ここ数年スーパー等でも良く目にするようになり、最近ではオンライン専門店も登場している減塩食品。その市場規模は約723憶円(2020年予測)1とも言われ、さらに拡大を続けています。今回は今春実施した消費者アンケートの結果から今後求められる減塩食品について考察します。
カテゴリー別(図3)では、醤油や即席スープ、味噌汁といった定番カテゴリーに加え、めんつゆ、即席麺や、スナック菓子、ドレッシング、マヨネーズなど定番カテゴリー以外の購入経験も2014年に比べ伸長が見られます。健康や病気を未然に防ぐ食生活に関心を寄せる消費者が増えていることを背景に、メーカー各社様々なジャンルに相次いで参入し、アイテム数が増加したため手に取りやすい環境になっていることが要因のようです。
また購入経験が43%と最も多い醤油では、同じ商品のリピート率は66%と昨年調査に比べ10ポイント上昇し、消費者の満足度が高まっていることが伺えます。今年は塩分66%カットの減塩醤油が登場し注目を集めるなど、開発が加速している減塩醤油市場は更なる拡大が続いています。
減塩食品の購入経験がある人の中で、リピート購入したことがある人は約75%(図4)で、昨年度調査とほぼ同割合でした。またリピート購入の理由として「味や品質に満足している」と回答した人が66%と昨年度調査よりも8ポイント増加しています。メーカー各社減塩でも美味しさを維持する工夫を凝らした商品の開発に力を入れており減塩食品の味のレベルが年々高くなっている事が伺えます。
購入した減塩製品の満足度についての質問でも(図5)他の世代と比べ最も購入経験率が高い50代以上では、購入経験者のうちいずれかの減塩食品に満足している人の割合が、約9割と高い結果になりました。一方で50代以上の購入経験者のうち依然満足する製品に出会っていない人が約1割いることが分かります。購入経験率が最も低い40代においては「満足したものはない」と回答した人は購入経験者のうち約2割と、減塩食品の満足度は以前に比べ上昇しているものの十分とは言えず、更なる改良の余地があることが伺えます。
自分で作る食事以外の食品の味付け(塩分)についての質問(図6)では、外食、コンビニ惣菜、加工食品について「濃い」または「やや濃い」と感じている人が約6割と高い結果になりました。性別(図7)では外食を「濃い」または「やや濃い」と感じている男性は49%なのに対し女性は69%、加工食品については男性55%、女性73%と性別で大きく差があり、女性の方が全体的に食品の味付けを濃いと感じていることが分かりました。性別における塩味の感じ方の違いにいかに対応しリピートにつなげるか、外食店やCVS、加工食品メーカーの今後の課題かもしれません。
「塩分が気になる加工食品」についての設問では、即席麺やスナック菓子を挙げる人が多く、以前高かった醤油は減塩醤油との使い分けが浸透してきている為か大幅にダウンしています。「塩分が気になるコンビニ食品」ではラーメン、弁当を挙げる人が6割以上と高く、これらは更なる減塩商品の開発が求められる分野と言えます。
食の健康志向が高まりを見せる近年、消費者が薄味を好む傾向は強まっており、「減塩」を謳う製品群のみならず定番品や通常メニューでも減塩の取り組みが必要となってくることが予想されます。