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(東京都/江東区)
いまや東京都だけでも約3,000店舗もあるとされるラーメン店。この中で選ばれるお店になるためには、繰り返し食べたくなるような看板メニューを持つことが1つの大きなポイントです。「らぁ麺やまぐち 辣式」では、厳選した豆板醤と唐辛子を組み合わせた独特の辛さがクセになりそうな「麻婆まぜそば」、関アジ魚醤の風味と深いコクで従来の塩ラーメンとは一線を画す「塩らぁ麺」を二本柱に、多くの人を引きつけています。
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クローズアップメニュー1
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特製麻婆まぜそば 1,000円(税込)
基本となる「麻婆まぜそば」は、「本格的な四川料理としての麻婆餡を使った麺料理」をコンセプトに店主が開発した独創性が光る逸品で、麺に乗せても簡単には沈まないほどしっかりとしたトロミを持つ激辛麻婆餡を特注極太麺にからめて食べる。トッピングはスープで茹でたあと醤油だけで味つけをした豚バラチャーシュー、真空低温調理した肩ロースチャーシュー、長ネギ、万能ネギ、糸唐辛子。「特製麻婆まぜそば」は、これに温玉、パクチー、チャーシューを加えた豪華版だ。通常は温玉のみ別皿で提供している。
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技のポイント1 ~特製麻婆まぜそば~
3年熟成の豆板醤と唐辛子、花椒のバランスがうま辛の決め手
本格的な四川料理に仕上げるにあたり不可欠なものとして採用したのは、本場四川の香辛料や調味料。写真左下がうま味や香りの強い朝天唐辛子、その奥が辛味を補うための一味唐辛子で、中央は飾り用の糸唐辛子。右奥は3年熟成の豆板醤「ピーシェンドーバン」、右手前は花椒で、これを擦った粉山椒を麻婆餡の上にたっぷり振りかける。仕上げに、四川産の山椒油「ファージョウユ」をブレンドした豆板辣油をかけることで、味は一層複雑になり、辛味と痺れ感が強調される。
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技のポイント2 ~特製麻婆まぜそば~
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最初に醤油ダレとサラダ油で麺を和える
麺を茹でている間に丼に醤油ダレ20ccとサラダ油15cc、魚介の味をつける前の基本のスープ(塩らぁ麺参照)20cc、ブラックペッパーを入れる。醤油ダレは豚バラチャーシューの煮汁で、こいくちの生醤油に豚バラの風味がついただけのシンプルなもの。これで茹で上がった麺を予め和えることで麺自体に味がつき、またほぐれやすくなる。
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技のポイント3 ~特製麻婆まぜそば~
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麻婆餡はこってりと麺にからみやすく仕上げる
ピーシェンドーバンをよく炒め、2種の唐辛子を加えて油に辛味を移す。そこに豚挽肉を入れて炒め、スープ、香辛料(ショウガ、ニンニク)、調味料(醤油ダレ、みりん、塩・こしょう、隠し味の仙台味噌)で味を整え、水溶き片栗粉でトロミをしっかりつける。出来上がった麻婆餡はスープジャーで保温する。麺は京都の老舗「麺屋 棣鄂」に特注。中力粉の全粒粉を多めに配合した食べごたえのある極太麺200gでボリュームたっぷり。
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クローズアップメニュー2
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塩らぁ麺 780円(税込)
当初は丸鶏ベースにムロアジ節、アジ節を加えたスープを用いていたが、その後大きく改良し、丸鶏ベースは変わらないものの、節はサバ、ソウダ、サンマの3種とし、カキなどの魚介も加えて味の厚みを増している。従来の塩ラーメンにはあまり見られないインパクトのあるうま味と深いコクが印象的だ。トッピングは2種類のチャーシューと穂先メンマ、長ネギ。盛りつけの際に麺をほぐし、きれいに並べると目にも美しくかつ食べやすい。仕上げにかける自家製カツオの香り油が風味を一層豊かにしている。
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技のポイント1 ~塩らぁ麺~
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奥深い味の秘密は贅沢に用いる複数の乾物と関アジ魚醤
味の基本となる塩ダレは、真コンブ、ホタテ、アジニボシ、ゲソなどでだしをとり、翌日、広島・蒲刈島特産の「海人藻塩」、中国・福建省の「フクエン」、関アジ魚醤で調味。1回に作る量は約12ℓで、乾物の比率はおよそ10%。これで約1週間分になる。1杯に塩ダレ30cc、鶏油10ccを使う。
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技のポイント2 ~塩らぁ麺~
