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(東京都/渋谷区)
ドアを開けると、本場の香辛料がずらりと並ぶ棚が目に飛び込んでくる。ここは、中国の食文化に魅了され、“中国料理オタク”と自他ともに認める総料理長・山口祐介氏がオープンした店。10代から中国料理に興味を持ち、中国への渡航も数知れず。近年も、毎年、スタッフとともに中国を訪れ、現地の食文化、料理、食材に対する探究心はいまも絶えることがない。中国で出会い感化された料理を、山口氏はレシピをそのまま真似るのでなく、日本で新たに研究を重ねてより深みのある味に昇華して店のメニューとする。今回、クローズアップする「よだれ鶏」は、山口氏が二十歳の頃に中国で出会い、いつか自分の店で出したいという熱い想いで、10年以上もかけて試行錯誤して独自のレシピを考案した看板メニュー。その味の神髄を、山口氏とともに店を取り仕切る広尾本店の料理長・吉澤努氏に伺った。
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クローズアップメニュー
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JASMINE名物“よだれ鶏”蒸し鶏の特製香ラー油 1,640円(税込)
鶏肉は、皮が厚めでぷりっとしていて、肉質がやわらかい総州古白鶏の骨付もも肉を使用。
沸騰した湯に、骨付もも肉を入れ、再沸騰したところで火を止める。鍋にフタをするようにラップをかけて、30〜40分余熱でじっくり火を通す。
鶏肉の中まで火が通ったら、氷水で冷やす。肉がぐっとしまり、皮はぷりぷり、鶏肉のうま味が中に凝縮される。一方、ゆで汁は、一度再沸騰した後、紹興酒と塩を入れ、うっすら塩分を感じる程度の薄味にして氷水で冷やす。
ゆで汁が冷えたところで、鶏肉を捌き、骨や血合いを取る。骨を取った鶏肉は、冷えたゆで汁に漬けて1日寝かせる。
冷やしたなすの素揚げの上に、蒸し鶏を1枚、1cmくらいの幅に切って盛りつける。黒酢ベースの甘酢ダレをたっぷりかけ、特製ラー油、胡麻、皮付き素揚げピーナッツ、香菜を盛り付け、出来上がり。
驚くほどしっとりと仕上がった蒸し鶏は、さっぱりとしつつうま味が濃い。この蒸し鶏に、黒酢ベースの甘酢ダレが絡み、香り豊かな特製ラー油がぴりっとポイントになり、食欲を刺激する。夏は冷麺としても提供。酒にもご飯にも麺にも合う。
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技のポイント1
蒸し鶏をしっとり仕上げるコツは、余熱でじっくり、中はほんのりレア状態
沸騰した湯に、骨付もも肉を入れ、再沸騰したところで火を止める。鍋にぴっちりとラップをして35〜40分放置する。沸騰した湯の温度が徐々に下がり、おおよそ85℃くらいの余熱で火を通す。じっくりと火を入れることで、中がほんのりレア状態になり、蒸し鶏がしっとりと仕上がる。
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技のポイント2
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熱いうちに氷水で冷やすことでうま味をとじこめる
中まで火が通ったら氷水に入れて冷やすことで、肉がしまり、鶏肉のうま味が凝縮される。
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技のポイント3
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味の要、黒酢ベースの酸味のきいたタレ
蒸し鶏のタレは、黒酢ベースの甘酢ダレ。黒酢、豆板醤、醤油、酢、上白糖、豆豉、ニンニク、生姜を合わせる。加熱はしない。酸味は効いているが、黒酢のまろやかな酸味と、ほんのりとした甘味のさっぱりした甘酢ダレは、他の料理にもつけたくなるタレ。自家製焼き餃子との相性が特にいい。
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技のポイント4
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料理の味を特徴づけるのは14種類もの香辛料で作る香り高い特製ラー油
特製ラー油は、ニンニク、ねぎ、生姜と14種類もの香辛料で作る。香辛料の中には、香りが断然よいため中国で直接買い付けているものも多い。
他の料理で油通しなどに使用し、うま味の出ている油を4分の1ほど混ぜた白絞油を熱し、香辛料を入れて弱火で30分じっくり熱する。途中、10分に1回程度、鍋底をかき混ぜる。ニンニク、ねぎ、生姜が揚がる感じで、唐辛子がこげる手前くらいがちょうどよい。目指すは、香辛料の香りを移したラー油。濾して出来上がり。
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おすすめメニュー1
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自家製焼き餃子 5個 840円(税込)
肉の存在感がある大ぶりの餃子。
餡は、豚肩ロースの挽肉、キャベツとニラ。ニンニクは使わず、ニラで香りを出しているのは女性客が多いための心遣い。厚めの皮に、肉がたっぷりつまっていて、食べ応えがある。餡にしっかり味がついているのでそのまま食べてもおいしいが、「よだれ鶏のタレ」をつけて食べるのが定番。この食べ方は、もともとは客が始めたもので、今ではよだれ鶏と一緒におすすめする看板メニュー。
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おすすめメニュー2
