(東京都/中野区)
国産の米を原料にしてフォーやブンなど「生」の米粉麺を特製し、生麺ならではの味・香り・食感が楽しめるベトナム料理の繁盛店が「ビアホイチョップ中野店」です。麺料理は10品前後を揃えていて、多い日では200食を売る人気ぶり。今回は、本場ベトナムではポピュラーな丸麺のブンを使った、蟹味噌のコクが印象的なスープの「ブンリュウクア」について、料理スタッフのヴ―・デン・ジャップさんに伺いました。
クローズアップメニュー

ブンリュウクア(エビ団子入り蟹汁麺) ランチ単品900円、ディナー990円(税込)
ベトナム北部最大の港湾都市ハイフォンの名物屋台料理のひとつです。さっぱりした味わいですが、トマトの酸味と蟹味噌のうま味に、ほのかに感じる辛みのバランスが絶妙です。地元の水田などに生息する淡水蟹を殻ごとすりつぶして作る蟹味噌は、やや淡泊ながらも風味豊か。生の米粉麺はほのかな甘い香りと味わいで、もっちりとした独特の食感がクセになります。 「ブン」とは平麺の「フォー」と異なり、押し出し式の製麺機で作る〝丸麺〟のこと。日本ではフォーの認知度が高いのですが、実は本場ベトナムではブンのほうが親しまれているそうです。
技のポイント1




スープは4時間かけてじっくりとうま味を引き出します
ベースとなるスープは鶏ガラと豚骨にタマネギ、パクチーの根、ショウガ、ニンニク、ヌクマムを加え、水から4時間かけて炊き上げます。そこに、材料写真の後方左の自家製の蟹味噌を調理のタイミングで合わせ、スープを完成させます。
具材は写真の油揚げ、トマト、エビ団子に加えて、サニーレタス、水菜、モヤシ、細ネギ、パクチーの葉といった野菜類が入ります。
専用工場で特製する生のブンは太麺と細麺の2種類を用意。1食の重量は120gです。
技のポイント2



蟹味噌を加えたスープに油揚げ、トマト、エビ団子を入れて味を吸わせます
1食分の調理は、ベーススープ300ccに蟹味噌50gを溶いて火にかけます。ここに油揚げ、トマト、エビ団子を入れてひと煮立ちさせます。同時にブンを茹で始めますが、ゆで時間は約6分です。
技のポイント3






大きくカットしたレタスに具材をのせて盛り付けに立体感を表します
器に辛味調味料のサテを小さじ1杯分入れ、そこにスープだけを注ぎ入れます。次に茹でたブンを入れます。ブンの上を覆うようにサニーレタスを敷き、その上に水菜、モヤシ、細ネギ、煮立てた油揚げ、トマト、エビ団子を盛り付けます。最後に長ネギを素揚げしたフレークとパクチーの葉をふりかけて完成です。 サテはお店で手作りしていて、生の唐辛子、レモングラス、タマネギ、ニンニクを油で煮たラー油に近い辛味調味料です。
オススメメニュー1

蒸し春巻き 650円(税込)
春巻きは、生、蒸し、焼き、揚げとさまざまな調理法でオンメニュー。蒸し春巻きは、豚挽き肉とたっぷりの刻みキクラゲと刻んだ椎茸を合わせた餡を詰め込んだ、さっぱりとしたおいしさです。これをライスペーパーで包み、蒸し器で3分ほど蒸し上げます。ライスペーパーはベトナムの米粉を使用した手作りのもので、もっちりと柔らかく伸びる食感とほのかな甘さで付加価値を高めます。タレは酢、砂糖、ヌクマム、ニンニク、唐辛子を合わせたもの。これにニンジンとキュウリの細切り、もやし、パクチーの葉、ネギの素揚げを盛り付けます。
オススメメニュー2

牛ひき肉のベトナムハーブ包み焼き 990円(税込)
ベトナム、タイなど東南アジア料理では欠かせないコショウ科の植物の葉「ラロット」で、牛挽き肉のつくねを巻いて焼いた肉料理です。ラロットはコショウ科の植物だけに、爽やかな香味を放ち、肉・魚のおいしさを引き立てます。牛挽き肉はみじん切りしたタマネギ、レモングラスと合わせてうま味と香味を付加。粗く砕いたピーナッツを振りかけて歯ごたえや香ばしさをプラスします。ヌクマムに刻んだニンニクと唐辛子を加えた漬けダレは、じんわりとうま味と辛さが伝わる味わいです。
オススメメニュー3

カリカリ海老のレモングラス揚げ 1,290円、ハーフ740円(税込)
米粉をまぶして衣にしたブラックタイガーの唐揚げは、サクッ、プリッとした軽い歯ごたえが人気の一品です。和えている野菜はレモングラスとタマネギをニンニク、塩、砂糖で調味しながらシャキシャキした食感が残る程度にさっと炒めています。刻んだレモンの葉とパクチー、長ネギのフライドをトッピングして爽やかな香味をプラスします。
お店紹介

同店のオープンは2015年11月。高円寺や吉祥寺、下北沢に店を構えるベトナム屋台料理の店「チョップスティックス」の新業態として開業しました。毎年のようにベトナム各地を訪れてベトナム郷土料理を体験。そこで得た知見をメニュー開発に生かしています。
ビアホイとはベトナム産の安価な生ビールの名称で、そこから転じて「大衆酒場」を意味するようになりました。地元の住民から外国人バックパッカーまでが集う独特な空気感に魅了されたオーナーがベトナム酒場を東京に再現すべく開発したのが「ビアホイチョップ中野店」です。
生・焼き・蒸し・揚げの調理法で揃えた「春巻き」や、肉魚の焼き物など1〜2人で食べやすいポーションの一品料理が充実。ビンで8種類を揃えたベトナム・ビールやベトナムスタイルの氷入りビール「ビアダー」とともに楽しむ気軽に居酒屋利用できるメニュー構成です。他方、名物の生麵で提供する麵料理の他に、「越南鶏飯」などのご飯もの、ベトナムスタイルのサンドイッチ「バインミー」といった主食系もバラエティ豊か。食事にも飲み会にも使える、使い勝手の良さも魅力です。
基本情報

店名 | ビアホイチョップ 中野店 |
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所在地 | 東京都中野区中野5-53-1 栗原ビル1階 |
電話番号 | 03-5942-4532 |
営業時間 | 11:30〜14:30、 17:30〜22:00(金・土のみ)〜23:00 |
定休日 | 無休 |
席数 | 35席(座敷席あり) |
主な客層 | 地元住民、アジア料理好きな若者、訪日客 |
予算の目安 | ランチ1000円、ディナー3000円 |
開業 | 2015年11月8日 |
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