(東京都/大田区)
東京・蒲田は数多くのラーメン店がひしめく「激戦区」。その中でも味噌ラーメンの人気店「らーめん蓮 蒲田本店」は、2018年にTRY(東京ラーメンオブザイヤー)新人賞みそ部門で2位を獲得した実力店です。スープ、味噌ともに野菜の甘味をたっぷりと含ませた、濃厚ながらまろやかな味わいの味噌スープは家庭の味噌汁を思わせる優しさ。個性的ではないのに飽きのこないおいしさで、子連れの家族客から年輩客まで幅広い客層に支持されています。今回は月替わりで提供している限定メニューの中から、夏期の人気商品「冷やし担々つけ麺」についてオーナーの伊藤良介さんに伺いました。
クローズアップメニュー

冷やし担々つけ麺 1,350円(税込)
提供期間中は看板商品の「味噌らーめん」を超えて「来店客の8割が注文する」というほどの人気ぶりです。濃厚な味噌スープは泡立てるように材料を溶いて空気を含ませることで軽やかな舌触り。全粒粉入りの太麺は小麦の香りが強く、濃厚な味噌スープにも負けない存在感があります。写真ではスープの表面を彩っている自家製のラー油ですが、通常は別皿に添えて提供し、お客様がご自身で好みの辛さに調節できるよう配慮をしています。
技のポイント1





味噌だれ作り 6時間炒めた野菜の甘味と4種の味噌がまろやかな味わいの秘訣
味の肝となる味噌だれは、2種類の赤味噌と2種類の白味噌をブレンドしたものに、弱火で6時間炒めた野菜ペーストを練り合わせたもの。
赤と白の比率は、開業当時は5:5だったそうですが、現在は2:8と白味噌の比率が高めに。「お客様の8割が地元住民で子ども連れの家族客も多いことから、家庭の味噌汁に近づけていきました」と伊藤さん。
野菜ペーストはすりおろしたニンジン8kg、タマネギ13kgにニンニクとショウガを合わせて弱火でじっくり炒めていきます。水分が飛んで半分量になったら酒、醤油、豆板醤、唐辛子、胡麻などを合わせた調味液を加え、さらに煮詰めるように炒めていきます。
技のポイント2


挽き肉づくり 子どもから年輩まで食べやすさを優先し甘めに調味しています
担々麺のメイン具材となる挽き肉は1回でおよそ3kg(約3日分)を仕込みます。豚挽き肉はスタンダードな中挽きのもの。胡麻油で香ばしく炒めていき、醤油、酒、砂糖、うま味調味料、ショウガ、粉唐辛子で味を調えます。ファミリー客が多いことから辛さを抑えた甘めの味に仕上げています。
技のポイント3


自家製ラー油づくり 自家製のラー油は別添えなので好みの辛さで楽しめます
自家製のラー油は唐辛子を花椒、陳皮、紅茶などで香りをつけたサラダ油に漬け込んだもの。通常は別皿に添えて提供し、お客様がご自身で好みの辛さに調節できるよう配慮をしています。
同じ夏期の人気限定メニューである「冷やし味噌らーめん」用には、粗みじん切りしたタマネギとニンニクの素揚げをたっぷり含めて具材感を強調したラー油の2種類を使い分けて味に変化を与えています。
技のポイント4



スープは泡立てるように材料を合わせて濃厚ながら軽い口当たりに仕上げます
スープは16時間かけて100ℓ分を炊き上げます。豚骨、鶏ガラを1対1の割合で使用。ここにジャガイモ、ニンジン、タマネギ、長ネギなど野菜を合計7kg加えて臭み取りと甘味もプラス。同時にチャーシューの下茹でもするため、豚バラ肉の甘いうま味も加わります。
麺は濃厚なスープでも小麦の香りと味が伝わる三河屋製麺製の全粒粉入り14番手の太麺を使用しています。3分間茹でた後、冷水で締め、丼に盛ります。
スープ用の丼に味噌ダレ25g、練り胡麻25g、豆乳150mlを合わせ、泡立て器でポタージュ状になるまで空気を含ませながら溶いていきます。そこに挽き肉50gとワケギをひとつまみ浮かべて完成です。写真では表面に浮かんでいる自家製のラー油ですが、実際は別皿に添えて提供されているので、お客様がご自身で好みの辛さに調節できるようになっています。
オススメメニュー1

