒の話-Vol.2】ワインと料理

和食は、醤油、味噌、清酒、みりんなど発酵食品を和食の基本調味料として利用して発展してきたことと同じように、西洋料理では、ブドウを発酵したワインが基礎調味料として活用して発展してきました。ワインが料理に使われるようになったのは歴史的には古く、すでに古代ローマ時代には、肉・魚・野菜などの様々な料理に使われていました。また、3世紀のギリシャの文人アテナイオスが、料理人が備えておくべき主要調味料に濃縮ワインを挙げてあるほど古くから使用されております。その後現在に至るまでワインは様々な用途に利用されて、料理の味わいを決める大事な材料となっています。
さらに近代日本においては、肉料理が和食に取り込まれる中で、ワインも同様に日本人の食生活に欠かせない飲み物になってきましたが、同様に料理への用途も、洋食だけでなく和食にも広がってきています。

ワインの特長
ワインは料理の味を作る要素の一つとなっていますが、ワインにはどのような特徴があるのでしょうか。
ワインは果実のブドウを発酵して作られていることから、ブドウの果皮種子由来のポリフェノール類やタンニンの「渋味」、果肉由来の有機酸、特に酒石酸による「酸味」が他の酒類に比べ多く含まれ、特徴的な風味を作り出しています。さらにブドウの種類や発酵方法で、「赤ワイン」と「白ワイン」に分かれます(図1)。

(図1)ワインの製法

  • 「赤ワイン」はブドウ果皮と一緒に発酵することから果皮由来のポリフェノールが豊富に含まれ、味わいとしては渋味が特徴的です。「白ワイン」はブドウ果汁を発酵させることから酸味とフレッシュな香りが特徴的な味わいになります。それぞれの主な成分をまとめると(表1)の通りです。
  • (表1)ワインの主成分
    項目 白ワイン 赤ワイン
    アルコール分 V/V % 11.0
    全糖 W/V % 0.5
    直糖 W/V % 0.4
    全窒素量 mg % 24.0
    滴定酸度 ml
    (酸味の指標)
    6.0(※1)
    pH 3.7
    ポリフェノール ppm
    (色成分も含む)
    250 2000

    (※1)ワインの酸は酒石酸/リンゴ酸/乳酸が主体。酸の違いで酸味の感じ方も異なります。

ワインの成分と効果
ワインを調理に使用する際は、この赤白の成分の違いを理解して使い分ける必要があります。「赤ワイン」はポリフェノールが特徴なことから、素材をマリネしたり、料理にコクを出して濃厚に仕上げたい時、煮込み料理や肉料理に適していますし、「白ワイン」は酸味が特徴的なことから素材の臭み消しや料理をさっぱりさせたい時、爽やかな風味に仕上げたい時に適しています(図2)。

(図2)ワインの成分と効果

次回は、ワインの具体的な調理効果についてさらに詳しくご紹介いたします。