(東京都/渋谷区)
「Mi Choripan(ミ・チョリパン)」は、日本で唯一のチョリパン専門店です。チョリパンとはアルゼンチンのソウルフードともいえる、極太のチョリソーをパンで挟んだ料理です。つまり、「チョリソー+パン(chorizo+pan:スペイン語)」でチョリパン。今回は現地の味にこだわり、自家製のチョリソーで作るチョリパンについて、店主の中尾真也さんにお話をうかがいました。
クローズアップメニュー
スペシャルチョリパン 1,340円(税込)
トッピングがフルに入った具沢山のチョリパンです。炭火でカリッと焼き上げたパンに、じっくり炒めたチョリソーとたっぷりの野菜が入ってボリューム満点。「チミチュリ」というアルゼンチン発祥のソースの酸味とジューシーで肉汁たっぷりのチョリソーがよく合います。サラダとチョリパンを一度にとることができる、欲張りな一品です。
技のポイント1
自家製チョリソーはフィリングからすべて手作り
チョリソーのフィリング(詰め物)は牛肉と豚肉の合挽き。牛肉を主体に、食感を出す豚舌とジューシーな味わいが増す豚の脂を加えています。ボウルに肉を合わせたら、塩と砂糖などを加えて練ります。さらにオレガノなど6種類のハーブをブレンドしたパウダーを入れ、最後に水とつなぎ粉を加えて練り上げます。2kg分量の仕込みを5分足らずで終え、必要分ができるまで何回か繰り返し、出来上がったら3時間ほど冷蔵庫で寝かせます。
技のポイント2
季節や気候に配慮しながら、じっくり時間をかけて
チョリソーのフィリングを豚の腸に詰めていきます。2kgでできるチョリソーは20本前後。ほぼ毎日100本以上を仕込んでいるそうです。詰め終えたらタコ糸で編むように縛っていきます。チョリソーは1本110〜120gで「今では計量しなくても同じ大きさに仕上がるようになった」そうです。素早く紐で縛る手元が熟練を感じさせます。「乾燥の工程が一番大切」なので2日以上かけて乾燥させますが、温度と湿度を一定に保つことが難しく、とくに梅雨時や夏場は管理に苦労するそうです。
チョリソーの仕込みは、成形してから乾燥し、その後下焼きをして保存するまで4-5日かかるので、つねに先を見越して作業をしなければなりません。
技のポイント3
チョリパンの味わいを決めるチミチュリソースとパン
チョリパンは肉を味わうチョリソー主体の料理であり、その肉の味わいを引き立てるのが「チミチュリ」という赤いソースです。ミ・チョリパンではパプリカ、オレガノ、にんにくなどとビネガーを合わせたオリジナルのチミチュリを使っています。鮮やかな赤色はパプリカによるもので、辛味はありません。チミチュリはアルゼンチンでは欠かせない調味料で、家庭でもレストランでもそれぞれ独自のレシピがあり、ビネガー主体だったり、オイルが主体だったり、ハーブの組み合わせも含め、料理に合わせて調合します。瓶入りチミチュリソースは店内で販売しています(1,100円:お持ち帰りのみ)。
緑色のにんにくソースはパセリ、にんにく、オイルを合わせた自家製ソースで、ペルーではこちらもチミチュリと呼ぶそうです。フレッシュなにんにくを使っており、こちらも肉料理によく合います。
また、パンはバーガーバンズで知られるパン工房峰屋に依頼し、チョリソーに合うものを開発。「パンだけは現地と違いますが、チョリパンをよりおいしく味わっていただけます」と中尾さん。フルサイズとハーフサイズがあります。
技のポイント4
カリッと焼いたパンにチョリソー&たっぷりトッピング
パンは縦2つに割り、アルゼンチンの屋台同様、炭火で焦げ目がつくまで焼きます。同時に、下焼きをして保存しておいたチョリソーにフライパンで火入れ。徐々に脂が溶け出し、ときには炎を上げながらじっくり炒めていきます。
熱々のチョリソーをパンにのせ、チミチュリ、にんにくソースをかけて。もう一片のパンにネギマヨネーズをのせ、アルゼンチンサルサにマスタード、さらにレタス、トマト、炒め玉ねぎをのせ、最後にパンを合わせます。
オススメメニュー1
サルサチョリパン 1,190円(税込)
チョリソーとレタス、アルゼンチンサルサをはさんだチョリパン。チミチュリソース、ケチャップ、マヨネーズ、マスタードで味付けします。アルゼンチンサルサは、玉ねぎ、トマト、バジル、パセリ、ビネガーを和えたフレッシュなサルサで、お店で毎日用意しています。*包み紙に入れて提供されます。
