【冷やし中華】 〜同發本店〜

(神奈川/横浜市)

自慢は、焼物の叉焼(チャーシュー)。横浜中華街の老舗の一つで広東料理の名店、「同發本館」。専門の料理人が毎朝6時から仕込む叉焼は特に有名で、店先の窓越しに焼き上がると吊るされる叉焼は道行く人を引き寄せる力がある。まさに、お店の自慢と言い切るにふさわしい。その叉焼が具の1つにラインナップされる同發特製冷やし中華をクローズアップしました。

クローズアップメニュー 
同發特製冷し中華 960円(税込み)
6月〜8月頃にだけ食べられる期間限定の人気メニュー。きれいに細切りされた叉焼、レタス、きゅうり、錦糸卵、かまぼこ、くらげ、紅しょうがの7種類の具材と細めの麺に、甘酢のしょうゆだれ。口に入れた瞬間、甘い味が広がり、飲み込むと、まろやかな酢の酸味を感じる同發のたれ。仕上げに振りかけるごまの香りもいい。「ふつうのどこにでもあるような無難な味なんですよ」と甘酢だれ味の冷やし中華を説明するのは48年間、この味を守り続けてきた今井清晴チーフ。“無難な味”は長い時を超えて多くの人に愛されてきた味でもある。
  • 技のポイント1
    酢は一度沸騰させて角がとれたまろやかな味に
    お店のメニューにある「くらげの冷製」用に作っている合わせ酢(自家製ミックス酢)を、たれのベースにしていることがポイント。酢、砂糖、塩の割合は秘伝。合わせ酢を作るとき、酢を一度沸騰させると角がとれた味になる。この自家製ミックス酢を使っているので、まろやかな甘酢だれに仕上がる。
  • 技のポイント2
    澄んだタレは、冷ましたスープに酢をまぜて作る
    たれの材料は、鶏ガラスープ、砂糖、ミックス酢、醤油、サラダ油等。材料は、通常20人分ずつ正確に計量する(写真は1人分)。砂糖を、熱い鶏ガラスープで完全に溶かした後、“一度冷やすこと”がポイント。熱い鶏ガラスープに酢を入れるとたれが濁ってしまうので、完全に冷えたら、ミックス酢、しょうが汁、醤油、サラダ油、ゴマ油を混ぜてたれの出来上がり。
  • 技のポイント3
    具材はあらかじめ別皿で形を整えておく
    7種の具材をそれぞれ細切りにする。7種の具材は一人前分ずつ、事前に丸い平皿に並べて数枚用意しておく。注文が入ると、冷やし中華皿にたれを入れ、茹でて水でしめた麺を盛ったら、丸い平皿に並べた具材を一気にスライドさせて、麺の上にのせる。注文が入ってから具材を用意していては間に合わないからだ。
  • ここがコツ!
    冷やし中華の麺は柔らかめに茹でて、冷水でしめる
    使用している麺は、細めの麺。五目そばなどと同じ麺を使うが、汁そばの麺よりも、茹で時間を長めにし、柔らかめに茹でて、冷水でしめる。冷たくしまった麺の食感、のどごしがいい。

オススメメニュー

  • 網油酥炸巻(五目入り巻揚げ) 2,100円 Sサイズ 1,400円(税込み)
    創業当時からある広東料理のメニュー。筍、叉焼、海老、カニ、細切りネギ、しいたけの具材を網油で巻いて揚げた一品。筍、海老、椎茸はそれぞれ茹でて、しっかりと水分をしぼっておく。これらの具材を、塩、砂糖、その他調味料で和える。網油は、広げて片栗粉をひき、味付けした具材を巻いて油で丁寧に揚げる。一度揚げた後、丸一日程置いてからもう一度揚げる二度揚げがポイント。時間をおいて二度揚げすることで、皮とともに中の具材もカラッとする。皮がカリッとして、口の中で具材がホロっと広がり、それぞれの食材の食感が楽しめる。一日にかなり数の出る人気のメニュー。具材にしっかり味がついているので、前半はそのまま、後半はレモン汁をかけて食べるのもおすすめ。
  • 叉焼拼焼肉 1,980円(税込み)
    同發といえば、焼き物。明治の創業時からある叉焼と皮付き豚バラ肉の焼物、両方が味わえる一皿。叉焼は、豚の肩ロース肉を醤油ベースの特製のたれに漬け込んで釜の中で焼く。しっかり中まで味がしみこみ、しっとりとした肉の味わいが楽しめる。一方、皮付き豚バラ肉の焼物は、脂身の上に薄く皮を残した豚バラ肉に、肉側に塩を主体とした下味をつけて、釜で焼く。時々焼き目を返しながら焼き上げることで、カリっとした皮の食感が出る。それは、お客様に「揚げているのですか?」と聞かれるほど。カリッと感じられる焼き加減は、その日の温度・湿度によっても違うので、お天気にあわせて毎日焼き加減を調整している。ともに、毎朝6時ごろから仕込み、1時間前後で焼き上がる。毎日100本以上は出るという叉焼は、毎日出来たて。
  • お店紹介
    今井 清晴チーフ(左)、齊木 真二マネージャー(中)、小知和 祐貴さん(右)

    明治時代後期に、焼物、乾物の雑貨店として現在の地に創業。戦後、横浜に着いた船乗りさんたちが食べるところがなくて、彼らのためにレストランを始めたのが中華料理店としての始まり。当時、料理店は数件しかなく、中華街はそんな歴史から発展してきた。「創業者は、広東出身だったので、家庭で食べられるような広東料理から始め、徐々に、いろいろな料理も取り入れ、日本人の口に合うように改良し、メニューが広がって来ました」と齊木真二マネージャー。
    歴史が長いだけに、お客様も幅広い。祖父母と一緒に来たお孫さんたちも、いつしか常連になっている。多世代にわたって幅広い年齢層に愛されるお店。
    明治創業からお店の場所は変わらない。建物は、27年前に建て替えているが店内の雰囲気は、創業当時にタイムスリップでもしたようだ。先代社長が選んだというフロアごとに違う絵を施した青い窓ガラスも、横浜らしい異国情緒を感じさせる。
    「きちんとしたおいしい料理をお客様に提供し続けて行きたい」と老舗として、時代とともに変遷しつつも正統的な広東料理を残して行く使命感を感じる。
  • 基本情報
    店名 中華菜館 同發 本館
    住所 横浜市中区山下町148番地
    電話 045-681-7273
    営業時間 11:00~21:30
    (L.O.20:30 )
    定休日 第1・第3火曜日
    席数 90席
    主な客層 老若男女問わず幅広い年齢層
    予算の目安 ランチ750円~
    ディナー4000円前後
    HP http://www.douhatsu.co.jp
    開業 明治時代後期

    ※  焼物類はすべて店頭販売しています。

    姉妹店 :
    ■中華菜館 同發別館
     横浜市中区山下町148番地
     045-681-6331
    ■新館売店イートイン
     横浜市中区山下町164番地
     045-681-8808
    ■新売店
     横浜市中区山下町148番地
     045-681-2976

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