(東京都/杉並区)
多彩なカレー店ひしめく、カレー激戦区・西荻窪に2022年7月にオープンした、カレーショップ「フェンネル」。ナンではなく「ご飯に合うカレー」がコンセプトのお店です。日本人のソウルフード・ご飯に合わせるのは、欧風でも日本風でもない、本格インドカレー。多彩なスパイスの味わいと香りを生かした美味しさとご飯のハーモニーが絶妙と人気の、このカレーの秘密に迫ります。
クローズアップメニュー

ポークビンダルーカレー 1,200円(税込)
辛さのなかにお酢のアクセントが入る、インド・ゴア地方のポークビンダルーカレー。本場の味をできる限り再現したいと、辛いだけでなく香り高く仕上げることで、スパイスの風味を引き出しています。ポークビンダルーカレーというと「酢」に着目されることが多いものの、本場の美味しさは、じっくり煮込んだ豚肉のうま味と、香り立つスパイスとのハーモニーだそう。ご飯との相性も抜群です。
技のポイント1





ビンダルーカレーの香りの再現はこだわりのスパイスで
ポークビンダルーカレーの美味しさのポイントはお酢よりも、その香り。本場インドの香りを忠実に再現するため、フェンネルでは「辛さ0」・「中辛」・「辛口」と、特徴の違う3種類の唐辛子を使い、辛さと香りを出す工夫をしています。そこに、八角、クミン、マスタードシード、ブラックペッパー、クローブ、シナモン等のスパイスを加え、しっかりと炒めることで、唐辛子の味わいに多彩なスパイスが相まった、本場仕込みのポークビンダルーカレーならではの香りと味を出していきます。
技のポイント2






スパイスの香りを生かすタマネギ
インドカレーの美味しさを左右するひとつが、スパイスの香りと味を引き出す巧みな炒め技です。けれども、これだけでは多彩なスパイスは、とんがった味のまま。これをほどよい味わいに生かすのが「生」と「ペースト」の2つのタマネギの力。フェンネルでは米油で炒めた生のタマネギにパプリカなどの新たなスパイスを加え、さらにしっかりと炒めたところに、今度はじっくりと炒めあげたタマネギのペーストやスパイス、トマトを丁寧に炒め続け、カレーのベースを仕上げていきます。本場インドより油を少なく使うことで、さらり、さっぱりとした、ご飯に合う味わいを作り上げます。
技のポイント3









うま味を出す豚肉はマリネし、オーブンでじっくり
豚肉は肩ロースを使用していますが、最初からソースで煮込むのではなく、ペースト状にしたスパイスで豚肉をマリネ。オーブンを使って75分以上かけて煮込みます。こうすることで、全方位から火が入って、スパイスが肉にしっかりと染みこみ、柔らかく、口にいれるとほろっとほどけるような加減に。カレーを供する際には、この豚肉のうま味をベースとなるソースに移すことで、コクのある味わいに仕上げます。
技のポイント4

カレーの美味しさをさらに引き立てる絶品ピクルス
どのカレーにも付け合わせとしてついてくる箸休め。マッシュポテト、ゴボウのスパイス炒め、ズッキーニやキャベツ、大根、白瓜のアチャール(インド風ピクルス)などが盛り合わせてあります。好みにあわせ、インド式にカレーに混ぜ、味変して楽しむもよし、カレーの合間に箸休め的に食べてもよしの美味しさ。季節により、その時々の旬の野菜や異なる味付け等が変わるのも、リピーターの楽しみのひとつです。
オススメメニュー1

バターチキンカレー 1,200円(税込)
インドのバターチキンカレーはバターやカシューナッツなどをたっぷり入れて濃厚に仕上げますが、フェンネルのバターチキンカレーは、鶏の出汁でうま味をだし、ニンニクや生姜、油の使用を少量にして、さっぱりと仕上げられています。また、ヨーグルトでマリネした鶏肉は直火で焼きあげることで、その焦げによるスモーキーな味わいをプラス。さらりと軽いバターチキンカレーに仕上げます。ご飯に合う工夫をこらしつつも、本場インドのバターチキンカレーと遜色ないこの味わい。くせになる美味しさです。
オススメメニュー2

ドライカレー 1,200円(税込)
タマネギ、ニンジン、セロリ、ショウガ、トマトなど、肉の量の何倍もの野菜を少量の油で丁寧にじっくりと数時間かけて炒めます。炒め上がった野菜はザルにあげ、油っぽさを切ってから牛豚の合い挽き肉とまた、じっくり炒め、ベースのカレーと合わせ、仕上げていきます。日本で誕生したドライカレーのはずなのに、フェンネルの手にかかると、添えられたスパイスの効いた煮卵と共に、スパイシーで香り高いインド風の一品に。
オススメメニュー3

チャイプリン 400円(税込)
インドカレーのお店だからこそ、スパイスの効いたインドらしいデザートをと考案した定番人気のチャイプリン。チャイの味わいがはっきりと出るよう、飲用よりも少し濃いめに出し、しっかりした食感で楽しめるよう、プリンを少し固めに仕上げています。カレーとはまたひと味違う、優しいスパイスの味が楽しめます。
お店紹介

カレー好きが高じて本場インドへ。
そして自分の目指すカレーを実現!
オーナーシェフの加来翔太郞さんがカレーに目覚めたのは学生時代。食べ歩きから始まり、やがては趣味でカレー作りを独学でマスターしました。大学卒業後、いったんは就職したもののカレーの店をもつ夢が捨てきれず退職。きちんとした下地が欲しいと、本場インドに修業の旅へ。南インドの有名ホテルの厨房でさまざまなカレーや現地の人に出会い、腕を磨きました。
「インドのカレーの香りは本当にすごくて、同じスパイスなのに、どうやってこの香りが立てられるのか驚きました。やはり技術、シェフそれぞれの技なんです。インド国内でのみ活躍するすごい料理人や郷土料理の名人等に直接ふれ、スパイス使いの違いを目の当たりにし、学びました」。
半年後に帰国するとカレーの名店で働き、専門店も任され人気店に育て上げますが、自分の店をとの思いは変わりません。
預かっているお店という責任を越え、自分のしたいようにやりたいという思いも強くなり、インドから帰国して10年、西荻窪に念願のお店「カレーショップフェンネル」をオープンしたのです。
コンセプトは「ご飯に合うカレー」。インドの修行で培った技と知識、これまでの経験を生かした本格インドカレーと日本のお米の美味しい融合を目指します。
店は古い煙草屋さんの住居をリノベーションした、どこか懐かしい雰囲気。
「インドの物を飾ってもインド過ぎず、懐かしい感じのするアットホームな店にしたかったんです」。
和とインドがほど良く融合した心地良い店内で供されるメニューは3つの定番カレーと、数日おきに変わる「限定メニュー」。インドのスパイシーな美味しさとご飯との妙を究める、唯一無二のインドカレーショップとして、これからもますます人気が高まりそうです。
基本情報


店名 | カレーショップ「フェンネル」 |
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所在地 | 東京都杉並区松庵3-37-22 2階 |
電話番号 | 03-5941-9835 |
営業時間 | 11:30~19:00(L.O.18:30) |
定休日 | 火曜日 *他臨時休業あり |
席数 | 8席 |
主な客層 | 近隣住民、会社帰りの方々等、幅広い層 |
予算の目安 | 1,200円〜 |
開業 | 2022年7月 |
HP | https://www.instagram.com/curryshopfennel/?hl=ja |
※掲載内容は取材時点での情報であり、記事内容、連絡先、営業時間などが変更になる場合があります。