(東京都/中央区)
とろりとした卵をまとった鶏肉のうま味を噛みしめながら、卵とタレが染み込んだ甘じょっぱいご飯をかきこむ。卵と鶏肉というシンプルな組み合わせですが、作り手によって味は千差万別、どこか懐かしさを感じさせ、食べ飽きることがありません。今回は、銀座で比内地鶏にこだわり続けるお店「銀座比内や 本店」の究極の親子丼にクローズアップ。
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クローズアップメニュー
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究極の親子丼 1,230円(ランチタイム:税込)※ディナータイムは1,300円(税別)
材料は、比内地鶏のもも肉、卵、だし、彩りの三つ葉のみ。一番のポイントは、作る前に備長炭で皮をじっくり炙っていること。焦げ目のついた肉を噛みしめると、備長炭の香ばしさとともに、比内地鶏特有の濃厚な脂とうま味が、口いっぱいに広がる。タレは甘みの強さが特徴だが、それを地鶏のガラスープで割ってアレンジ。コクがあるのに、さらりとしていて後味が良く、肉のうま味を引き立てている。
もも肉に胸肉をブレンドした、あっさりめの味わいの「極上の親子丼」(ランチタイム価格は税込み1,000円)もあるが、ランチタイムの人気はやはり「究極の親子丼」に軍配が上がるそう。
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技のポイント1
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備長炭で皮を炙り、しっかり焦げ目をつける
「究極の親子丼」に使う比内地鶏のもも肉を、焦げ目がつくまで備長炭でじっくり炙る。香ばしくなると同時に、よぶんな脂が落ちて食べやすくなる。火通りの良さを考え、肉の側は生のまま。この状態でいったん冷まして落ち着かせ、注文が入ってから人数分を切り分ける。
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技のポイント2
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火力が強い外側に肉を並べ、強火で手早く
1人前は約70g。物足りなく思うかもしれないが、うま味が濃く、噛みごたえのある肉なので、満足感は高い。食べやすく小ぶりな一口大に切った肉を、タレを張った鍋へ。火力が強い外側に並べて点火し、強火でいっきに火を通す。煮詰まっても味が濃くならないよう、タレは鶏ガラスープで濃さを調整している。
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技のポイント3
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ふたで蒸らすことを考慮し、やや早めに火からおろす
肉に8割がた火が通ったら、中央に寄せ、2個分の溶き玉子を「の」の字を書くように流し入れる。鍋を揺らしながら、卵がまだ少しゆるいくらいでご飯の上へ。ふたをして蒸らすので、客がふたをとったとき最適な半熟具合になるよう、タイミングを見極めるのがポイント。
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おすすめメニュー1
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比内地鶏限定品 レバー串焼き(タレ) 400円(税込432円)
「焼き鳥のなかでも一番のおすすめ」というレバー。小ぶりの角型に切って串に刺し、回しながら4面を炭で炙る。外は香ばしく、中はほんのり温かいレア状態がベスト。きめ細かくクリーミーで、レバー特有の臭みをほとんど感じさせない。モツは苦手だが、これならいけるという人も少なくないそう。
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おすすめメニュー2
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銀座比内や特製つくね棒焼き 温泉玉子添え(タレ) 400円(税込432円)
7種類あるつくね棒焼きのなかでも、一番人気がこの温泉玉子添え。骨ごとミンチにした肉を平串にまとめ、やや平たく整形し、炭火で炙る。実はメニューにわざわざ「タレ」と指定しているのは、これとレバーだけ。確かに淡白な味のミンチに、温泉玉子のまろやかさと、甘いタレが絡んで、絶妙な美味しさ。
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お店紹介
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店長の成田圭吾氏(右)と、ホールマネージャーの宮崎南人氏
名古屋コーチン、薩摩地鶏と並び、日本三大地鶏に数えられる比内地鶏。キジやヤマドリにもたとえられるほど、しっかりした歯ごたえと濃厚なうま味が特徴。同じ秋田県北部で飼育されても、「比内地鶏」を名乗れるのは、わずか34軒の養鶏場で育てられた鶏だけという、貴重な鶏肉だ。
その比内地鶏を使った料理で知られる「銀座比内や 本店」。秋田の契約業者から、ほぼ毎日届く比内地鶏。地鶏のガラスープはもちろん、タレも秋田の業者に依頼。さらに肉を焼くのは備長炭。味付けは昔ながらの手法で作られた海塩。そして料理とともに供されるのは、厳選された秋田の地酒と、限りなく本物の素材と味にこだわる。
串焼き1本が400円というのは、焼き鳥店としてはかなり高額な設定だが、「同じ秋田県産でも、『比内鶏』と『比内地鶏』は別物。うちではごく一部の料理以外は、本物の比内地鶏を使用しています。また、肉の味が濃いので、少量でも満足していただけるはず」と、店長の成田圭吾氏。もちろん比内地鶏以外にも、きりたんぽ鍋や稲庭うどんなど、秋田の味覚を取りそろえ、さらにその日のおすすめメニューも豊富。
「銀座で本物の比内地鶏を扱う店としての誇りを持って、比内地鶏のブランドを守っていきたいですね」と成田氏。最近は親子丼目当ての外国人観光客も増え、「特に土日は日本人より外国人の方が多いくらい」とか。もしかすると近い将来、スシやラーメンと並んで、“オヤコドン”が国際食になる日も来るかもしれない。
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基本情報
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店名 |
銀座比内や 本店 |
住所 |
東京都中央区銀座8-8-5 太陽ビル8F |
電話 |
03‐3569‐3663 |
営業時間 |
ランチ
11:30~14:00
ディナー
月~金 17:00~23:30(L.O.22:45)
土曜17:00~23:30(L.O.22:45)
日曜・祝日17:00~23:00(L.O.22:00)
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定休日 |
無休
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席数 |
93席(4名~最大24名まで利用できる個室あり)
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主な客層 |
ビジネスパーソン。最近は親子丼目当ての外国人観光客も多い。 |
1日の客数 |
約70人 |
予算の目安 |
ランチ 1,000~1,230円
ディナー 5,000円
(お得なコースメニューも。飲み放題付きで5,800円~) |
URL |
http://ginza-hinaiya-honten.jimdo.com/ |
※新橋駅近くに汐留店(☎03‐5537‐2902)もある。
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