【ラーメン】中華そば ムタヒロ本店

  1. (東京都/国分寺市)
おいしいラーメンとは何か? その答えはつくる側にも食べる側にもさまざまあります。東京都国分寺市を中心に、「中華そばムタヒロ」のほか「味噌中華そばムタヒロ」「鶏そばムタヒロ」「まぜまぜムタヒロ」などメニューを絞り込んだ専門店を展開する株式会社GREAT SMILEの社長、牟田伸吾さんが考えるおいしいラーメンの条件は、シンプルでどこか懐かしさがあること。鶏がらと煮干しをバランス良く合わせてまろやかに仕上げたスープと、ダシのうま味を活かした脂、特注の極太麺などを組み合わせ、理想の味を追求しています。
クローズアップメニュー
ワハハ煮干特製そば 950円(税込)
基本となるスープは、きれいに処理した国産の鶏がらをゆっくりと6時間ほど炊き、そこに香川県伊吹島産のいりこなど煮干しを3種類程度ブレンドして投入し、さらにゆっくり数時間炊いてつくる。このとき細かく挽いた豚の背脂とチャーシュー用の肩ロースも一緒に煮ることでうま味、コクが加わる。また、時間をかけることでにごりやえぐみのないまろやかなスープに仕上がる。野菜などほかの素材をいっさい使わないシンプルさは大きな特徴だ。これをいったん冷まし、注文ごとに小鍋で沸かし醤油ダレと合わせる。醤油ダレは、醤油にコンブ、シイタケの足などを漬け込んだものに、隠し味で新潟の魚醤をプラスして調味する。麺は加水率の高い特注極太麺。これらを合わせてつくられるのが醤油味の「ワハハ煮干そば」で、「特製」の場合はチャーシューとのりが増量され、しっかりと味の染み込んだ煮卵もつく。ほかにみずみずしい刻みネギ、ミツバ、店内で調味する穂先メンマが乗っている。背油濃醤油煮干出汁を特徴とする燕三条系ラーメンをモチーフとしている。
技のポイント1
 
 

煮干しは3種類ほどをブレンドして使用

煮干しは讃岐うどんのダシとしても知られる香川県伊吹島産のいりこを中心に3種類ほどをブレンドして用いる。写真は大きいものからアジ、白口イワシ、背黒イワシ。
技のポイント2

  

スープと同時につくる自家製煮干し脂

1つしかない厨房を有効活用し、寸胴鍋1本でスープ、チャーシュー、煮干しを同時につくる。鶏がらや肩ロースから出た脂は煮干しのうま味を含んだままスープの表面に層を成す。表面にできた脂の層は丁寧に取り除き、これを背脂とともに自家製煮干し脂として仕上げに調味料として使用する。スープ全体に煮干しを強く効かせるのではなく、脂に煮干しの風味を乗せることで後を引く、クセになる味に仕上がる。背脂は普通、少なめ、多めから選ぶことができる。
 
技のポイント3

  

うどんのような特注極太麺をラーメン、つけ麺で使い分ける

牟田さんが約5年間修行をした「すごい煮干ラーメン凪」に特注している麺は極太ちぢれタイプ。加水率45%以上で、うどんを思わせるようなモチモチツルツル感が特徴だ。ラーメンの場合は、茹でる前に手もみすることで手打ち感を出し、つけ麺の場合はもまずに麺本来の食感を活かす。普通盛で180g、中盛で280g。中盛にしても同料金なのが良心的(写真はラーメン用)
技のポイント4
 
スープはすっきり漉して使う
基本のスープは注文ごとに小鍋で煮立てるが、このとき漉し器を通すことでわずかな固形物も取り除きより澄んだ状態にする。この作業も苦みやえぐみを抑えるポイントだ。
おすすめメニュー1

ナハハ塩煮干特製そば 950円
石川県から取り寄せる塩と、水5ℓに300gの割合で使用するアジの煮干しでつくった塩ダレはシンプルでまろやか。これと基本のスープを合わせた汁に、特製極太麺を入れ、「ワハハ特製煮干そば」と同様にトッピング。さらに糸トウガラシも乗せて彩りをプラス。開業後しばらくは醤油味だけだったが、半年ほどして塩味を始めるにあたり、ほど良い塩を探していた牟田さんが偶然出合ったのが手づくりの「石川奥能登の塩」で、まろやかさが気に入り、以来これを使い続けている。
おすすめメニュー2

