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(東京都/港区)
パクチー専門店の台頭や、パクチー食べ放題のお店の出現、さらには既存のさまざまな飲食店にパクチーメニューが登場するなど、一昔前までは薬味の一種だったパクチーが近年、にわかにその存在感を高めています。2014年10月、東京・新橋にオープンした「パクチーファン」も、独特の香りを放つこの葉菜にスポットライトをあてたお店の1つ。前菜から食事メニュー、デザートやアルコール類までほぼすべてのメニューにパクチーを使用。自家製パクチーソースを効果的に用いながら、オリジナリティあふれる食の世界を創出しています。
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クローズアップメニュー1
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パクチーファンのカプレーゼ 480円(税抜)
おなじみのカプレーゼのモツァレラチーズをパクチーに置き換えた。最大のポイントは、トマトとパクチーの下にたっぷりと敷いたチーズ風味のソース。自家製パクチーソースに粉チーズを混ぜ込むことで、本来のカプレーゼの持つチーズのおいしさを表現した。自家製パクチーソースは、香りの強い野菜類やピーナッツをフードプロセッサーで細かくすり潰し、そこにパクチーを大量に入れてさらにミキシングしてなめらかに仕上げたもの。毎日作り、ときに味つけの主役に、ときに隠し味にと、さまざまなメニューに用いている。
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技のポイント1
パクチーソースはパクチーの根やピーナッツでコクを出す
パクチーソースの材料はタマネギなどの野菜、ダイスピーナッツ、パクチーの葉と根。調味料としてはシーズニングソース、酢、塩、こしょうなどを用いる。作り方はシンプルだが、パクチーの根で香りが高まり、ピーナッツを使うことでコクが出る。
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技のポイント2
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ピーナッツは形が見えなくなるまですり潰し風味を活かす
まずは野菜、ダイスピーナッツ、塩などをフードプロセッサーにかけてペースト状にする。このときピーナッツの形が見えなくなるくらい十分に時間をかけるのが、風味を活かし、コクを出すポイント。そこにパクチーの根を入れてさらに回し、続いて葉を入れて回し、最後にシーズニングソースと酢を入れてよく混ぜると自家製パクチーソースの出来上がり。1日置いて味をなじませてから使う。カプレーゼに用いるときは、これに粉チーズ、オリーブオイル、ライムジュースを加え、塩、こしょうで調味する。
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技のポイント3
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トマトに下味をつけて甘味を引き出す
トマトはスライスしたあと、塩こしょうをまぶしておく。こうしてトマトの甘味を引き出し、パクチーに負けない風味を持たせている。
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クローズアップメニュー1
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パクチーズコロッケ 780円(税抜)
茹でたジャガイモ、スライスタマネギ、刻みパクチーがベース。ここにパクチーソースとホウレンソウのペーストを加えることで緑色を強調している。生地は手で丸くまとめるが、このとき真ん中にチーズを仕込む。これに衣をつけてパン粉をまぶし、低め(160℃)の揚げ油でじっくりと揚げ、中心までしっかり火を通す。熱々に揚がったコロッケを割ると、中からチーズがとろーりと顔を出す仕掛けだ。ソースは一般的なものと自家製パクチーソースの2種がつく。付け合わせはもちろんパクチー。上手に仕上げるコツは冷凍しないこと。春のメニューとして登場したが、テレビ番組で紹介されたこともあって来店者のほとんどが注文する人気メニューに成長。グランドメニューに昇格する可能性も大きい。
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クローズアップメニュー2
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ラムとパクチーのアヒージョ 720円(税抜)
角切りして下味をつけたラム肉、シメジ、刻んだパクチーの根を器に入れ、クミンパクダー、塩こしょう、ニンニク、オリーブオイルを加えて300℃のオーブンで3分ほど火を通す。一度取り出し白ワインを加えたら、さらに3分、オーブンで煮つめる。このときスライスしたバケットも同時に焼く。仕上げにパクチーの葉をたっぷり乗せ、コリアンダーシードをふりかける。
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クローズアップメニュー3
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パクチー焼きそば 680円(税抜)
パクチーをはじめキャベツ、タマネギ、モヤシなど、野菜炒めと見紛うほどたっぷりの野菜を使ったヘルシーな一品。中華鍋に油を熱し、豚肉、エビ、イカを炒め、野菜を加え、よく炒める。麺は予めオーブンで香ばしく焼いておく。これらを合わせて炒めたら、エビのペーストの入ったトチオソース(タイの調味料)と自家製パクチーソースで味つけ。目玉焼きをトッピングしたら出来上がり。ピリ辛の味つけが食欲をそそり、アルコールにもよく合う。
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お店紹介
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日々、調理の工夫を楽しむフードプロデューサー、今野裕太さん
「パクチーが好きな方にとっては、パクチーを山盛り食べられるなんて夢のような話だと思います。そういう意味では、ここは夢をかなえられる場所。夢を語るもよし、実現の方法を考えるもよし。いまはこの“夢”をキーワードに、お店づくりを進めています」と、「パクチーファン」のコンセプトを紹介するのは、同店のフードプロデューサー、今野裕太さんだ。現役の作曲家・ギタリストで、音楽の仕事を続けながら6年前より料理の修行を開始。インド料理店などを経て2015年3月、「パクチーファン」に入職し、2016年1月からお店を任されている。
今野さんはこの1年間に新メニューの開発、既存メニューのアレンジに力を注ぎ、現在までにほぼすべてのメニューに手を加えた。「珍しい食材を使うことより、組み合わせや工夫によって身近な食材に変化を起こし、オリジナルメニューに仕上げることに面白さを感じます」と語る。また、季節感を大切にしており、たとえば冬の間に人気を博した「パクチー火鍋」や、3、4月限定の「エビとブロッコリーのアヒージョ」など、期間限定メニューも豊富だ。
大量に使うパクチーは、千葉県と佐賀県の野菜農家から調達。「形の良し悪しに関係なく仕入れたり、ほかの野菜とまとめて輸送してもらったりと工夫をし、コストを押さえています」と今野さん。こうして原価が高くなりがちなパクチー料理を比較的安価で提供している。
今後は身近な食堂として、居酒屋として、バーとしてなど、訪れる人たちが利用の仕方を選べるように、ワイン類の強化も含めてメニューをさらに充実させていく。また、貸し切りパーティーや音楽と料理を組み合わせたイベントの開催、アジア料理フェアなどへの出店などを順次実現していこうと計画中だ。そこでどんな時間を過ごせるのか、パクチーファンの夢は膨らむ。
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基本情報
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店名 |
パクチーファン |
住所 |
東京都港区新橋4-18-4 村上ビル3F |
電話 |
03-6432-4177 |
営業時間 |
16:30~22:30(L.O)〜23:30
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定休日 |
日曜・祝日
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席数 |
22席
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主な客層 |
ビジネスパーソン、パクチー好き、ブームに敏感な人
20代後半〜30代中心
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1日の客数 |
平日 20〜25人
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予算の目安 |
3,500円 |
開業 |
2014年10月28日 |
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※掲載内容は取材時点での情報であり、記事内容、連絡先、営業時間などが変更になる場合があります。