冷やし味噌らーめん 1,350円(税込)
「冷やし担々つけ麺」と双璧をなす夏の人気限定メニューです。限定メニューは原則月替わりで商品が変わり、昨年は6月が「冷やし担々つけ麺」、7月が「冷やし味噌らーめん」でした。
スープはラーメン向けに配合バランスを調整しているものの、味わいは「冷やし担々つけ麺」と同じ。変化をつけているのは自家製の具入りラー油で、タマネギとニンニクのみじん切りをカリカリに揚げて具材感を高めたものを添えています。
麺は定番の「味噌らーめん」と同じ食べ応えのある中太ストレート麺です。
オススメメニュー2

特製味噌らーめん 1,400円(税込)
定番の「味噌らーめん」に、チャーシュー1枚、味付たまご、海苔が足された満足度の高い一杯です。
野菜の甘味をたっぷり含んだ自家製味噌とスープの組み合わせが、濃厚ながらも優しい味わいの理由。注文を受けてから中華鍋で野菜を炒め、自家製味噌、スープを加えて作ることで、食欲をそそる香ばしさが加わります。
オススメメニュー3

炙りチーズご飯 250円(税込) ※ハーフ150円(税込)
注文率が3割を超える〝追い飯〟のヒット商品です。お茶碗1杯分の白飯にシュレッドチーズをのせてバーナーで炙り、パセリを振りかけたもの。味噌とチーズの相性が良く、残ったスープに投入して食べると「リゾット」のような味わいに。
ラーメンの麺を半分量で注文するとハーフサイズの炙りチーズご飯(またはトッピング1品)が無料になるサービスを実施。女性を中心に、いろいろな味を少量ずつ楽しみたい客層に好評です。
お店紹介

「ファミレスのように子どもからお年寄りまで『おいしい』と言ってもらえるラーメンでありたい」とオーナーの伊藤良介さん
オーナーの伊藤良介さんは元スーパーフライ級のプロボクサー。引退後はラーメン店での独立開業をめざし、二郎系の「らーめん 陸」(東京・世田谷)、花道庵系の味噌ラーメン店「麵処 花田」(東京・池袋)で修業し、2016年11月に同店をオープンしました。
味噌ラーメンを選んだ理由について「蒲田はファミリー層が多い住宅街であることから、老若男女が食べやすい味噌を選びました」とのこと。2018年にTRY(東京ラーメンオブザイヤー)新人賞みそ部門で2位を受賞してからは遠方からの目的客も加わり、人気店に。2020年3月には2号店を東京・三軒茶屋にオープンさせました。
ところが2号店のオープン直後に新型コロナウイルス禍による緊急事態宣言が発令されるというピンチに見舞われます。これをきっかけにデリバリー販売に挑戦したところ、なんと通常営業時と変わらない売上げを叩き出す大ヒット。平常営業に戻った現在(2024年5月)でも売上げの1割をデリバリー注文が占めているそうです。デリバリー事業に可能性を見いだした伊藤さんは、いわゆるゴーストレストランのスタイルで海鮮丼ブランドなどを展開しており、こちらも好調だそうです。
セルフサービスで野菜ジュースが1杯無料で飲めたり、モヤシを自家製ラー油で和えた「辛子もやし」の食べ放題サービス、先述した麺半量のお客様にトッピングまたは炙りチーズご飯(ハーフ)を無料でつけるといったいくつものお得な施策も、伊藤さんのサービス精神が光っています。
現在は3店舗目を準備中とのことですが、「味噌ラーメンにこだわらず、地元の人に喜ばれるラーメンを作っていきたい」と地域密着の発展をめざしています。
基本情報

店名 | らーめん蓮 蒲田本店 |
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所在地 | 東京都大田区西蒲田8-22-3 インペリアル蒲田1F |
電話番号 | 03-6428-7847 |
営業時間 | 11:00〜23:00 |
定休日 | 無休 |
席数 | カウンター8席/テーブル16席 |
主な客層 | 地元住民、ラーメン好きの若者 |
予算の目安 | 1,300円 |
開業 | 2016年11月9日 |
※掲載内容は取材時点での情報であり、記事内容、連絡先、営業時間などが変更になる場合があります。