【焼肉】~叙々苑 游玄亭 有楽町マリオン店~

(東京/千代田区)

安さとボリュームをうたう店がどれだけ増えようと、ちょっと特別な日に、家族でおいしい焼き肉を食べたいと思ったら「叙々苑」へ、という人は多い。素材の良さもさることながら、火の通りを良くするための切り方の工夫や、素材によって使い分けるたれなど、随所に細やかな仕事が生きている。子どもからお年寄りまで、幅広い層に愛されるおいしさの秘密に迫った。

クローズアップメニュー (その1)
すだれ炙り肩ロース焼 3,200円(税別)
「肉は厚い方がうまい!」という社長の考えから生まれたメニュー。たっぷり100グラム以上あるステーキ状の肉は、表面にすだれ状の切り込みを入れ、もみだれをもみこんだ状態で供される。しょうゆベースのもみだれは、子どもからお年寄りまで幅広い層に愛されるほんのりとした甘口。あっさりしているので、肉のうま味をじゃましない。ちなみに、ここ叙々苑では、たれの味はすべて社長自らが研究を重ね、常に改良を加えている。そのためレシピは、社長以外はごく限られた人しか知らない“秘密の味”とのこと。

技のポイント1

  • 肉を網に広げると、その美しさに思わず歓声が
    肉にしっかり切り込みが入っているため、焼き網の上に扇のように広げれば、目にも美しく、食欲をそそる光景だ。火の通りも早いので、まだ半分くらいピンクの部分が残っている段階で、はさみで一口大にカットし、あとは好みの焼き加減まで焼く。好みでニンニクチップをくるんで食べると、さくさくとした食感がいいアクセントになる。
クローズアップメニュー (その2)
壺漬カルビ焼 3,300円(税別)
壺の中には、肉以外に、エビ、ニンニク、りんご、トウモロコシ、しし唐辛子、玉ねぎ、長ねぎ、赤唐辛子と実に盛りだくさんの具が。漬けこんでいるのは、肩ロース焼きと同じ、しょうゆベースのたれだが、それぞれの素材のうま味がたれに移って、より深い味わいになっている。

技のポイント2

  • かたまり肉は切れ目を入れて、すばやい焼き上がり
    長さ30センチもありそうな、棒状にカットしたカルビ肉は、表面に丁寧に切れ目が入れられているため火の通りが早く、たれもしっかりとからむ。四つの面をそれぞれを数十秒ずつ焼いたら、ハサミで切り、あとは好みの焼き加減までじっくりと。たれのからんだりんごやトウモロコシも、意外な美味しさで人気。
クローズアップメニュー (その3)
ネギ赤身ロース塩だれ焼 2,500円(税別)
きれいなさしの入った薄切りロース肉の上に、魚介系のダシも加えてあっさりとした塩だれと和えた、みじん切りの長ねぎがたっぷり。肉でくるんで焼くと、肉汁と脂で長ねぎが蒸され、ねぎ特有の辛味がねっとりとした甘さに変わる。長ねぎ好きにはたまらない一品だ。

技のポイント3

  • 長ねぎは肉でしっかりくるむ
    肉は焼く前に二つ折りにし、餃子を作る要領で、端を軽く押さえてから網に乗せるのが、長ねぎをこぼさずきれいに焼くコツ。薄切り肉なので、焦げ目がつかなくても、上下を返して全体が白っぽくなれば、中まで火が通っている。
クローズアップメニュー (その4)
牛ホルモン 上ミノ焼 1,700円(税別)
独特の臭みが苦手という人が多いホルモンは、味の濃い味噌ベースのたれ(通称・ホルモンだれ)でもみこまれている。甘さのなかにも、ほんのりとしたコチュジャンの辛味とニンニクの香りが食欲をそそる。

技のポイント4

  • 新鮮な肉だから歯ごたえはありつつも柔らか
    ミノ特有のシャキシャキとした歯ごたえを楽しんでほしいと、一切れ一切れはかなり大ぶり。しかし素材が新鮮で、かつ深めに切り目が入れられていることもあって、さっくりと噛み切りやすい。
  • 3種のつけだれ
    味に変化を生む、個性的な3種のつけだれ
    各人に供されるつけだれ。左から、果汁入りのコクのある甘さが特徴の「本だれ」、生果汁の香りが爽やかな「レモンだれ」、「辛口だれ」は刻んだ青唐辛子を入れた大人の味。もみだれだけでも十分おいしいのだが、味に変化が欲しいとき、ごはんのおかずにしたいときには欠かせない名脇役だ。
  • オススメメニュー
    叙々苑サラダ 800円(税別)
    薄切りキュウリとサラダ菜の、シンプルなグリーンサラダ。特にサラダ菜は、葉っぱが柔らかく変色しやすいため、注文を受けてから作るというこだわりの一品。味付けはごま油としょうゆをベースにしたもの。野菜はしっかりと水を切ってから、葉の裏側までしっかり味が行き渡るよう、まんべんなく、ふんわり混ぜるのがポイント。
  • お店紹介
    沢風 光彦 店長(左)、橋本 勝義 料理長(右)

    1976年、六本木に生まれた店から始まり、今や都内を中心に56店舗もの直営店を運営する叙々苑グループ。焼き肉店の常識を覆す演出を次々と取り入れ、今では高級焼き肉の代名詞的存在だ。なかでも都心を中心に展開する「游玄亭」は、高級感あふれる空間作りやもてなしのクオリティにおいて、叙々苑グループの最高峰。
    「游玄亭有楽町マリオン店」は、先ごろリニューアルし、黒を基調としたシックなインテリアに生まれ変わった。「昼間は周辺のビジネスマン、休日は家族連れや観光客。同じフロアにある映画館からの帰りの映画ファン、新幹線の発着を見渡せる窓際の席は、お子さま連れや鉄道ファンの方など、本当に幅広い層のお客さまにご利用いただいています」と、沢風光彦店長。JRや地下鉄の駅からのアクセスがよく、場所がわかりやすいことも人気の理由だ。
    こだわりは、グループ全体のモットーでもある「良質吟味、おいしさが最良のサービス」。肉の産地やクラスを自慢するより、誰もが美味しく食べられる「安心・安全」な素材を使うことを重視する。社長自らが日々研究を重ね、レシピもごく限られたスタッフが知るだけという“たれ”は、常にフレッシュな味わいを楽しめるよう材料はすべてお店で調合。しかも全国どのお店に行っても同じ味になるよう、そこには厳密なルールがあるのだそう。「常に進化している叙々苑では、“創業以来変わらぬ味”はひとつもありません」(沢風店長)。その進化し続ける姿勢こそが、叙々苑の“変わらぬスタイル”だ。
  • 基本情報
    店名 叙々苑 游玄亭 有楽町マリオン店
    住所 東京都千代田区2-5-1 有楽町マリオン11階
    電話 03-3218-8989
    営業時間 11:30~22:45
    (ラストオーダー)
    ※ランチタイム 11:30~16:00
    定休日 無休
    席数 112席
    主な客層 平日はビジネスマンやOL、休日は家族連れや観光客。
    外国人観光客も多い。
    予算の目安 ランチタイム 1,700円~
    ディナー 1万円前後
    HP http://www.jojoen.co.jp/
    開業 1976年


    ※東京駅を発着する新幹線が見下ろせる窓際のテーブルは、家族連れなどに人気。予約もできる。

  • 掲載内容は取材時点での情報であり、記事内容、連絡先、営業時間などが変更になる場合があります。