オススメメニュー2
エンパナーダ 3個990円(税込)
南米での代表的な郷土料理エンパナーダは、小麦粉の生地でフィリングを包んで揚げたもの。ミ・チョリパンのエンパナーダはチーズが入ったもので、スナックとして、おやつ代わりに、手軽に食べられます。
1個380円、2個710円です。
オススメメニュー3
ランチB 1,180円(税込)
シンプルなチョリパンと、サイドディッシュ1品(日替わりサラダ、ポテトフライ、エンパナーダ)、ドリンク(マテ茶、コーラ)が選べるセット。ポテトフライは十勝の農家から直送されたじゃがいもを店内でカットして揚げています。ホクホクで甘みがあり、熱々はもちろん、冷めてもおいしくいただけます。
お店紹介
休日や朝ランの途中でも店に寄って、こまめにチョリソーの状態を確認するという中尾さん。1本のチョリソーにもそのこだわりが詰まっている。
中尾さんはバックパッカーとして世界中を回る旅の途中、アルゼンチンの首都ブエノスアイレスを訪れた際チョリパンに出会いました。チョリパンは、路上の露店や、サッカーなどのスタジアムで手軽に食べられる、アルゼンチンの国民食ともいえるファストフードだそう。腸詰めをパンに挟むというとホットドッグを思い浮かべますが「アルゼンチンでもホットドッグはあります。コンビニや屋台でパンにソーセージを挟んでトッピングをのせて食べる。これは“パンチョ(pancho)”と呼ばれています」。その違いはというと「チョリパンは肉を主体に食べる料理なんです」。確かに、極太のチョリソーは主役になり得るボリューム感で肉の旨みを存分に味わうことができます。
その後、帰国した中尾さんは起業しようと、旅行中に出合った好きなもの、日本にはないもの、単品に特化する、などの基準で考え、チョリパンの店を開くという結論に達しました。そこで、再びアルゼンチンへ。
ブエノスアイレスのチョリパン店が数多く並ぶ通りの中で「ここ」と思った店に入り、修行をさせてほしいと頼み込むと「スペイン語もろくに話せないのに飛び込みで訪れた日本人に快く応えてくれました」。3ヶ月の修行期間中、チョリソー工場にも作り方の教えを請い、帰国の際にはレシピを手にしていた中尾さん。ところが日本に帰ってから、レシピ通りに材料を仕込んでもなかなか現地のチョリソーの味を再現することができません。そこから試行錯誤が始まります。
「 乾燥の工程が一番大切だと気づいてから、ようやく思い通りに作ることができるようになりました。今では自分でも“毎日食べたい”と思う味を安定して作れるようになり、実際に毎日食べています」
取材中も各国の人が訪れ、注文を受けて中尾さんがパンを焼き、チョリソーを炒めます。アルゼンチン現地では手軽なファストフードですが、日本でその味を再現するために、チョリソー作りからソースまでこだわりを持って提供し続ける中尾さん。「アルゼンチンの味を求めて来店してもらうだけでなく、初めてここでチョリパンを食べた人が本場へ行きたくなる、そんなきっかけになったら嬉しいですね」
基本情報
店名 | Mi Choripan(ミ・チョリパン) |
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所在地 | 東京都渋谷区上原2-4-8 |
電話番号 | 03-5790-9300 |
営業時間 | 11:00~20:00 (月曜日は11:00~18:00) |
定休日 | 火曜、第2・4月曜(祝日は営業) |
席数 | 16席(テラス席あり) |
主な客層 | 近隣住民、ビジネスパーソン、目的客 |
予算の目安 | 1,000円〜2,000円 |
開業 | 2013年1月 |
HP | https://michoripan.com |
https://www.facebook.com/MiChoripan/ | |
https://www.instagram.com/mi_choripan/ |
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