アハハ煮干つけ麺 800円
焼き煮干しの粉末をたっぷり加えたつけダレは香ばしく、焼き魚のような風味。「コーヒーに例えるなら、ラーメンはマイルド、つけ麺はビター」と牟田さんが言うように、基本のスープや調味料、脂は煮干そばと同じでも、まったく違う風味に仕上がっている。トッピングはたっぷりのもやし、チャーシュー、穂先メンマ、ミツバ、のり。トウガラシは「塩煮干そば」の糸に対しここでは粉末で使用。
おすすめメニュー3

炙りチャーシュー丼 250円
スープの中で煮た肩ロースを特製のつけダレに漬け込んでつくる。つくり立てのタレの場合は、漬け込み時間は1時間、2度目に使う場合は2時間浸ける。こうしてつくったチャーシューを刻み、コシヒカリのご飯の上にたっぷりと乗せてバーナーで炙り、みりんで甘味をつけたタレをかけ、刻みネギを乗せてコショウをふりかけ出来上がり。香ばしいチャーシューがご飯にぴったり。
  • お店紹介

    社長の牟田伸吾さんを「中華そばムタヒロ」本店店長の梶原壽之さん(向かって右)とスタッフが囲む


    「楽しい、おいしい、また来たい」をコンセプトに、ラーメンを通じて地域とつながることを大切にしている「ムタヒロ」は、牟田さんが元同僚の新井博道さんと一緒に2011年に開業。店名はムタさん、ヒロさん、お2人の名前からつけた。ロゴは赤、青、黄、緑のテーマカラーで着色され、創業者2人のイラストも楽しい。スナックの居抜きという店舗は小規模でアットホーム。2015年12月には全面改装を行ったが、楽しく、おいしく、また来たくなる温かさや遊び心はお店の持ち味として維持している。
     開業後はあっという間に多店舗展開を実現し、いまではJR国分寺駅周辺に4軒、同西国分寺駅近くに1軒、ほかに大阪と韓国ソウルにも店舗を持つ。セントラルキッチンなどはなくすべてお店ごとの手づくりで、本店で煮干しが苦手な人のために1日10食限定でつくっていた鶏そばの人気が高じて出店に至った「鶏そばムタヒロ」など、それぞれがコアなメニューを専門的に提供している。本店の隣にはユニークなラーメン居酒屋、「串あげムタヒロ」もある。「ラーメン談義をしながらおいしく飲み、最後に本店の煮干そばで締めてくれたらうれしい」と牟田さんは言う。
     こんな「ムタヒロ」を楽しくお得に利用してもらうための工夫も光る。全店舗共通のポイントカードがあり、中華そば1杯で1ポイントつき、5ポイントから特典がつく。ほかに、食券や丼の底に当たりが出るとシールがもらえ、それを提示すればトッピングが無料になるという太っ腹な企画も提供している。しかもこのトッピング無料サービスは生涯有効、さらに同行者にも有効というからすごい。このお得感に引かれ、一度来店した人のほとんどがカードをつくるという。
     牟田さんは新しいことへのチャレンジに積極的で、全国を食べ歩いてヒントを得てはメニュー開発などに活かしている。「ワハハ煮干そば」はカップ麺にもなり、コンビニエンスストアなどで売られている。また、近々幅広でワンタンのような麺を使った新メニューを登場させる予定。また、スープやタレの味をこまめにアレンジする、卓上の米酢にカタクチイワシを入れてうま味を加える、夏場は冷やし中華も提供するなど、いつ訪れても新鮮みが感じられるように工夫を重ねている。
  • 基本情報

    店名 中華そば ムタヒロ(本店)
    住所 東京都国分寺市南町3-15-9
    寿コーポB号 1F
    電話 042-315-2728
    営業時間

    昼11:30~15:00 
    夜18:00〜23:00

    定休日

    月曜

    席数

    9席

    主な客層

    平日はビジネスマンや学生、
    休日は家族連れが多い

    1日の客数

    200人

    予算の目安 750円〜
    開業 2011年9月
  • 掲載内容は取材時点での情報であり、記事内容、連絡先、営業時間などが変更になる場合があります。