【エスニック】 シンガポール 海南鶏飯 水道橋本店

(東京都/千代田区)

タイ料理やベトナム料理に比べて日本人にはまだまだなじみの薄いシンガポール料理ですが、中国料理をベースにマレーやインドの食文化を融合したその味はまさに“いいとこ取り”。食べやすく、飽きのこないバランスの良さなど、魅力いっぱいのエスニック料理です。そんなシンガポール料理を本場の風味そのままに提供する専門店として開業し、10年目を迎えた「シンガポール 海南鶏飯(ハイナンチーファン)」では、おなじみの屋台料理「海南鶏飯」を看板メニューとし、現地の味を再現しつつ盛りつけやソースに独自のアレンジを加えて提供。シンガポール駐在経験のあるビジネスパーソンやその家族に強く支持されるなど多くのリピーターを獲得しています。
クローズアップメニュー 

南鶏飯ハーフ&ハーフ ランチ950円(税込) ディナー990円

海南鶏飯は、チキンスープで炊いたご飯の上に、野菜と茹でた鶏肉、あるいは揚げた鶏肉を乗せ、ソースをかけて食べるシンガポールの代表的屋台料理。「シンガポール海南鶏飯」ではこれをレストラン風にアレンジし、チキンライスと肉を別々に盛りつけ、中国の漬け物やキャベツを加えたチキンスープを添えた。鶏肉は基本的にムネとモモのミックスで、「蒸し」と「揚げ」のどちらかを選べるほか、双方を半分ずつ盛りつけたハーフ&ハーフもある。またソースも個性的な3種を用意。さまざまな味、食べ方を楽しめるセットメニューに仕上がっている。
技のポイント-1
 
キレス腱部分がはじけたら火を止め氷水にさらす
肉のパサパサ感をなくしジューシーさを残して調理するため、大きな寸胴鍋に薄い塩水と丸鶏を入れ、沸かしながら茹で、沸騰後はとろ火で管理。アキレス腱部分の肉がはじけたら茹で上がったと判断し、その瞬間、素早く火を止め肉を丸ごと氷水にさらす。茹で上がった麺類を冷水で締めるのと同じ要領だ。氷水で締めた鶏肉はももの付け根、腹、背などにナイフで軽く切れ目を入れた後、人の手で解体する。
 
技のポイント-2
 
薄い塩水に浸すことでジューシーさを維持
茹でたままで使用する分はごく薄い塩水(塩分濃度1%未満)に浸してペーパータオルとサランラップで覆って保存。揚げて使用する分は170℃くらいの油で4〜5分揚げた状態で保存し、注文が入ってからもう一度揚げてアツアツの状態で提供する。
 
技のポイント-3
 

チキンライスはバンダンリーフで香り高く仕上げる

チキンライスはタイ米の中でも最高級のジャスミンライスを使用。これを軽く洗い、チキンスープ(肉の茹で汁)、オリジナルのチキンライスの素(ニンニク、ショウガ、レモングラス、鶏油、塩、うま味調味料をミキサーにかけたもの)とともにガス釜で炊く。1回に炊く量は短時間で使い切れる2.5kgが基本。トウモロコシにも似た甘くこうばしい香りのヒミツは、お米2.5kgに対し2枚使うシンガポール直輸入のバンダンリーフ(タコヤシの葉)だ。
技のポイント-4
こだわりのソースでさらにおいしく
肉につけるソースは、醤油とカラメルを合わせた濃厚なダークソーヤソース(シンガポール直輸入)と、自家製チリソース、自家製ネギとショウガのソースの3種。チリソースはトウガラシ、酢、ナンプラー、砂糖を和えたもの。ネギとショウガのソースは、みじん切りにしたネギ・ショウガを塩とわずかなうま味調味料とともにボウルに入れ、熱したサラダ油をかけながら交ぜることで、香味野菜を焦がさずに香りを引き出している。
オススメメニュー 1

シェフ特製 バタープロウン 1,580円(税込

殻ごと食べられるようにからりと揚げた大きなエビに、バターとココナツ風味のパウダーをたっぷりかけた自慢の一品。パウダーは、バターを熱したところに卵を糸状に少量ずつ流し入れてパラパラに炒り、いったんザルに上げて油を切ってから、ココナツ、レモングラスを加えて水分が飛ぶまで炒って作る。エビとパウダーの風味、食感が相乗的に楽しめる。

オススメメニュー -2

ナジゴレンプレート ランチ970円(税込) ディナー1,200円(税込)

インドネシアやマレーシアの焼き飯料理として知られるナシゴレンは、ジャスミンライスと日本のお米を半々で使用し、エビのペーストとサンバルベラチャンでコクのある味に仕上げている。付け合わせは目玉焼き、サラダ、アチャー(シンガポールの漬け物)、えびせん。日本ではたいへん珍しいタイガービールの生ビールにも良く合う。

  • お店紹介

    森下 義也 店長(左から二番目が森下店長、右端が趙総料理長)

    「シンガポール海南鶏飯」はHAINAN CHI FAN株式会社が2006年、会社設立と同時にオープンしたシンガポール料理専門店だ。「開業当時、当店のようなお店は都心でもいま以上に少なく、日本人の多くが『シンガポール料理って何?』というような状況でした。そこで、台湾出身で後に日本に帰化した当社のオーナーが、おいしいシンガポール料理を日本に広めたいという思いをこめてこのお店を開いたのです」と話すのは、水道橋本店店長の森下義也さんだ。
     「現地の味に親しんだ経験のある人に、“違う”とは思ってほしくない。だから素材や調味料は厳選しています」と森下さん。シンガポール直輸入のソース類や、台湾などからも取り寄せる香味野菜、香辛料、最高級のジャスミンライスなどを使用するのはそうしたこだわりの一環で、シンガポール駐在経験者をはじめ現地の味をよく知る人々の舌を納得させるのには欠かせない要素だという。いまではディナータイムや土日にはシンガポールで暮らした経験を持つ人が多数訪れるというのも頷ける。
     森下さんはシンガポール料理の魅力を、「辛過ぎず、甘過ぎず、香りが強過ぎず、本当にバランスが良い。中国、マレー、インドなど、多国籍の人々が築いてきた食文化は、日本も含めて世界に通用するはずです」と胸を張る。
     開業10年目を迎え、グループ店は5店舗に増えた。総料理長はベテラン料理人の趙炳義さんが務め、趙さんが5店舗を行き来しながらシェフの指導を行うことで味やサービスの質を維持・向上している。
     「シンガポール料理のおいしさ、奥深さを多くの人に知っていただくのが私たちの目標です」と語る森下さん。タイ料理やベトナム料理のように、シンガポール料理を日本社会に深く溶け込ませたいと、スタッフともども頑張っている。
  • 基本情報

    店名 シンガポール 海南鶏飯 水道橋本店
    住所 東京都千代田区三崎町2-1-1 2F
    電話 03-3264-7218
    営業時間

    月〜金 ランチ 11:30~14:30 
    ディナー 17:00~23:30(L.O 23:00)  
    土・日・祝 12:00~23:00(L.O 22:30)

    定休日

    なし

    席数

    43席

    主な客層 ビジネスパーソン、特にディナーはシンガポール駐在経験者が多い。男女比はランチ4:6、ディナー5:5程度
    1日の客数 120〜130人
    予算の目安 ランチ 900〜1,000円 
    ディナー 2,500〜3,000円
    開業 2006年
    URL http://www.hainanchifan.com/
  • 掲載内容は取材時点での情報であり、記事内容、連絡先、営業時間などが変更になる場合があります。