【ドレッシング】 〜成城の食卓〜

(東京/世田谷区)

コース料理に欠かせない前菜やサラダ。「成城の食卓」ではその一つひとつに、オリジナリティ溢れる特製ドレッシングを使用しています。比較的手に入りやすい素材も、使い方や組み合わせ次第でとてもユニークな風味に仕上がります。今回は、さっぱり爽やかな「オレンジとクミンのドレッシング」と、濃厚な「ピエモンテ風ツナソースのバーニャカウダ」をクローズアップしました。

クローズアップメニュー (その1)
人参とルッコラ、ホタルイカのサラダ、オレンジとクミンの香り
実、果汁、皮まで、オレンジを丸ごと使った香り高いドレッシングで、ニンジンの千切りとルッコラを和え、同じドレッシングで軽く味つけたホタルイカを添えて、薄くスライスしたペコリーノ(ヒツジの乳のチーズ)をたっぷりかけた。スパイシーなクミンシードとジューシーなオレンジの組合せが女性に人気。
  • 技のポイント1
    オレンジの皮は最初に、果実は最後に加える
    材料はすべてボウルに入れて合わせるが、最初に入れるのはオレンジの皮。よく洗ったオレンジの皮0.5個分を擦りおろし、その後、皮をむき果肉を取り出し別にしておく。このとき果汁はボウルに入れる。続いて白ワインビネガー、オリーブオイル、ハチミツ、塩、クミンシードを加え、よく混ぜ合わせて乳化させる。最後に果肉を加えて出来上がり。材料(4人分)は下記の通り。ワインビネガーの代わりに一般的な穀物酢を使ってもOKだ。
    材料名 配合
    オレンジ 1個
    小さじ1/4
    オリーブオイル 大さじ3
    白ワインビネガー 大さじ1
    ハチミツ 小さじ1
    クミンシード 小さじ1/4
  • 技のポイント2
    ハチミツで味をまとめ、クミンシードで風味を際立たせる
    オレンジ、酢、オイルなど個性ある材料の風味を一体化させるうえで欠かせないのがハチミツ。色や形状などは何でもよく、蜜源植物は問わないが、少量加えるだけで不思議なほど味がまとまる。カレーのスパイスとしておなじみのクミンシードは独特の香りがあり、ドレッシングの風味を格段にアップさせてくれる。
    ここがコツ!
    甘味のある野菜との相性が抜群
    人参やパプリカなど甘みのある野菜との相性がよく、野菜はカット後、軽く塩で下味をつけておくと味がまとまりやすい。ホタルイカは野菜と混ぜないほうが見た目も味もよい。
クローズアップメニュー (その2)
仏産ホワイトアスパラガスと成城産の焼きナス、ピエモンテ風ツナのバーニャカウダソース添え
バーニャカウダといえば、牛乳、ニンニク、アンチョビ、オリーブオイルが基本材料とされるが、生クリームやツナ缶詰を使うことで、手軽に違った風味が楽しめる。野菜スティック全般のほか、茹でたアスパラガスやブロッコリー、ジャガイモなどとの相性もよい。パンのディップとしてもおすすめだ。
  • 技のポイント1
    フードプロセッサーでペースト状にし、生クリームを徐々に加えて滑らかに
    まず、ツナ缶詰、アンチョビ、ニンニク、クルミをフードプロセッサーにかけてペースト状にする。そこに生クリームを加えるが、このとき一気に入れず、何度かに分けて徐々に加えては混ぜるのが滑らかに仕上げるポイントだ。一通り混ざったら鍋に移し、火にかける。残りの生クリーム、オリーブオイルを加えてひと煮立ちさせたら、塩・こしょうで調味。材料(4人分)は下記の通り。
    材料名 配合
    生クリーム 200cc
    オリーブオイル 30cc
    ツナ缶詰 50g
    アンチョビ 10g
    クルミ 10g
    ニンニク 10g
    塩・こしょう 適量
  • 技のポイント2
    生クリームは乳脂肪分43%以上を使用
    生クリームに熱を加える場合の難点は分離しやすいこと。これを防ぐには乳脂肪分が43%以上のものを選ぶのがポイントだ。「成城の食卓」では47%の生クリームを用い、より濃厚でコクのあるソースに仕上げている。
    ここがコツ!
    淡白な味の野菜にたっぷりかける
    一般的なバーニャカウダのように歯ごたえのある生野菜につけるというより、やわらかく茹でた野菜などにたっぷりとかけて食べるのが新鮮。冷やしてもおいしいが、その場合は使う前に軽く混ぜると滑らかになる。

