「日本料理ときわ」総料理長が作る~「熟成蔵出し 黒みりん」を使った"平目みりん漬け"~

東京・銀座で20年間にわたり高評を博し、ミシュランガイドでも星を獲得していた日本料理店「馳走啐啄」が、店名も新たに西麻布へ移転。
店主の西塚茂光さんは茶道にも精通し、茶懐石の美意識ともてなしの心を料理で表現。たしかな技術と美学に裏打ちされた料理には、皿の上に季節の景色を描くような美しさが宿ります。
そんな西塚さんに黒い液色で存在感をみせる「熟成蔵出し 黒みりん」の特徴を活かした料理を考案していただきました。

「熟成蔵出し 黒みりん」の西塚総料理長評価
繊細な食材の風味を損なうことなく、創意ある使用法にも実力を発揮

従来の本みりんと比べてうま味やコクが濃い。一方で見た目でイメージしがちなクセのある熟成感はなく、後味もスッキリしています。今回考案したレシピのように、ヒラメや活カニといった繊細な食材に使っても「調味料の味」にはならず、食材の持ち味を引き立てる使い方ができるので料理の幅が広がりますね。
今回は「飯漬け」や「文化煮」といった古来の調理法から着想しながら「熟成蔵出し 黒みりん」の利用法を考えてみました。本来「隠し味」であるみりんの味、風味を調味料の中心に据えてみたわけですが、ベタつく甘さもなく上品に味が調うので、醤油や味噌ではできなかった表現ができるようになると思いました。
既存の熟成みりんは製造メーカーも少なく、希少性が高い一方で、価格も高い。コスト面でも利用する場面が限定的になりがちでしたが、「熟成蔵出し 黒みりん」であれば、創意ある使い方にもチャレンジしやすくなりますね。

「熟成蔵出し 黒みりん」を使うメリット
  • 従来の本みりんと比べ、オリゴ糖やアミノ酸の含有量が2倍以上。少量加えるだけでうま味やコクを与えることができます。
  • うま味やコクは濃厚ながら、熟成みりん独特のクセがない。白身魚のようなたん白な食材を使った繊細な料理にも使うことができます。
  • 熟成させたことでみりん独特のアルコール臭が控えめ。液の粘性も弱くサラっとしているので、調味液を作るときになじみやすい。
平目みりん漬け
繊細なヒラメのうま味、風味をふくよかに引き立てる
  • 食材(分量 3人前)
    材料 分量
    平目 上身180g
    ご飯(炊いたもの) 300g
    ほうれん草 少々
    いくら醤油漬け 少々
    わさび 少々
    <調味料>
    熟成蔵出し 黒みりん 200cc
    適宜
  • 作り方(添えものは略す)
    1. 平目を上身にし、強めの塩を振り30分置く。後よく水分を抜き取る。
    2. ご飯を炊き、熱々のうちに熟成蔵出し 黒みりんを加える。ときどき混ぜながら冷ます。(=みりん床)
    3. 2.がよく冷めたら、平目を2.で上下をはさむようにして上からラップを張り、よく手で押さえて漬け込む。(2日間冷蔵保管)
    4. みりん床から、平目を出し細切りにし、器に盛り添えものをのせる。熟成蔵出し 黒みりんに淡口醤油を器に盛り、添えものをのせる。熟成蔵出し 黒みりんに淡口醤油を同割で合わせたものを少々かける。
料理紹介
米飯に食材を漬け込んで味を入れる「飯漬け」の手法を応用して、白身魚を熟成させてみました。炊き上がったご飯にたっぷりの「熟成蔵出し 黒みりん」を吸わせたものを漬け床として、塩をふったヒラメの切り身をひと晩漬け込んでいます。ヒラメの身がほどよく脱水し、ほのかにみりんの香りや甘みが染み込んでたん白な白身魚の味を増幅させてくれます。さらにほのかな飴色の艶が美しく付いた仕上がりもいいですね。塩は脱水目的で素材の味を損ねない程度にしかふっていません。イクラの醤油漬けと和えることで塩味をプラスさせて味の輪郭をつくっています。

「熟成蔵出し 黒みりん」の使用ポイント

  • 炊き上がった米飯が熱いうちに「熟成蔵出し 黒みりん」を合わせ、ときどき混ぜながら冷ます。ご飯の分量に対して3~4割とたっぷり米飯に吸わせることで、材料に適度に浸透していきます。「熟成蔵出し 黒みりん」は煮切りせずに使い、熟成感のある豊かな風味づけをします。
料理人の紹介

西塚 茂光(にしづか しげみつ)総料理長
1959年、山形県生まれ。高校の料理科で出会った恩師に背中を押されるように上京し、複数の料亭を経て23歳の若さで新橋の料亭の料理長を任される。しかし、自らの実力不足を痛感し、赤坂の日本料理店「楽味」にて全国日本調理技能士会連合会会長などの要職も務める小椋久米雄氏に師事します。その頃から茶の世界に日本料理の礎を見いだし、茶道を習いはじめます。現在も不定期ながら「茶会」を催すなど、西塚さんの料理観の大きな柱となっています。
その後、銀座の日本料理店「堂島」料理長を10年間務めた後に、2000年5月に「馳走啐啄(ちそうそったく)」を開業して独立。同店は14席ほどの小規模店ながらミシュランガイドで星を獲得するなど、確固たる評価を確立しました。そして還暦を迎えたのを機に店を2020年6月に西麻布に移転。店名を「日本料理ときわ」に改めました。
啐啄(そったく)とは卵の中の雛が生まれ出ようと内側から殻を突くのに合わせて親鳥が外側から殻を突き合わせることで、禅宗では修行者と師との呼吸がぴたりと合うことを表します。それに対して「ときわ」とは永久の時にも変わることがないことを意味する言葉。「これからは後進となる人材を育てることも、私の挑戦のひとつ」と語り、調理場は松本一樹さんに任せ、西塚さんは毎日お店に立ちながらも一歩引いて料理とおもてなしの調和に心を配っています。

店の紹介

西塚さんが還暦を迎えたのをきっかけに「まだまだ挑戦し足りない」との気概とともに新たな挑戦をした新店。客席の設えだけでなく、バックヤードを広くとって自家製の味噌や発酵食品、スチームコンベクションを活用した調理法など、いっそうの創意ある料理に取り組んでいます。
茶の心を日本料理の原点とする西塚さんの今も変わらぬ矜持は「贅を尽くすのではなく、手を尽くしてこそ」。昼・夜ともおまかせのコースのみですが、季節の味をふんだんに取り込み茶人でもある西塚さんの美意識が生かされた「八寸」を軸に品数も豊富でバラエティ豊か。「少なめに」や「季節の食材を中心に」「アレルギーや苦手な食材を外して」といったリクエストにも応じています。
店の設えは、茶の湯から派生した数奇屋の技術や表現方法を採り入れられているものの、重厚さよりも潔い清々さを印象付けます。樹齢350年の霧島杉を使ったエントランス、吉野檜や欅の無垢一枚板を用いたカウンターや個室テーブルは本物ならではの存在感を纏いつつもまだ真新しい初々しさを併せもち、これから長い時を経るにしたがい空間の深みを増して成熟していくであろう予感をはらんでいます。

店名 日本料理ときわ
住所 東京都港区西麻布1-9-7 シュウエツレジデンスII 1F
電話 03-3405-1237
営業時間 12:00~14:30、17:00~23:00
定休日 日曜日、祝日
席数 17席
主な客層 30~60代の男女、接待・会食客
予算の目安 昼 1万7,000円、夜 2万5,000円
開業 2020年6月
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