【冷やし中華】 〜萬珍樓〜

(神奈川/横浜市)

豪華絢爛なエントランスを入ると、あたたかいスタッフが出迎えてくれる横浜中華街の老舗「萬珍樓」。その時代に合った味にアレンジしながらも、120年続く伝統を受け継いでいる。11年前のリニューアル時に考案された冷やし中華は、「萬珍樓」のエッセンスが凝縮された逸品。2種のたれでいただくスタイルが人気だ。彩り豊かな夏の定番メニューをクローズアップする。

クローズアップメニュー 
彩り冷やし中華 1,700円(税込み)
冷し中華用に厳選された麺に、彩鮮やかな具材が盛りつけられる。添えられた“たれ”は醤油ベースとごまベースの2種類。注文時に味を選択するのではなく、食べるときに選べるのが、萬珍樓の人気のスタイルだ。「混ぜるとさらにおいしいですよ」という鍾德輝料理長と、宮下直之副料理長の言葉通り、最初にかけた醤油だれに、濃厚なごまだれを追加していくことで、一皿で何通りもの味を楽しむことができる。「これからもこの冷やし中華のスタイルは、お店定番の一皿として変えずに提供していきたい」という。
  • 技のポイント1
    口当たり良く丸みのある酢でさっぱりした味わいに
    彩り冷やし中華の具材は、エビ、くらげ、和豚もちぶたの自家製叉焼(チャーシュー)、イカ、トマト、甘辛く煮た干ししいたけ、きゅうり、レタス、錦糸卵の9種類。基本的に具材が変わることはなく、このスタイルを定番としている。
    お店で使う酢は、白酢など数種類。醤油だれは、口当たりのよい、丸みのある酢を使う。口に含んでも、酢がツンとすることはなく、酢の持つさっぱりした味わいが感じられる。
  • 技のポイント2
    混ぜたときの味まで考えて、2つのたれを整える
    醤油だれは、丸鶏、豚などで炊きだした萬珍樓のスープに醤油、酢、砂糖、しょうがなどを加えて作る。ごまだれは、スープ、炒ったごま、調味料で味を整える。ごまだれは、醤油だれに溶かすことを前提に少し濃い目の味付けと粘度に仕上げている。食べるときは、まずさっぱりさわやかな醤油だれで味わい、次にごまだれを混ぜると、濃厚だけどしつこくない、ごまの風味が味わえる。
  • 技のポイント3
    たれが絡みやすい中太麺はコシの強さにもこだわる
    冷やし中華専用の細すぎず、太すぎずたれが絡みやすい中太麺。冷やし中華では、麺を冷やして食べるので少し硬く感じることがある。そこで、コシが強すぎず弱すぎずバランスのよい麺を製麺業者と一緒に試行錯誤して作り上げた。
  • ここがコツ!
    ごまの風味を引き出すのは炒り具合
    香りからも濃厚さが感じられるごまだれ。風味を引き出すこつは、炒り具合。火加減と炒り時間によってごまの風味が変わるので、風味を最大限引き出す絶妙な火加減と炒り時間を工夫し、探し出している。
     

オススメメニュー

■大山鶏のレモンソースかけ 2,300円 小:1,900円(税込み)
一年中コンスタントに人気があるメニュー。広東料理の定番だ。火のとおりが均一になるように開いたもも肉に、塩ベースの下味をつけ、片栗粉を薄くまぶして油で揚げる。レモンソースは、レモン果汁、砂糖、ザラメ、塩、酢などの調味料で味付けをし、片栗粉でとろみをつける。揚げたもも肉にレモンソースをかけて出来上がり。レモンソースは、レモンのすっぱさを感じるものではなく、砂糖等で味付けしたレモン風味の甘酢のようで、カリッと揚げたもも肉にたっぷりかけて食べたくなる。酢は、冷やし中華でも使用しているまるみのある酢を使用。夏はさっぱりとするし、冬は甘酢のとろみが体を温かくさせてくれる、まさしく一年中食べたくなる一皿である。

■燕の巣蟹肉スープ(一人前)2,300円(税込み)
穴燕の巣は、美肌効果、エイジングケア効果のあるシアル酸を含む高級食材。穴燕の巣を湯でもどし、きれいに掃除をする。スープは、丸鶏、豚、豚のもも肉、金華ハムを長時間煮込んで出した萬珍樓のスープに、塩ベースの調味料、蟹肉を入れ、片栗粉でとろみをつける。最後に卵白でとじて出来上がり。昔は、清湯(すまし汁)に塩味だけのシンプルなスープも出していた。高価でも医食同源にのっとった一品。現在は、お客様の好みも考え蟹肉入り。塩味のやさしいスープと蟹肉、少し感じる燕の巣の食感、そしてふわっとした卵白が一体となったスープを口に入れると、ホッとして身体が健康になったような気がする。
          
  • お店紹介
    (左)鍾 德輝 料理長(右)冨田 清志 支配人

    明治25年創業。創業者である先代の社長が広東出身。多数ある中華料理のメニューを広東風にお出ししてきた。現在の料理長は、香港出身の鍾德輝氏。香港の味を、知識、経験とともに日々の勉強で、日本人の舌に合うメニューを考えている。進化しつつも、昔ながらの味も大切にする、老舗だからこその伝統も守り続けている。毎朝オープン前の打ち水も続けるべき伝統の一つ。
    広東料理は素材を活かすという料理だからこそ、食材選びにはこだわりがある。全ての産地を把握し、その食材の持つ特性を踏まえメニューを考えている。素材の持つ持ち味だけで料理をし、安心、安全の料理を提供するのがモットー。
    「老舗として地元に愛され、また観光地としても中華街で選んでもらえるお店になるようまごころをこめた料理と、もてなしの心を守り続けて行きたい」と冨田清志支配人。
  • 基本情報
    店名 萬珍樓
    住所 横浜市中区山下町153番地
    電話 045-681-4004
    営業時間 11:00~22:00
    (L.O. 料理、ドリンクともに21:30)
    定休日 年中無休
    席数 459席
    主な客層 老若男女問わず幅広い年齢層
    予算の目安 ランチ2,000円~
    ディナー6,000円前後〜
    ※サービス料が別途10%かかります。
    HP http://www.manchinro.com
    開業 明治25年

    姉妹店 :
    萬珍樓點心舗
     横浜市中区山下町156番地
     045-664-4004
    萬珍樓売店 中華街大通店
     横浜市中区山下町153番地
     045-681-0017
    萬珍茶房(新山下店) 工房直売店
     神奈川県横浜市中区新山下3-1-6
     045-622-4114

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