【減塩でもおいしく-Vol.4】 減塩食品でもおいしいレシピの組み立て(2)

最近ではおいしい減塩食品も増え、消費者の抵抗感も少なくなってきています。本項では、減塩食品の味の組み立てについて考えてみたいと思います。

減塩に使われる素材は「塩化ナトリウム代替」だけでない

現在、減塩食品に用いられる素材としては、塩化ナトリウム代替型と塩味エンハンス型に大きく分けられます。
塩化ナトリウム代替型の代表は塩化カリウムを使った素材です。食塩の一部または全てを塩化カリウムで置換え、何らかの食品素材と混合したタイプが多く出回っています。塩化カリウムは独特の苦味やエグ味を呈するため、これらの異味をマスキングするような素材が併用されているものが多くなっています。しかしながら塩化ナトリウムの味を完全に代替して再現できる素材というのは未だに開発されていないというのが実態です。

塩味エンハンス型には、たん白加水分解物や酵母エキス、魚介エキスなどがあります。これらは、食塩を減らすことにより物足りなくなってしまった味を底上げすることができます。例えば、弊社の「ソルテイストRS」はたん白加水分解物を中心に組み立てられた素材であり、減塩したときに失われる「力強い中味」や「持続力のある後味」を増強することができます。また、先味を付ける香料や味を底上げする「だし」、高甘度甘味料なども減塩食品の味を組み立てるパーツとして使われることもあります。

薄味でもバランスよく満足感のある味づくりが主流に

かつて減塩食品は、単に塩化ナトリウムを減らしたものや塩化ナトリウムの一部を塩化カリウムに置き換えたものが中心でした。その結果、薄味で味のバランスがくずれたものや塩化カリウムのエグ味が前面に出たものが多く存在し、「減塩=おいしくない」というイメージを生み出すことにつながりました。

しかしながら実際はどうでしょうか? 今年弊社で行った減塩食品の試食調査(230品目)では、「おいしい」と評価された食品が53%と半分を超えていました。2014年度の調査と比較して大きく比率が増加しています。ここ数年で味づくりの傾向が変化し、「薄味でもバランスよく満足感のある味」のものが主流になってきています。

食品メーカーでは上述の様々な素材を組み合わせながら、「薄味でもバランスよく満足感のある味」を実現しています。弊社のソルテイストRSも様々な食品の味づくりの一役を担っています。
ソルテイストRSを使った味づくりについては【減塩でもおいしく-Vol.3】をご参照ください。

(図1)減塩食品の試食調査
購入品について弊社アプリケーションセンターで試食実施、アプリケーションセンター周辺(茨城県)で購入した商品(2014年度は67品目、2017年度は230品目)を対象とした。

塩化カリウムの使用傾向とマスキング

先述しましたように、塩化ナトリウムの代替として塩化カリウムが使われるケースは非常に多く、弊社の購入品調査においても全体の15%の商品に「調味料(無機塩等)」の表示が見られ、塩化カリウムを使用していることが予想されます。グルタミン酸ナトリウムの方が塩化カリウムよりも使用量が多い場合などは「調味料(アミノ酸等)」の表示になりますので、実際に塩化カリウムを使用している商品はもっと多いものと思われます。塩化カリウムを使用した場合には独特の苦味やエグ味が問題になるため、各メーカーはこの異味をマスキングするために様々な工夫をしています。

マスキング素材の一例として、弊社の醸造調味料「味まとめDJ」があります。「味まとめDJ」はD-アミノ酸の機能に着目した製品で、味のバランスを壊さずに味をまとめる機能により、塩化カリウムの苦味、エグ味の改善に高い効果があることから、つゆ類のみならず、水産加工品や梅干しなど様々な減塩食品にご使用いただいています。

  • 例えば、塩化カリウムを使用したさつま揚げ(25%減塩)のレシピでは、塩化カリウムの味が「味まとめDJ」等の素材でマスキングされているだけでなく、他の様々な調味素材と組み合わせることにより、減塩を感じさせない満足感のある味となり、ご好評いただいています。

    このように、塩化カリウムを使用した減塩食品でも、マスキング素材と調味素材を巧みに組み合わせることにより、「おいしさ」を実現することが可能になっています。

ここに示したデータはごく一部であり、さらに詳細データが必要な方は、弊社営業担当者、または弊社ホームページ窓口へお声掛けください。