【物性の話-Vol.2】食品の食感評価について(1)

日本人は、料理の繊細な味や食感に敏感です。その影響を受けて日本語は、微妙な味や食感の違いを伝えるための語彙が多いことが知られています。特に、食感に関する語彙は、英語やドイツ語で約100語、フランス語で約200語、中国語で約140語に対して、日本語は400語以上とかなり多いことがわかっています。近年では、このような日本語の特徴を生かし、商品パッケージに物性を表す語彙を入れることで、製品の謳い文句に活用されております。

このように便利な日本語ですが、商品開発の現場では感覚的な語彙表現では、人によって表現のとらえ方が微妙に異なるため、たびたび混乱を生じることがあります。例えば、『コシのある中華麺の開発』や『ドレッシングの粘度を調整し、口当たりの良い製品の開発』などのテーマがあがってくると、開発担当者は自社品や他社品に比べてどのような差があるかを具体的に説明する必要に迫られるからです。その場合、感覚的な表現だけではなく、定量的な数値表現が求められます。弊社では皆様の商品開発をお手伝いするため、ヒトで行う分析型の官能評価や物性測定の機械測定を行い、定量的(客観的)な数値化による評価を行っております。

弊社での取り組み内容について

分析型官能評価
人の感覚器官を使って、試料の差異を評価することです。特に弊社では、味や物性に特化した専門パネルによる評価をしており、官能評価の精度向上に努めています。

  • 官能評価シートのイメージ

  • (図1)官能評価イメージ

食感を測定する装置「レオメーター」や粘度を測る「粘度計」
食品の硬さは弾力を測定するレオメーターや粘度を測定する粘度計を主に使用しております。
レオメーターは、プランジャーと呼ばれる治具を用いて圧縮や引張り試験を行い、食品に掛かる荷重の変化を測定する機器です。特に、破断荷重は硬さに、破断歪率は、弾力に強い相関があります。
粘度計は、スピンドルを呼ばれる治具が回転し、その抵抗で粘度を測定します。粘度は口当たりに非常に強く相関する物性値です。詳しくは、下図2、3を参照ください。

(図2)レオメーターによる標準的な測定波形と解析

(図3)粘度計による測定方法の図解

今回は、弊社で行っている食感に関する様々な分析方法についてご紹介しました。次回は、実際に行った分析例や処方を交えて、食品での活用事例をご紹介いたします。