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スープは丸鶏、豚ゲンコツ、3種の節と生ガキのうま味が凝縮
塩ダレを割るスープは、丸鶏と豚ゲンコツ、チャーシュー用の豚バラ肉でだしをとった基本のスープに、サバ節、ソウダ節、サンマ節を加え、最後に冷凍生ガキを加えてうま味を引き出したもの。直径48cm・容量80ℓの寸胴鍋に対し、丸鶏約30kgを用いる。ほかにタマネギ、ナガネギ、ショウガ、リンゴなども加えている。炊き時間は5時間程度で、香りが最も際立つタイミングで火を止め、注文ごとに温めるのがポイントだ。写真手前がサンマ節、液体が関アジ魚醤、奥はサバ節(左)とソウダ節(右)。
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技のポイント3 ~塩らぁ麺~
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香り豊かな専用「はるゆたか麺」を使用
麺は、「麻婆まぜそば」と同様、棣鄂に特注。国産小麦の中でも希少な「はるゆたか」を用いた中細麺はうま味と香りが豊かで、パンチのある辣式のスープにぴったりだ。
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オススメメニュー
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とろ豚丼 300円(税込)
唯一にして店主おすすめのサイドメニュー。器に盛ったご飯に、みりんやショウガで調味した醤油ダレをかけ、カツオ節を振ってブロックチャーシューを並べる。さらにタレと鶏油をかけて万能ネギを散らすと出来上がり。「塩らぁ麺」に合わせる人が多い。
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お店紹介
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「ラーメンづくりは趣味の延長。毎日楽しい」と笑顔で語る店主の山口裕史さん
良質な料理を手頃な価格で楽しめるお店として『ミシュランガイド』に紹介されているビブグルマン。2015年12月に発売された東京版2015では、和食、それも居酒屋やラーメン店まで加わったことが大きな話題になった。ここで紹介された都内ラーメン店22店舗の中に、開業3年目にしてみごと名を連ねたのが「らぁ麺やまぐち」。その店主、山口裕史さんが2店舗目として出店したのがここ、「らぁ麺やまぐち 辣式」だ。“辣式”とは、「麻婆まぜそば」をはじめ「辛い麺料理の数々を提供していきたい」というお店の方向性を示した言葉。「私自身辛いものが大好き」という山口さんは、「麻婆まぜそばは5年間かけて作り上げた自信作」と胸を張る。
地下鉄東西線東陽町駅から徒歩1分とはいえ路地に入った立地はけっして有利ではない。辛いメニューを看板にしたのは、こうした場所でも繰り返し来てもらえるよう、激辛料理の“くせになる”効果に期待も込めた。現在のところ、「麻婆まぜそば」と「塩らぁ麺」の注文割合は10:7で激辛が優勢だ。
山口さんは元ビジネスパーソン。もともとラーメン好きで、趣味で自作ラーメンを楽しんでいたが、東京・立川のラーメンスクエアへの出店権を競う「ラーメントライアウト」で入賞し、スクエア社員として2007年10月から1年間、「麺屋にゃみ」を営んだのがこの世界でのスタートになった。そして2013年1月に独立。趣味が高じてラーメン職人となってまだ9年。行列の絶えない本店と軌道に乗ったばかりの2号店を抱え多忙な日々を送るが、いまも「ラーメンづくりは楽しい」と言い、メニュー開発やブラッシュアップに力を注いでいる。
夢は、5席ほどの小規模店を自分ひとりで切り盛りすること。そのときどんなラーメンを提供するのか、ファンの胸は膨らむばかりだ。
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基本情報
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店名 |
らぁ麺やまぐち 辣式 |
住所 |
東京都江東区東陽4-6-3 栗林ビル1F |
電話 |
03-6458-6200 |
営業時間 |
昼 11:30~15:00(L.O)
夜 17:30~21:00(L.O)
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定休日 |
木曜、年末年始
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席数 |
11席
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主な客層 |
ビジネスパーソン、近隣の人、男女比は7:3、週末は家族連れも多い
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1日の客数 |
昼 100人 夜 70人
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予算の目安 |
750円〜 |
開業 |
2015年9月17日 |
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