オススメメニュー(ランチコース例)

  • シチリア風イワシのスパゲッティー、サフラン風味
    シチリア地方の名物、イワシのパスタは、中心に穴の空いたブカティーニを用いてオーブンで煮込むのが本来だが、ここでは細いリングイネを使うことで手間と時間を節約した。サフランの鮮やかなイエローとディルのグリーンが美しく、松の実、レーズンによりコクや甘味がプラスされているものの、全体的にはさっぱりした味わい。から炒りしたパン粉が香ばしい。

  • 仏産アスパラソヴァージュと魚沼産のコシヒカリのリゾット
    バターでタマネギをソテーし、コシヒカリを加えてさらに炒める。ここでよく油を吸わせることでお米の煮崩れを防ぐ。白ワインを加え、さらにブイヨンスープを少しずつ加えながら煮込み、お米がアルデンテになったら火を止め、粉チーズを入れてよく混ぜる。ポイントは煮込んでいる間の温度を一定に保つこと。冷たいスープなどを入れて温度を下げてしまうとお米が割れる心配がある。仕上げに茹でたアスパラソヴァージュを乗せチーズをかける。

  • 北海道産アンガス牛とトマトのロースト、生のマッシュルームとバルサミコ酢のソースで
    アンガス牛を用いたローストビーフをスライスし、バルサミコ酢、赤ワイン、オリーブオイルを煮詰めたソースをかけた。そこにトマトのロースト、トリュフスライサーでごく薄くスライスしたフレッシュなブラウンマッシュとチーズ、ルッコラをトッピング。赤身が多くあっさりしたアンガス牛の特徴を活かした爽やかな肉料理。

  • サンブーカ風味のグレープフルーツのジュレとアマレット風味のズッパイングレーゼ
    グレナデンシロップで赤く色付けたサンブーカ風味のグレープフルーツのジュレと、スポンジにアプリコットジャムとアマレットを染み込ませたズッパイングレーゼとを組み合わせた。お酒に弱い人なら酔ってしまいそうなほどリキュールを効かせたところがイタリアンデザートらしい。

  • お店紹介
    山口高シェフ
    成城生まれ・成城育ちの山口高さんは高校卒業後、都内のイタリアンレストランなどに18年間勤務。その後、「日本人に合ったイタリア料理」をコンセプトに、自宅を一部改装して「成城の食卓」をオープンした。1日2組限定・完全予約制のイタリアン懐石は地元で暮らす夫婦などに人気。ただし、同店のメインはあくまで料理教室とケータリングで、都心の企業や個人宅が主な顧客だ。「さまざまなコースを用意していますが、お好みに応じてアレンジします」と山口さん。素材に地元産の西洋野菜を多用するなど、成城を愛する山口さんならではの料理で、多くの人に豊かな時間を提供している。
  • 基本情報
    住所 東京都世田谷区成城5-19-14
    電話 03-6677-0271
    営業時間 ランチ
    11:00~13:00(L.O)
    ディナー
    15:00〜20:00(L.O) 
    定休日 不定休
    席数 10名くらいまで対応可
    1日の客数 ランチ、ディナーとも1日1組限定
    主な客層 グループ、カップルなど
    予算の目安 ランチ 4,900円〜
    ディナー 7,800円〜
    開業 2009年3月
    • ケータリングについては別途プランを設けている。
  • 掲載内容は取材時点での情報であり、記事内容、連絡先、営業時間などが変更になる場合があります。