【ラーメン】中華蕎麦にし乃

(東京都/文京区)

地下鉄本郷三丁目駅から徒歩数分、大通りから入った細い路地に位置する「中華蕎麦にし乃」。和風の店内にアイドル曲が流れるラーメン店です。「小池系列」グループ店の2店舗目であり、ワンタン麺が人気の「キング製麺」とともに『ミシュランガイド東京ビブグルマン』に掲載された、実績が認められた店。次々と異なるコンセプトの店舗を立ち上げ、いずれも人気店となっている株式会社イノセンス代表・水原裕満さんにお話をうかがいました。

クローズアップメニュー

すだち冷や冷や 1,300円(税込)

「中華蕎麦にし乃」夏の定番メニュー。すだちの輪切りが涼しげな、冷やしつけ麺です。冷たいつけ汁は、柑橘のさっぱりした味わいが夏にぴったり。麺にかけてある昆布水は旨みもたっぷり。

お店おすすめの食べ方は、
(1)何もつけずに麺をそのまま食べる
(2)藻塩を麺に一振りして、そのまま食べる
(3)つけ汁につけて食べる
(4)つけ汁が薄まったらタレを数滴加える
(5)スープ割りをする
の5ステップ。

麺だけでもおいしく食べることができ、つけ汁が薄くなることもなく、スープ割りでスープを最後まで飲み干せるという、行き届いた心遣いを感じる提供です。ちなみに、つけ汁が入ったブルーの器は世田谷の「陶芸工房四季火土(しきかど)」で特注したオーダーメイド品だそうです。

技のポイント1

ラーメンと共通の麺を使って、冷たいつけ麺で提供

「すだち冷や冷や」は、同店のラーメン同様、村上朝日製麺所の細麺を使用しています。これは、つけ汁との相性も良く、麺を仕入れる際の発注効率も考慮した結果。「麺がよく絡んでスープが一緒に持ち上がるので、細麺の方がつけ麺に向いているのではと個人的には考えています」と水原さん。夏は水温が高いので冷水を使って、硬すぎない程度にしっかり麺を締めているそうです。

技のポイント2

冷たい麺にかけて提供する、とろみのついた昆布水

「すだち冷や冷や」は提供する際に、麺に昆布水をたっぷりとかけます。昆布水の作り方は、まず、かつおだしを作って冷ましたところに納豆昆布を加えます。これをひと晩おいて漉した、とろみのついたものを使っています。「昆布水にもだしの味がしっかり入っているのと、つけ汁の塩気をやや多めにしているので、味がほとんど薄まらずに最後まで召し上がっていただけます」

技のポイント3

柑橘を加えたすっきり味のつけ汁と2種類のチャーシュー

つけ汁はラーメンのスープと共通の白だしスープですが、冷たくするのでラードではなく植物性の油を使用しています。白だしスープは、干し椎茸・昆布・煮干しをひと晩水に浸けて漉しただしに、あさりの煮汁・かつおだしを加えて、力強い味わいに仕上げています。そのつけ汁に柑橘の果汁を加えてまろやかな酸味を出し、すだちの輪切りを浮かべてキリッとした酸味をプラスします。

チャーシューは2種類。豚の肩ロース肉を二分して、一方は真空調理、もう一方はオーブンで焼き豚に。レア感のあるものと、焼いた醤油だれの香ばしさ、2種類を味わうことができます。 提供する際には、麺につける藻塩と、つけ汁が薄まったときに使うタレも一緒に。

オススメメニュー1

担担台湾まぜそば(300g) 1,150円(税込)

1軒目の店舗「らぁめん小池」にて開発したという汁なし麺。スープに練りゴマを使用することで担担麺のニュアンスが加わっています。提供する際には、四川料理で多用される花椒(ホアジャオ)のミルを添えて。「四川発祥の担担麺は具が少ないシンプルな料理ですが、台湾まぜそばとして具材を多くしているので、食べ応えがある一品になっています」

オススメメニュー2

マヨチャーシューご飯 250円(税込)

ラーメン店の定番でもあるチャーシューご飯は、チャーシューの端材を活用するメニューですが、なかなか納得のいくものができなかった水原さん。焼肉店に勤めたことがあるスタッフのアイデアで独自のレシピを開発して人気商品のひとつに。「もともとは端材を使っていましたが、人気が出たので、このためにチャーシューを用意することに。うれしい限りです」

お店紹介

「『すだち冷や冷や』は、販売当初から人気商品になるだろうという予感がありました」と語る水原さん(左から2人目)と中華蕎麦にし乃のスタッフ。

ラーメン店にとって夏場は売り上げが減少するシーズンであり、夏向けの冷たいメニューの開発は大命題のひとつです。当然、水原さんも1店舗目の「らぁめん小池」開店時から、夏向けメニューの開発に取り組んでいました。「日本そばや、うどんの冷やかけに匹敵するメニューをと考えていたものの、なかなか納得いくものができなくて。そのため、系列店では8年間冷やしメニューがありませんでした」と水原さん。そして2022年、満を持して登場したのが「すだち冷や冷や」というわけです。夏の冷やし麺として、清涼感と味わいですぐに人気メニューとなって今年で3シーズン目。「お客さまから『今年はいつから?』『いつまで食べられるの?』とSNSにDM(ダイレクトメール)が届くほど、ファンを獲得しているのだとか。「すだち冷や冷や」は7月から9月までの提供ですが、最終日には大勢のお客さまが「今年最後の味」を味わうために行列を作るそうです。

水原さんの経営する通称「小池系列」7店舗の中で「中華蕎麦にし乃」は2店目。その名前の由来は、あるグループの水原さんの推しメン。そのためか、営業中の店内にはアイドルの曲が流れており、和風のインテリアとのギャップも楽しいお店です。ちなみに元はうなぎ店だったという店舗はほぼ居抜きのため、扉にはうなぎをモチーフにした取っ手が。水原さんの遊び心も感じられる空間で、麺を待つ間に音楽とともにカウンター上のフードに書かれたアイドルたちの直筆サインを鑑賞するのも一興です。

基本情報

店名中華蕎麦にし乃
所在地東京都文京区本郷3-30-7
熊野ビル B101
営業時間11:00~15:00
18:00~21:00 
定休日不定休
席数10席(カウンターのみ) 
主な客層目的客、近隣住民
予算の目安1,000円〜2,000円 
開業2018年2月
HPhttps://ramenkoike.com 
X(旧Twitter)https://x.com/nishino_hongo3 
Instagramhttps://www.instagram.com/ramenkoike_tokyo 

※掲載内容は取材時点での情報であり、記事内容、連絡先、営業時間などが変更になる場合があります。