【ラクサ】獅天鶏飯ハナレ

(東京都/渋谷区)

渋谷駅から徒歩1分。明治通り沿いの人気店『獅天鶏飯(してんけいはん)』の2号店として誕生した『獅天鶏飯ハナレ』は、“シンガポール料理×大人の町中華”をテーマに、夜のみ営業する一軒。駅前という好立地ながら、店内にはどこか隠れ家のような空気が漂い、渋谷で働く大人たちの”とっておきの行きつけ店“になっています。今回は、そんな同店の名物「ラクサ」にフォーカス。店長の佐藤一聖さんに、人気の秘密をうかがいました。

クローズアップメニュー

ラクサ 海老出汁濃厚スパイシー麺  並  1,375円(税込)※大2,057円もあり

「ラクサ」は、シンガポールをはじめ、東南アジア各地で親しまれている麺料理。本店では名物ランチとして人気を誇り、ハナレでは“締めの一杯”としてはもちろん、この一杯を目がけて足を運ぶ人も多い看板メニューとして愛されています。ココナッツクリームを使う甘くて辛い濃厚スープは、エビの風味が満点。マイルドな口当たりのあとにスパイシーな余韻が広がり、あとを引く味わいです。そこに合わせるのは、平たい米粉麺。スープに負けない存在感があり、モチモチの弾力とつるりとした喉ごしが楽しく、ついつい箸が進みます。

技のポイント1

香味野菜を丁寧にミキサーにかけ、舌触りなめらかなスープをつくる

甘さと辛さが絶妙なバランスのスープ。そのベースとなる「ラクサペースト」を作っていきます。玉ネギやニンニク、赤唐辛子などの香味野菜をミキサーでしっかりとペースト状にします。あらかじめペースト状に攪拌しておくことで、水分が飛びやすくなり、炒める工程の時短にもひと役買っています。なめらかな舌触りのスープに仕上げるためにも、丁寧にミキサーをかけることがポイントです。

技のポイント2

エビの発酵調味料を油になじませ、スープに香りとコクをプラス

油をひいた鍋に加えるのは、東南アジアの発酵調味料「ガピ」。オキアミなどの小エビを塩漬けにして発酵させたもので、“シュリンプペースト”とも呼ばれます。「ガピ」は、タイ料理のトムヤムクンなどにも使われるエビ味噌のようなもの。強い香りとコクが特徴でスープに深みを加えてくれますが、特有の臭みもあるので、それを飛ばすイメージでしっかり火を入れ、エビの香りと香ばしさを油に移していきます」と佐藤さん。

技のポイント3

贅沢な量の干しエビを合わせ、風味際立つ奥行きあるスープに

ガピを炒めた鍋に香味野菜のペーストを加え、干しエビとコリアンダーを投入。より効率的に水分を飛ばすように、干しエビとコリアンダーはドライパウダー状のものを使用しています。じっくり30分ほどかけ、炒めるように煮詰めていくと「ラクサペースト」の完成です。「うちのラクサスープのこだわりは、なんといってもエビの風味。干しエビは贅沢なくらいしっかりと使い、エビ本来の旨みと香りを加えていきます。ガピで引き出したエビのコクに、干しエビの濃縮した味わいを重ねることで、より複雑で奥行きのあるスープに仕上がるんです」。

技のポイント4

ココナッツクリームでさらにコク旨に。ごはんにも合うスープが完成!

スープは、オーダーが入ってから仕上げます。ラクサペーストとココナッツクリームを1:2の割合で合わせたら、さらに同量の水を加えて温めていきます。「ココナッツはミルクではなく、クリームを使うのがポイント。ミルクよりも脂肪分が高く、味に厚みが出て、コク深く濃厚なスープに仕上がります。本店ではランチにごはんを添えて提供していることもあり、“お米に合う味”であることも意識しています。カレーみたいにごはんにかけても、めちゃくちゃおいしいんですよ」。

技のポイント5

麺をスープで煮込み、一体感のある一杯に

スープに、油揚げ・もやし・かまぼこなどの具材を加え、あらかじめ水で戻しておいた米粉麺も投入します。「シンガポールでは、ラクサに合わせる麺は丸い米粉麺や細いビーフンなど、お店によってさまざま。試作を重ね、うちでは濃厚スープに負けないインパクトのある“幅広の平たい米粉麺”を選びました。米粉麺は表面がつるっとしていてスープを吸いにくいので、煮込んでしっかりとスープをまとわせます」。最後に茹でた剥きエビ、コリアンダー、サンバル(唐辛子とニンニクをベースとした辛味調味料)を盛り付けたら出来上がりです。

