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(東京都/渋谷区)
「また食べたい!」…訪れた人にそう思ってもらえることは、飲食店、特に路地裏店にとってはお店を維持するうえでの重要なポイントです。渋谷に移転し1年半の「麺屋ぬかじ」では、素材のうま味を引き出した自慢のスープと丁寧な作業の積み重ねで、濃厚なのにくどくない、シンプルだけど印象に残る、飽きのこないラーメンを提供しています。
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クローズアップメニュー1
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らーめん 780 円(税込)
鶏と豚でダシをとった動物系スープと、複数の煮干しと干しえびなどで風味を出した魚介系スープを合わせて一晩置く。こうして出来上がったうま味の強いスープで白醤油ベースのかえしを割ると、まろやかなラーメンスープが出来上がる。麺は卵を多めに使った中太麺で、歯切れの良さが持ち味。トッピングはチャーシュー、穂先メンマ、ネギ、海苔と、いたってシンプルだが、チャーシューや穂先メンマは提供前にしっかり温める、ネギの上に少量のショウガを添えるなど手間と工夫が光る。ショウガはクリーミーで鶏の甘味が生きるスープの引き締め役にもなっている。
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技のポイント1
つけめんと共通の動物系スープは鶏3:豚1で長時間炊きうま味を凝縮
動物系スープはつけめん・らーめん共通。ダシの素材は甲斐の極み鶏の鶏ガラ、グリ、モミジと、豚のゲンコツで、鶏3:豚1くらいの割合で使用。これらを100ℓの寸胴鍋の八分目くらいまで入れ、水を注いで強火で約10時間、白濁させながら炊く。この間、白菜、ニンニク、ショウガ、長ネギ、ゴボウといった野菜類を、タイミングをはかって投入する。炊きあがったスープは3分の1程度を残して翌日炊くスープに加える。これを繰り返すことで深みのある“万年スープ”をつくり続けることができる。
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技のポイント2
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魚介系スープはサンマ煮干しとコンブがメイン
らーめん用の魚介系スープはサンマの煮干しとコンブをメインに、いぶしたウルメイワシ煮干し、干しエビと一緒に水出ししてつくる。
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技のポイント3
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動物系スープと魚介系スープを合わせて一晩寝かす
上記2種のスープを合わせて冷蔵庫で一晩寝かせたものをらーめん用のスープとして使用する。常温の状態で厨房に準備し、注文が入ってからヒーターで加熱する。加熱用の鍋は開業以来、空にしたことはなく、動物系スープと同様に継ぎ足し継ぎ足しを重ねることで、フレッシュな中に熟成感のあるスープに仕上げている。
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技のポイント4
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チャーシューは香味野菜を効かせた醤油ダレで慎重に火を通す
豚バラ肉を巻いたものを、白醤油、みりん、日本酒、刻んだニンニク、ショウガ、タマネギでつくったタレで煮る。香味野菜の味をしっかりつけることで風味良く仕上げ、火にかける時間を慎重に調節することで柔らかすぎず、固すぎもしないほど良い食感を実現している。火から下ろしたらすぐにラップで二重に包み、冷蔵庫で一晩寝かせて味をなじませる。チャーシューを煮たタレはかえしとして使用する。
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おすすめメニュー1
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玉つけめん 950円(税込)
カツオ節、サバ節、アジ煮干しを水出ししたつけめん用の魚介系スープを、らーめんと共通の動物系スープと合わせ、一晩寝かせてから使用。かえしもらーめんと共通だが、動物系スープの量はらーめんの約3分の1で、煮詰めて濃度を高めてから使っている。麺は北海道産の小麦粉と沖縄の塩を用いたもので、太すぎず、つるつるしていてのどごしが良い。つけめんを商品化する前に複数の女性に試食を頼み、高評を得た麺を採用した。つけめんのトッピングはチャーシュー、穂先メンマ、海苔、口直し用の小松菜が基本で、これに味玉を乗せたのが味玉つけめん。味玉は、やはり継ぎ足しを重ねながらしっかり煮詰めた専用のつゆをじっくり染み込ませたもので、ほんのり魚介の香りが漂う。つけめんは卓上に用意した黒七味を麺に振って食べるのがおすすめだ。
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おすすめメニュー2
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わんたんらーめん 980円(税込)
基本のらーめんに自家製わんたん5つを乗せた一品。牛1:豚1の合挽肉に長ネギ、シイタケ、ショウガ、リンゴを加えて練り、らーめんのかえしなどで味つけしたあんはほんのり甘く味わいがある。
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お店紹介
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「おいしくつくるための手間は惜しみません」と言う店主の貫井宏さん
都内の
らーめん店などで経験を積んだ貫井宏さんが、独立して自分のお店を持ったのは2010年7月のこと。東京・世田谷での開業で、近所で暮らす高齢者にも食べてもらえるやさしい味づくりを心がけた。そんななか完成したのが、現在も提供している、濃厚かつくどさのないらーめんだという。
現在の場所に移転したのは2014年11月。メイン通りから少し外れているとはいえ、巨大な街、渋谷の一角とあって、以前より人通りも多く、開業して丸2年で客足も安定。閉店時間を23:00から21:00に短縮し、その分、仕込みに時間をかけられるだけの余裕も生まれている。
「うちは際立った特徴がなくて……」と言う貫井さんだが、「作業工程を正確にこなすことには人一倍こだわっています」と語る。素材と水の比率、ゆで時間、熟成時間、スープのブリックス値などを徹底して管理・調整することで、安定しておいしいらーめんを提供できるというわけだ。
卓上には自家製のサンマだしの白醤油、京都・原了郭の黒七味、ゆず一味、カツオ節粉が並び、好みの味に調整できる。また、ごはんと生卵を無料サービスしており、「サンマだしの白醤油で卵かけごはんにしたり、月見つけめんにしたりするとおいしいですよ」と貫井さんがすすめる。
ドリンクメニューにある箕面ビールや志賀高原ビールは、「素材や製法にこだわって少量生産している点がラーメンに通じる」と感じ、置くようになった。今後も地道に、自分のらーめんを細く長くつくり続けるのが目標という。
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基本情報
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店名 |
麺屋ぬかじ |
住所 |
東京都渋谷区宇田川町3-12 monostep2 1F |
電話 |
03-3476-8148 |
営業時間 |
月~金
11:00~16:00 18:00~21:00
土・祝
11:00~17:00
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定休日 |
日曜
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席数 |
9席
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主な客層 |
近隣住民、若い男性、女性一人客も多い
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予算の目安 |
900円 |
開業 |
2010年7月
※2014年11月、現在の場所に移転 |
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※掲載内容は取材時点での情報であり、記事内容、連絡先、営業時間などが変更になる場合があります。