(東京都/台東区)
東京・浅草橋のラーメン店「豚白湯 ろく月」。2015年にTRY(東京ラーメンオブザイヤー)の新人賞を受賞した名店です。豚骨系ラーメンの店ながら、豚骨特有の“パンチ”を前面にだす一般的な豚骨スープの店とは一線を画す存在で、豚骨の苦手な人にも大人気の濃厚でクリーミーな豚白湯が絶品です。その美味しさの秘密とこだわりについて伺いました。
クローズアップメニュー
特製豚白湯ラーメン 1,200円(税込)
店の一番人気は「特製豚白湯ラーメン」。3日間、豚骨をひたすらことこととじっくり煮込んだ豚白湯をベースにうま味調味料を使わず仕上げられた、やさしく濃厚でクリーミーな味わいのスープ。そのスープがほどよくからむ自家製麺の細麺に、オールスターで載るのは、こだわって作られた異なる3種類のチャーシュー、燻製たまご、メンマ、九条ネギ、ワンタン。「豚白湯 ろく月」の美味しさのすべてが凝縮された看板の一品です。
技のポイント1
3日間煮続けて仕込むクリーミーな白湯スープ
常にぐつぐつと煮えている2つの寸胴鍋。これが出汁の要・豚白湯スープの仕込み風景です。豚骨を寸胴鍋で3日間、ひたすら煮込みます。うま味調味料を使わず、野菜だし等でコクを、仕上げに入れる牛乳で、やさしくまろやかな味と濃厚なクリーミーさに。味の要となるタレは、昆布、アサリ、干し椎茸、スルメなどを組み合わせ、ゆっくりと煮込んで調味したもの。そこに貝柱の風味豊かなネギ油を加え、豚白湯のスープを漉しいれたらスープのできあがり。バランスのとれたやさしい豚骨ベースのスープは他店では味わえない美味しさです。
技のポイント2
こだわりの3種のチャーシュー
特製豚白湯ラーメンに載っている豚肩ロース、豚バラ、豚モモの3種のチャーシュー。異なった味わいが楽しめるよう、部位ごとに素材、調理法、切り方にこだわっています。豚肩ロースは赤身と脂のバランスを考えて、むちっとした食感を楽しめるよう、62度・10時間の低温調理でごくごく薄切りに仕上げます。豚バラはスペイン産アルティシモ・リバサムというブランド豚を使用し、やわらかな食感の煮豚に。豚モモは、60度で5時間かけた低温調理後に燻製で香り付け。ナラ、ヒッコリー、サクラ、リンゴ、くるみなど、仕込みごとに燻製チップを変え、常連さんでも違う味わいが楽しめるよう工夫をしています。
技のポイント3
麺とワンタンは店の製麺室で自家製麺
もうひとつのポイントは、店内に製麺室をもうけ、こだわって作る自家製麺と自家製ワンタン皮。麺は濃厚なスープに負けないよう、香りの強い、国産小麦の焙煎胚芽を使用し、クリーミーなスープをまといやすい細麺に仕上げています。沸騰した湯でしっかり茹でた麺は、フックに1分間ほどひっかけて軽く湯切りするというスタイル。
ワンタンも手作りならではの味わいが活かせるよう、手切りで長い長方形に仕上げ、端に折り返して包むことで皮の美味しさを存分に楽しめるよう、工夫しています。
オススメメニュー1
替え玉2種 魚粉250円・貝柱300円(各税込)
人気の替え玉は貝柱風味と魚粉味の2種類。貝柱風味はネギ油と貝柱のタレで麺を混ぜ、赤玉ねぎを散らして仕上げます。魚粉味はサバや煮干しの粉末にニンニクのバジルオイルをからめ、万能ネギを散らします。最初はそのまままぜ麺感覚での美味しさを味わってから、ふつうの替え玉としてつゆにいれ、味変を楽しむのが、ろく月流のおすすめです。
オススメメニュー2
つけ麺 1,000円(税込)
つけ麺好きのお客様のために用意しているメニューにも、より美味しく食べてもらえるような工夫がこらされています。麺は異なる小麦を使って、つけ麺用に別に製麺。太めに仕上げ、麺がつけダレとからみやすいようにしています。つけダレは、豚白湯のスープに、もみじやモモ肉などをしっかり煮込んでバターの風味も加えた濃厚な鶏油をプラス、季節の柑橘を添えて、コクがありつつ後味も軽快な仕上がりに。。
オススメメニュー3
チャーシューご飯 280円(税込)
3種のチャーシューの切れ端を贅沢に刻んで載せて、タレをまわしかけたチャーシュー丼。九条ネギを彩りと香りのアクセントに供しています。
お店紹介
TRY入賞で評価が激変し一躍人気店に。
その味を守りつつ、今も進化し続けています
店長の湯田達巳さんが独立起業でラーメン屋を選んだのは、初めて東京の名店で「とんこつラーメン」を食べたときに受けた衝撃の美味しさからだったといいます。働いて開業資金を貯めると、その名店に頼み込んで半年修業。けれども味の仕上げにうま味調味料を入れることに納得できず、自分なりの味を追究することに。
「無謀でした。豚骨はうま味調味料で補うのが常識。でも、なんとかできないかと」
試行錯誤の末できた「豚骨スープ」で開業を果たしますが、一部のマニアや評論家から『こんなのは豚骨じゃない』『パンチがない』と酷評を受け、1年半の間、店は赤字に。それでもくさることなく、製麺会社のラーメン学校で学び直したり、より美味しい味の研究を続けていた矢先、そのラーメンが、2015年の「TRY(東京ラーメンオブザイヤー)新人賞とんこつ部門」で1位を獲得。すると、がらりと風向きが変わり、これまでダメだといっていた人たちが同じ味を『クリーミーで濃厚で美味しい』と高評価。人気も上昇。
「赤字から脱却し、今度はあちこちのラーメンを食べ歩きました。減点式に見るマニアが多いなか、自分は加点式で見て、良いところは小さくても真似してみる」。
基本は修業した店で学んだことに忠実に&スープの味は守りつつ、でも自分なりのこだわりを徹底的に極める、が湯田流。
「昔は、とにかくいい材料を使うことだ、と原価率が48%位だったんです(笑)。これだと作っても作っても儲からない。それで味を落とさずどう作るかを考えるようになり、今の製法に落ち着きました」。
湯田さんは今も、プロが集うオンラインサロンで学びながら、この豚白湯ラーメンの美味しさをどう伝えるのが良いのか、盛り付けや店のコンセプト、売り出しかた、材料選びなどの見直しを日夜続け、真摯にラーメンと向き合っています。
進化し続けるラーメン店です。
基本情報
店名 | 豚白湯 ろく月 |
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所在地 | 東京都台東区浅草橋2-4-5 |
電話番号 | 080-2142-8324 |
営業時間 | 11:30~14:30/18:00~20:45 (L.O.各閉店15分前) ※スープ切れで早じまいの場合もあり ※土曜日は昼のみの営業 |
定休日 | 日曜日・祝日(GW、お盆、正月等) |
席数 | 13席 |
主な客層 | 近隣住民、会社帰りの方々等、幅広い層 |
予算の目安 | 900円〜 |
開業 | 2013年9月 |
https://www.instagram.com/rokutuki/ | |
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