 

オススメメニュー1

海老の豪快特製炒め ブラックペッパーソース 並2,310円(税込)※大3,465円もあり
蒸しパン マントゥ 1個 176円(税込)

同店で人気ナンバーワンを誇るのが、「豪快特製炒め」。メイン食材はエビまたはソフトシェルクラブから選べ、ソースはチリソースやバターソース、パッポンカレーなど全5種類。なかでも、エビ×ブラックペッパーソースの組み合わせが圧倒的な支持を集めています。

ブラックペッパーソースは、シンガポール料理では定番の味。味付けは醤油とブラックペッパーのみというシンプルな構成で、使用するのはとろみとやさしい甘味が特徴の中国産濃口醤油。日本のたまり醤油にも似た風味ながら塩気は控えめで、見た目の印象よりも軽やかな味わいです。添えられた蒸しパン(マントゥ)に、たっぷりとソースをつけて召し上がれ。

「ビールと相性が抜群の料理です。タイガーや青島のほか、香港のブルワリー『Carbon brews(カーボン ブルーズ)』のクラフトビールもありますのでお好みでどうぞ。最近では、オレンジまたは軽めの赤など、ナチュールワインとのペアリングを楽しむ方も増えています」。

オススメメニュー2

卵と木耳炒め 並1,045円(税込)※大1,562円もあり

やさしい味わいのシンプルな料理は、中国・広東省の料理・ムースーロー(木須肉)がルーツ。「ムースーローは豚肉やオイスターソースを使い、濃いめの味付けでごはんの進む“おかず”ですが、うちでは “箸休め”的な感覚で楽しんでいただいています」。卵はだし巻き玉子をイメージして鍋の中で折りたたむように静かに火を通し、味つけは醤油のみ。たっぷりの鶏スープにとろみをつけてあんかけ風に仕上げ、きくらげにふんわりと絡ませます。どこか和の趣がただよう、大人好みのひと皿です。

お店紹介

「知る人ぞ知る大人な雰囲気の料理店として楽しんでいただきたいです」佐藤一聖店長 

2021年7月、シンガポール料理の期間限定店として新橋にオープンしたのが、同店の始まり。たちまち話題を呼び、コンセプトを「シンガポールチャイニーズ」へと進化させ、渋谷へ移転。2022年4月に本格始動し、2024年4月には2号店『獅天鶏飯ハナレ』が誕生しました。 

大学時代からバックパッカーとして世界を巡っていたという佐藤さん。「将来は飲食業に関わりたい」という思いを抱きつつ、卒業後は一般企業に就職するも、夢を諦めきれずに退職。さまざまな飲食店で経験を積みながら、合間を縫って海外を訪れ、現地の味と向き合い続けたそう。その中で出会ったのが、シンガポール料理。「率直に、“料理がおいしい!”と思ったんです。その頃には居酒屋スタイルの店をやりたいという構想があり、お酒とも合うシンガポール料理なら形にできる、と心が決まりました」。その後、渋谷の「ロブスター&シャンパン Ebizo」で、現在のオーナー・雨宮光希さんと出会い、意気投合。タッグを組み、現在に至ります。 

“大人の町中華”をテーマに掲げる同店では、料理に合わせた酒類にも妥協なし。甕出し紹興酒や白酒などの中国酒に加え、ナチュールを含むワインは常時15種ほどを揃え、飲み放題プランも用意しています。「ほかではなかなか味わえない料理を、気軽に楽しんでいただけたら。ハナレは本店よりも広く、テーブルも大きめなのでグループ利用も多いですが、ひとりでふらっと立ち寄られる方も少なくありません」。 

一杯でも、宴会でも。気取らずに立ち寄れる、渋谷の“ちょっと大人な”隠れ家です。 

基本情報

店名獅天鶏飯ハナレ 
所在地東京都渋谷区渋谷1-24-7 渋谷フラットビル 2F 
問い合わせ03-6712-5363 
営業時間月〜金、祝前日17:00 - 23:30
土祝12:00 - 23:30 
定休日日曜(但し、連休に日曜が含まれる場合、日曜は営業し、連休最終日が休業日に) 
席数38席(カウンター10席、テーブル24席、立ち飲み4席)  
主な客層30代〜40代を中心とする近隣のオフィスワーカー
予算の目安5,000〜6,000円 
開業2024年4月10日

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