(東京都/渋谷区)
中国の家庭で一般的に作られるのは焼き餃子ではなく水餃子。そして、残った水餃子を翌日、焼き餃子にして食べる。さらにねかせた水餃子を揚げ餃子として食べる。水餃子→焼き餃子→揚げ餃子と無駄なく食すための工夫である。
食文化とは、風土とともに生まれ育つもの。店主の野坂由郎さんは、20代のころ、中国出身の職人が働く中国料理の名店で修行を重ねたため、本場の点心の作り方とともに、中国の食文化にふれた。
中国北方の小麦文化の中で生まれた餃子の成り立ちを大切に、手作りにこだわり抜いた您好の本格派餃子を紹介します。
-
您好の餃子
-

-
【皮の生地の作り方】
您好の餃子は、皮から完全手作り。生地は、前日の夕方から作る。強力粉、薄力粉(5%)に塩水(水は粉の重量の43%、塩は粉の重量の2.5%)を少しずつ加えながらこねる。まとまってきたら、生地をラップでくるんでねかせる。時々、こねる→ねかせるを数回繰り返した後、一晩ねかせ、熟成させる。
【餡の作り方】
餡の材料は、豚肩ロース、白菜、キャベツ、ニラ、ネギ(青い部分)、すり下ろした生姜(皮ごと)、背脂、醤油、胡麻油、胡椒。
白菜とキャベツは、粗みじん切りして、塩をふり、水分が出たら絞る。ニラ、ネギ(青い部分)も粗みじん切りにする。豚肩ロースは、脂の多い部分は取り除き、大豆程の大きさに粗みじん切りする。背脂の量は、水分を絞った野菜と肉の重量の3.5%。
醤油と胡麻油に、加熱して少し溶けた状態の二度挽きした背脂を入れてよく撹拌する。次に、豚肩ロース肉、生姜、胡椒を入れて、肩ロース肉に背脂がコーティングされるように良くこねる。コーティングがされた頃合いで、ニラとネギを入れて混ぜ、最後に水分を絞った白菜とキャベツを混ぜて餡は完成。
-
-
お店紹介
-

中央が店主の野坂由郎さん
青森から上京し、興味のあった中華料理の道に進んだ野坂さん。東京大飯店、マダム・チャン等で修行後、絶対おいしい餃子を作ることができると確信し、33歳で独立。当時、日中国交正常化した後で、「您好(ニイハオ)」が明るい将来を感じる流行語だったため店名は您好。今年、34年目を迎える。
「食べることは毎日のことであり、料理は合理的に出来ている。家庭の料理が基本であり、業務用料理は、家庭料理に負ける」と野坂さんは言う。だから、試行錯誤、創意工夫で、少しでも家庭で作られるような丁寧でおいしい料理を提供したいという想いは開店当初から変わらない。
「手作りの皮、包丁で刻む具材は、こだわりではないです。餃子本来のことを考えれば当然のことです。米文化の日本では、お寿司屋さんがご飯を自分で炊くのと同様に、餃子は小麦文化の料理なので、餃子を作るなら自分で皮を作るのは当然です」と、野坂さん。
「お客様は、特別な説明をしなくても、食べればおいしいものはわかってくれる。そして、また来店してくれる。だから、おいしい餃子を作り続けてきたし、これからも作り続けたい」と語る笑顔も信念も開店以来変わらない。
-
-
基本情報
-

店名 |
您好(ニイハオ) |
住所 |
東京都渋谷区西原2-27−4 升本ビル2F |
電話 |
03-3465−0747 |
営業時間 |
(月~金)
17:00〜24:00(L.O.23:00)
(土曜日のみ)
17:00〜23:00(L.O.22:00)
|
定休日 |
日曜(振替休日となる月曜日はお休み)
|
席数 |
39席
|
主な客層 |
ビジネスパーソン、家族等幅広い |
1日の客数 |
約70人 |
予算の目安 |
3,000円前後 |
開業 |
1982年創業 |
-
※掲載内容は取材時点での情報であり、記事内容、連絡先、営業時間などが変更になる場合があります。