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張家の紅焼肉(上海家庭風豚の角煮)干し筍の田舎風煮込み添え 2,000円(税込)
上海料理の定番である角煮は、基本的には、皮付き豚バラを水、紹興酒、砂糖、醤油のみで煮込む料理。
写真の上側に見える角煮は、皮付き豚バラを煮込む際に、紹興酒、砂糖、醤油に、梅干菜(メイガンツァイ)を入れて煮込む。梅干菜は、上海から直接買い付けている。実は下に2つ目の角煮が隠れている。塩抜きした干し筍(メンマ)と皮付き豚バラをたっぷりの紹興酒、砂糖、醤油で甘塩っぱく炊き上げる。姿がなくなるほど煮くずれた豚バラは、干し筍に絡み付き一体となっている。
2種類の角煮が楽しめる一皿。
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おすすめメニュー3
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生アオリイカとマコモ茸の青紫蘇炒め 2,380円(税込)
白いアオリイカとマコモ茸に緑の青紫蘇を添えて。翡翠色の美しい一皿。活きのよいアオリイカを花切りにし、ぱっと花が開く程度に湯通しした後、マコモ茸とアオリイカをさっと油通しする。この火の入れ具合が重要なポイント。鍋に、スープ、塩、砂糖、チキンコンソメを入れ、アオリイカ、マコモ茸を炒め、とろみをつけた後、細かくみじん切りにした青紫蘇をちらした一皿。さっぱりしていて、青紫蘇の香りがなんともさわやか。女性に大人気の一皿。
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おすすめメニュー4
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特製胡麻みそ担担麺 1,000円(税込)ランチのみ
セット内容 本日の小鉢、自家製野菜ジュース 杏仁豆腐。ミニ麻婆豆腐ご飯付は+250円。
特製胡麻みそ担担麺は、特製ラー油、胡麻だれ(胡麻ペーストと芝麻醤)、コリコリとした歯ごたえが良い刻んだヤーツァイ(芽菜)の漬け物、甘塩っぱい甘酢だれ(生姜、醤油、酢、甜麺醤)と胡麻を器に入れ、茹でた麺を絡める。肉みそなどの具材を盛り、ひいた花山椒、四川省漢源地方の漢源山椒を振りかける。ひと口目に、胡麻だれの優しい味わいを一瞬感じるが、麺に絡んだラー油や漢源山椒の辛さがじわじわと広がり、この刺激がくせになる一皿。ランチでしか食べられないメニュー。
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お店紹介
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広尾本店料理長・吉澤 努氏とスタッフの皆さん
広尾本店の料理長を任されている吉澤氏。現在、日本橋店にいる総料理長・山口氏とは、20代半ばに前職のホテルで出会った。先輩後輩として厚い信頼関係で結ばれており、二人三脚で店を切り盛りする。
現在では、多くの方に愛される人気店となったが、オープンしたのは2011年3月10日。東日本大震災の前日だった。徹夜続きでオープン準備を進め、いざ開店した翌日に震災が起こり、オープン後数カ月は苦労の日々が続いた。
外食から遠ざかる人も多かったが、「大変な時期に来ていただいたお客様に、とにかく満足して帰ってもらうことを心がけて、それを毎日繰り返していこう」という気持ちを持ち続けて営業した。現在の店舗は、調理場から客の姿が見える。同じ料理でも、客の顔を見て、好みや年などに合わせて多少味付けを変えることもあるという。「お客様に満足していただいきたい」という想いはいまも生き続けている。
本場の中国料理を絶えず研究し、試行錯誤を繰り返し、料理を創り出す30代の若き料理人たちが腕をふるう店には、熱いエネルギーが溢れている。
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基本情報
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店名 |
中華香彩 JASMINE(ジャスミン) 広尾本店 |
住所 |
東京都渋谷区広尾5-22-3 広尾西川ビル1F |
電話 |
03-5421-8525 |
営業時間 |
昼 11:30~15:00 L.O 14:30
夜 18:00~23:00 L.O 22:00
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定休日 |
年中無休(年末年始除く)
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席数 |
32席
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主な客層 |
近隣のビジネスパーソン。特に女性が多い。
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1日の客数 |
ランチ 40〜50人
ディナー 30〜40人
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予算の目安 |
ランチ
1,000〜1,500円位(平日) 2,500〜3,000円位(休日)
ディナー
6,000〜7,000円位 |
開業 |
2011年3月 |
HP |
http://jasmine310.com/index.php |
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※掲載内容は取材時点での情報であり、記事内容、連絡先、営業時間などが変更になる場合があります。