従来の本みりんと比べてうま味やコクが濃い。一方で見た目でイメージしがちなクセのある熟成感はなく、後味もスッキリしています。今回考案したレシピのように、ヒラメや活カニといった繊細な食材に使っても「調味料の味」にはならず、食材の持ち味を引き立てる使い方ができるので料理の幅が広がりますね。
今回は「飯漬け」や「文化煮」といった古来の調理法から着想しながら「熟成蔵出し 黒みりん」の利用法を考えてみました。本来「隠し味」であるみりんの味、風味を調味料の中心に据えてみたわけですが、ベタつく甘さもなく上品に味が調うので、醤油や味噌ではできなかった表現ができるようになると思いました。
既存の熟成みりんは製造メーカーも少なく、希少性が高い一方で、価格も高い。コスト面でも利用する場面が限定的になりがちでしたが、「熟成蔵出し 黒みりん」であれば、創意ある使い方にもチャレンジしやすくなりますね。
材料 | 分量 |
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平目 | 上身180g |
ご飯(炊いたもの) | 300g |
ほうれん草 | 少々 |
いくら醤油漬け | 少々 |
わさび | 少々 |
<調味料> | |
熟成蔵出し 黒みりん | 200cc |
塩 | 適宜 |
西塚さんが還暦を迎えたのをきっかけに「まだまだ挑戦し足りない」との気概とともに新たな挑戦をした新店。客席の設えだけでなく、バックヤードを広くとって自家製の味噌や発酵食品、スチームコンベクションを活用した調理法など、いっそうの創意ある料理に取り組んでいます。
茶の心を日本料理の原点とする西塚さんの今も変わらぬ矜持は「贅を尽くすのではなく、手を尽くしてこそ」。昼・夜ともおまかせのコースのみですが、季節の味をふんだんに取り込み茶人でもある西塚さんの美意識が生かされた「八寸」を軸に品数も豊富でバラエティ豊か。「少なめに」や「季節の食材を中心に」「アレルギーや苦手な食材を外して」といったリクエストにも応じています。
店の設えは、茶の湯から派生した数奇屋の技術や表現方法を採り入れられているものの、重厚さよりも潔い清々さを印象付けます。樹齢350年の霧島杉を使ったエントランス、吉野檜や欅の無垢一枚板を用いたカウンターや個室テーブルは本物ならではの存在感を纏いつつもまだ真新しい初々しさを併せもち、これから長い時を経るにしたがい空間の深みを増して成熟していくであろう予感をはらんでいます。
店名 | 日本料理ときわ |
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住所 | 東京都港区西麻布1-9-7 シュウエツレジデンスII 1F |
電話 | 03-3405-1237 |
営業時間 | 12:00~14:30、17:00~23:00 |
定休日 | 日曜日、祝日 |
席数 | 17席 |
主な客層 | 30~60代の男女、接待・会食客 |
予算の目安 | 昼 1万7,000円、夜 2万5,000円 |
開業 | 2020年6月 |