【焼肉】~鹿浜 スタミナ苑~

(東京都/足立区)

閉店後の午前零時。換気扇や壁など、店の隅々まできれいに掃除をし終わった深夜の店。しかし、まだ厨房は終わらない。「ホルモンは鮮度が命。素材が大事なんだよ」と、ホルモン担当の豊島雅信さん。客に新鮮なホルモンを食べてもらいたい一心から、毎日深夜に下ごしらえをする。素材にこだわり、その素材にあった食べ方や味の探求は半端ではない。そんなスタミナ苑のホルモンをクローズアップする。

クローズアップメニュー (その1)
ミックスホルモン(塩) 1,700円(税込み)
素材に自信を持っているからこそ、素材の味を楽しめる塩がオススメ。ホルモン(シマチョウ)、センマイ、コブクロ、ハツ、ギアラの5種類を特製の塩ダレで和える。ホルモン(シマチョウ)は、流水で洗う時、うま味を逃がさないよう程よく脂を残し、粘度を残す。噛みやすくするため、繊維を切るように隠し包丁も入れる。センマイは、厚い部分を焼き用に選ぶなど、部位ごとに素材を活かす下ごしらえが施されている。新鮮な素材と、丁寧で素早い下ごしらえにより、くさみはまったくない。シコシコ、コリコリと、一品でたくさんの味と食感が楽しめる一皿。「お酒と一緒に食べるなら塩が一番」(豊島雅信氏)。
  • 技のポイント1
    微妙な感覚によって、その日毎に最適の塩ダレを
    焼き塩、胡麻、胡椒、わさび、日本酒、ねぎに、企業秘密の調味料を混ぜて作る塩ダレ。焼き塩以外は目分量。厳密に計量すれば毎回分量は微妙に違っているはずだが、その違いによって、その日の最適なタレが出来上がる。この感覚は経験の賜物。塩ダレ以外のタレも、よりおいしい味を求めて常に変化し続ける。
  • 技のポイント2
    おいしい食べ方の飽くなき探求
    「すき焼きみたいに、焼き肉も卵につけて食べたっていいじゃない」と豊島雅信さん。焼いたミックスホルモン(塩)を卵につけて食べる。さらに、溶き卵にポン酢を入れてみるなど、こうしたらおいしいかなと発想し、挑戦してみることが大事。そこから意外なおいしさに出会える。
クローズアップメニュー (その2)
ホルモン(タレ) 1,050円(税込み)
最後の晩餐に何が食べたいかと聞かれれば、僕はホルモンのタレと白いご飯だね」と微笑む豊島雅信さん。それほど、ホルモン(タレ)はご飯に合って、おいしい。ホルモンダレであえる甘辛い味付けは、こんがり焼いてそのまま食べてもちょうどいいが、甘めのつけダレをちょっとつけると、さらにご飯が進む一品に。コチジャンを加えれば辛さが増して、また違うおいしさが味わえる。まずはホルモンの塩を堪能してもらい、もう一皿食べたいというお客さんに、二皿目はタレがオススメ。

技のポイント1

  • うま味の秘訣の1つは昆布
    ホルモンダレは、1種類の味噌だけでなく、複数の味噌を混ぜる。使う味噌は7種類。さらに、いろいろな調味料を加えてつくる。調味料の中では、昆布茶を使うこともあり、他のメニューにも昆布のうま味を隠し味として使っている。

技のポイント2

ホルモンにあう味付けの特徴は「甘っ辛い」
牛肉と砂糖は非常に相性がいい。ホルモンに合う味付けの特徴は「甘っ辛い」。この辛いは、とうがらしの辛さではなく「醤油のしょっぱさ」。甘すぎて少し角があるくらいがいい。ホルモンは、まずホルモンダレを和え、次に醤油と砂糖をベースにして作ったタレを和えて、甘っ辛い下味をつける。焼いてそのまま食べてもちょうどいい味に仕上げているが、甘めのさらっとした醤油のつけダレが添えられる。

オススメ メニュー

レバー塩 1,000円(税込み)
レバーの皮は手ではがすと断面に凹凸ができるため、包丁ではがす。つるつるできれいな断面には理由があったのだ。5kgのレバーの塊を1時間余りかけ、わずかなスジも見逃さず、丁寧にスジを取り除く。焼いて食べると、くさみがなく、しっとりとしたレバーは絶品。つけダレは、火を入れることで香りが豊かになる焙煎胡麻油と塩。

特別メニュー

  • 牛テール蒸し
    誰もが食べられるわけではない特別メニュー。博多の店で蒸し牛テール料理を見つけ、さっそく独自の味付けを試行錯誤。牛テールの蒸し時間は4時間。その間、鍋のそばにいる必要がある。手間がかかるので、毎日作るというわけにはいかない。塩、胡椒、日本酒、ニンニクに、企業秘密の調味料で作ったタレを和えて出来上がり。ビールの進む一品。常連さんも出会えたらラッキーの特別メニュー。
  • お店紹介
    豊島 雅信さん

    創業は47年前。社長である兄の豊島久博さんがお店を始め、その後、弟の豊島雅信さんが加わり、兄弟二人で店を守り続けて来た。久博さんは、正肉の担当。店で扱うのは、A5の処女牛、それも月齢36カ月以上のみ。弟の雅信さんは、ホルモン担当。仕入れる肉は、業者に任せ、その時々で一番店に合ったものを届けてもらう。これは、長い年月をかけて築き上げた信頼関係があってこそできること。雅信さんは、中学卒業以来、ホルモン一筋。「焼き肉しか知らないけど、41年経ってもまだ奥が深い」と言う。いまは、手近にある食材から新しい料理を創造することが楽しい。「これとこれを組み合わせたらきっとおいしいものになると、常に味をイメージし続け、メニューを開発する。挑戦をやめたら終わり」と力強く語る。
    終始笑顔で語る雅信さんだが、営業終了後の深夜、ホルモンの下ごしらえする毎日は、過酷とも言える。それもすべて、「お客さんにおいしい焼き肉を食べてもらいたい」という想いから。業者から届く新鮮な内臓を、鮮度を保って客に届けるためには深夜の仕込みが必須なのだ。この熱い想いが生み出す、ここでしか味わえない焼き肉が、多くのファンをスタミナ苑に引きつけている。
  • 基本情報

    店名 鹿浜 スタミナ苑
    住所 東京都足立区鹿浜3-13-4
    電話 03-3897-0416
    営業時間 月、水~金の平日 
    17:00~23:00
    (L.O.22:30 )
    土日祭日 
    16:30~23:00
    (L.O.22:30 )
    定休日 毎週火曜日・第3水曜日定休
    (※第3月曜日の週の水曜日は定休)
    席数 50席
    主な客層 幅広い年齢層
    予算の目安 ディナー7,000円前後
    HP http://www.sutaminaen.com/
    開業 1967年
  • 掲載内容は取材時点での情報であり、記事内容、連絡先、営業時間などが変更になる場合があります。